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得意舞台に戻るグランアレグリアの巻き返しはあるのか?! ルメールが語る!!

平松さとしライター、フォトグラファー、リポーター、解説者
グランアレグリアの調教に跨るルメール騎手(本人提供写真)

1週前の同じ舞台でGⅠを制覇

 今週末、東京競馬場ではヴィクトリアマイル(GⅠ、4歳以上牝馬、芝1600メートル)が行われる。

 人気の中心となりそうなのはグランアレグリア(牝5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)。12日の朝、美浦トレーニングセンターでの調教で、この馬に跨ったのが主戦のクリストフ・ルメール騎手。9日にはシュネルマイスター(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)に騎乗してNHKマイルC(GⅠ、3歳、東京競馬場芝1600メートル)を優勝。2週連続でのGⅠ制覇を目指す。そんなリーディングジョッキーに先週末、そして、12日の追い切りについて、電話で話を伺った。

ルメール騎手
ルメール騎手

 「ゴールの瞬間は勝ったか負けたか分かりませんでした」

 NHKマイルCのゴールの瞬間の心境を、ルメールはそう語った。

 弥生賞(GⅡ)2着から駒を進めたシュネルマイスターは2番人気。「少し外過ぎたので心配だった」(ルメール)という15番枠からスタートすると、序盤は中団よりやや後ろの位置取り。直線、まず先頭に立ったのは1番人気のグレナディアガーズ。しかし、これを早々にかわして先頭を奪ったのが7番人気のソングライン。鞍上・池添謙一の鼓舞に応え堂々と抜け出した時はこの穴馬と仕事人が大仕事をやってのけたかと思えた。その時、シュネルマイスターに騎乗するルメールは次のように思っていた。

 「もっと楽に差せると思ったけど、加速が少しずつでした」

NHKマイルCのパドックでのシュネルマイスターとルメール
NHKマイルCのパドックでのシュネルマイスターとルメール

 そう語るようにビュンと伸びる感じはなかったが、それでも抜け出したソングラインにただ1頭、差を詰めて来た。

 「池添さんとの差がなかなか詰まらなかった時は届かないかと思いました」

 しかし、ゴールの瞬間、2頭は馬体を並べた。

 「勝ったかどうか分かりませんでした。それだけに勝ったと分かった時は嬉しかったです」

 こうして新たなマイル王となったドイツ産馬について、彼をいざなったパートナーは言う。

 「血統と走り方的にはもっと長い距離でも大丈夫だと思います。秋以降は違う距離のカテゴリーでも活躍してくれると信じています」

NHKマイルCを制したシュネルマイスター(ゼッケン15番)
NHKマイルCを制したシュネルマイスター(ゼッケン15番)

最終追い切りに跨っての手応えは?

 G I勝利から3日後の12日、冒頭で記したようにルメールは美浦を訪れた。翌週のオークス(GⅠ)でコンビを組む予定のアカイトリノムスメ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)、そして藤沢厩舎の2頭、バニシングポイント(3歳、1勝クラス)とグランアレグリアのモーニングワークで手綱を取ったのだ。

 注目のグランアレグリアの前走は大阪杯(GⅠ)。当日の阪神競馬場は雨で重馬場。昨年の最優秀短距離馬にとって初めてとなる2000メートル戦としては険しい舞台になった。ルメールは言う。

雨降る大阪杯のパドックでのグランアレグリアとルメール
雨降る大阪杯のパドックでのグランアレグリアとルメール

 「2000メートルは大丈夫と思ったけど、結果的には少し長かったのか、いつもの伸びがありませんでした。それにやはり道悪は良くなかったです。瞬発力のある馬だから良馬場で走らせてあげたかったです」

 それ以来に跨った調教での動きに関しては次のように語る。

 「前走のダメージは全然ないように感じました。併せ馬で軽い追い切りだったけど、3~4コーナーでは自分から動いて行き、良い脚を見せてくれました」

 状態や更なる成長があるのかを問うと、答えた。

 「コンディションは良さそうです。一所懸命に走っていたけど、掛かるわけではなく、落ち着いていて、大人になったと感じました」

最終追い切りでのグランアレグリア(奥)(本人提供写真)
最終追い切りでのグランアレグリア(奥)(本人提供写真)

 となると、得意の1600メートルで牝馬同士なら負けられない1戦となりそうだ。

 「レシステンシアらスピード能力の高い先行馬が内枠で楽に行けると怖いけど、グランアレグリアのポテンシャルがあれば大丈夫と信じて乗ります」

 調教が終わり次第、京都の自宅へ帰り、14日の金曜日には再び東上して土曜の東京での競馬に備えると言うルメールに、枠順はどこが良いかを最後に聞いた。すると、携帯電話の向こうで笑いながら彼は答えた。

 「そういうレベルの馬ではありません。ゲートはどこでも大丈夫。彼女にとってそれは大した問題ではありません」

 決戦は16日。ルメールの自信に満ちた手綱捌きを期待したい。

12日朝、美浦トレセンでのルメール(本人提供写真)
12日朝、美浦トレセンでのルメール(本人提供写真)

(文中敬称略、写真撮影=平松さとし)

ライター、フォトグラファー、リポーター、解説者

競馬専門紙を経て現在はフリー。国内の競馬場やトレセンは勿論、海外の取材も精力的に行ない、98年に日本馬として初めて海外GⅠを制したシーキングザパールを始め、ほとんどの日本馬の海外GⅠ勝利に立ち会う。 武豊、C・ルメール、藤沢和雄ら多くの関係者とも懇意にしており、テレビでのリポートや解説の他、雑誌や新聞はNumber、共同通信、日本経済新聞、月刊優駿、スポーツニッポン、東京スポーツ、週刊競馬ブック等多くに寄稿。 テレビは「平松さとしの海外挑戦こぼれ話」他、著書も「栄光のジョッキー列伝」「凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち」「世界を制した日本の名馬たち」他多数。

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