GPT4リリース。本当のAI革命前夜か。
ChatGPTで知られるOpenAIの最新の大規模言語モデル(LLM)であるGPT4が本日リリースされた。ChatGPTで世界を震撼させたのが昨年12月1日、その後GPT3.5-turboのリリースを経て、そこからわずか3ヶ月半でGPT4を市場に投入したことになる。
筆者はGPTモデルを使ったアイデア創出アプリ「アイディエータ」を3月1日に開発・リリースしている。リリース時にはなかったGPT3.5-turboのAPIへの対応が終わろうとしていた矢先の出来事で、関係者の間でもそのスピードの速さに驚いている。
GPT4はテキストと画像による入力が可能であるという。(コンピュータインターフェースの世界ではこのような複数の伝達手段による入出力をマルチモーダルと呼ぶ。)ただ、画像による入力はまだ限定公開で、一般向けには当面はテキストのみのリリースとなるようだ。利用にあたっては月間20ドルの有料契約が必要だ。しかし、その使いみちと今後もたらされるビジネスへのインパクトを考えると、かなり安いといえる。
驚きの性能とマルチモーダル
驚くべきはその性能だ。公式サイトでは「様々な専門的・学術的ベンチマークでは人間レベルの性能を発揮します。例えば、司法試験の模擬試験では、受験者の上位10%程度のスコアで合格する。」とあり、ChatGPTで話題になった誤答や迷回答などもある程度対策されていると言えるだろう。ただ、AIが誤った答えを出すという批判はそもそもが的はずれである。あらゆるジャンルの問題に常に正しい答えを出せる人間はいない中で、AIだけにそれを期待するというのはナンセンスではないか。その点はOpenAIも「完全な信頼性はない」と注意書きしているので利用時にはくれぐれも注意されたい。
注目は画像によるインターフェースである。画像に対応した大規模言語モデル(LLM)はいくつか報告されているが、ChatGPTで証明したなめらかな言語との組み合わせでどのような用途が考えられるか注目だ。漫画や写真を読み込ませて解説させるような用途も可能な様子で、公式サイトではコマ割りされた写真を提示してその面白さを言語化する例を示している。
ほとんどすべてのホワイトカラーの業務に影響がある
日本のAIの第一人者である東京大学の松尾先生も「ホワイトカラーの仕事のほとんどすべてに何らかの影響がある可能性が高い(恐らく2-3年で身近にも変化が)」(参考:20230217_AIの進化と日本の戦略_松尾研.pdf)と述べているように、言語という誰にでも開かれたインターフェースとWeb上の膨大なテキストから集約された知識を持つAI(LLM)が知識労働に与える影響は甚大だ。筆者のようなマーケティングリサーチやシステム開発など、知的情報生産に携わる人々にとって、新しいAIをどのようにビジネスに生かしていくのか、手を動かしながら考えていく必要に迫られている。