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馬券の発売されるコーフィールドC、現地からの直前情報は!!

平松さとしライター、フォトグラファー、リポーター、解説者
海岸調教されるこの馬もコーフィールドCに出走する。果たしてその正体は?

いよいよに迫ったコーフィールドC、現地の下馬評は?

 

日本馬2頭が出走するコーフィールドC(G1・オーストラリア)が間も無くに迫った。

 正確には現地時間10月20日16時40分、日本時間同日14時40分に発走するこのレースについて、現地入りしている平松さとしが有力馬の情報を公開する。

 まずはウェリビー競馬場の検疫厩舎に入厩しているザクリスオブモハー(牡4歳、A・オブライエン厩舎)から。

 来豪前のヨーロッパではプリンスオブウェールズS、ハードウィックS、エクリプスSとG1中のG1を転戦。オーストラリア遠征初戦となった前走コーフィールドSは、道中最後方から進む競馬。4コーナーでは大外に出されると直線で追い上げたが4着に終わった。それでも勝ったのがベンバトル(今年のドバイターフでヴィブロス、ディアドラ、リアルスティールといった日本勢を完封して優勝)だった事を思えば、内容のある走り。久々の上、現地初戦の叩き台としては及第点の競馬だった。

 「連闘になるが昨年のヨハネスフェルメールも同じ臨戦過程で(ヨハネスフェルメールは)どちらも好走できました。変わらず状態は良いので期待しています」

 そう語るのは昨年同様、かの地で遠征馬を面倒見るオブライエン厩舎の遠征主任のTJ・コムフォード氏。

 追い込み一手で多頭数を捌けるか?という点は心配だが、狙ってみたい1頭だ。なお、競馬当日は発汗の目立つ馬だが、元からそうなので心配する必要はないだろう。

連闘になるが前走が良い叩き台と思えるザクリスオブモハー。問題は追い込み一辺倒という脚質か
連闘になるが前走が良い叩き台と思えるザクリスオブモハー。問題は追い込み一辺倒という脚質か

 現地オーストラリアでは1番人気を争いそうなキングズウィルドリーム(せん4歳、D・ウィアー厩舎)とヤングスター(牝4歳、C・ウォーラー厩舎)。直前のターンブルS(G1・オーストラリア)でそれぞれ3、2着。

 前者は直線入口で一瞬前が詰まりそうになる場面があったが、直線半ばでは最内を突き、一旦抜け出してみせた。

 また、後者は外から良い脚で追い上げ、キングズウィルドリームをもかわしたが、両頭の前に立ちはだかったのが最強の女王ウィンクス。

 キングズウィルドリームのC・ウィリアムズ騎手、ヤングスターのK・マカヴォイ騎手は異口同音に「勝ったと思ったけど、あの馬に負けたのでは仕方ない」と語った。

 いずれにしろあのウィンクスとこれだけの競馬が出来たのだから共に有力である事は間違いない。

厩舎でくつろぐキングズウィルドリーム。ウィンクスと好勝負をした実力から、有力馬である事は疑いようがない
厩舎でくつろぐキングズウィルドリーム。ウィンクスと好勝負をした実力から、有力馬である事は疑いようがない
ヤングスターの手綱をとるK・マカヴォイ騎手。「ウィンクスに勝ったと思ったけど……」と前走を述懐する
ヤングスターの手綱をとるK・マカヴォイ騎手。「ウィンクスに勝ったと思ったけど……」と前走を述懐する

欧州勢、地元勢、多士済々が入り乱れる

 ザクリスオブモハーが有力ならハードウィックSでこれに先着しているレッドヴァードン(牡5歳、E・ダンロップ厩舎)も軽視は禁物。3319メートルの1戦で、直線半ばでは勝つのでは?!という勢いだった前走。距離短縮のここは見直す手。

 厩舎の先輩レッドカドー(2012年ジャパンCや13年春の天皇賞にも出走。5年連続の出走となった15年のメルボルンCで故障を発症し、それが原因で後に合併症を発症し安楽死となった)が散ったオーストラリアで、先輩の分まで華を咲かせるかもしれない。

レッドヴァードンはこの地で星となった厩舎の先輩レッドカドーの分まで頑張って走るのだろうか……
レッドヴァードンはこの地で星となった厩舎の先輩レッドカドーの分まで頑張って走るのだろうか……

 エースハイ(牡4歳、D・ペイン厩舎)はシドニー地区からの遠征馬。1週前の木曜日にはコーフィールド競馬場入りし、当該週の火曜日に併せ馬で最終追い切りを行った。動きとしては煽られ気味だったが、これには管理するペイン師が「ブリンカーを着けない追い切りはいつもあんなもの。競馬へ行けば変わります」ときっぱり。

 実際、前走ではイッツサムワットやエッグタルトといったG1馬を相手に楽勝といえる走り。長丁場ではほとんど崩れた事がないので一発があって不思議ではない。

前走が圧巻だったエースハイ。横に立つペイン調教師は「調教は動かなくても競馬でブリンカーを着ければ一変するから心配ない」と語る
前走が圧巻だったエースハイ。横に立つペイン調教師は「調教は動かなくても競馬でブリンカーを着ければ一変するから心配ない」と語る

 ベストソリューション(牡4歳、S・ビン・スルール厩舎)もヨーロッパでG1連勝中の実績は無視できない。ただし、その連勝がいずれもヨーロッパ内では少しレベルの落ちるドイツだった事、トップハンデの57・5キロを背負う事、更には17番枠になってしまった事から少々評価が下がるか。

 逆に好枠を引いて侮れない存在となったのがホームズマン(せん4歳、L・ホーリー厩舎)だ。元来先行力が武器の馬。このところコーフィールド競馬場の馬場は固めで好時計続きだが、そういう馬場も合っている。もっとも当日の朝は雨に見舞われたので、これがどのくらい降るかがこの馬にはカギになりそうだ。

 サウンドチェック(牡5歳、M・モロニー厩舎)はトレードされて間も無くで、調教の動きが今ひとつ。ただしヨーロッパの実績的には充分に通用する。また、ヨーロッパの実績という意味ではハンデに恵まれた感があるのがドゥレット(せん6歳、A・ボールディング厩舎)。問題は年齢的にどうかという点か。

 マカヴォイ騎手を始め地元騎手勢から高い評価を受けているのがナイツウォッチ(せん5歳、D・ウィアー厩舎)。「血統的に距離がどうか?」とB・エコース厩務員。前走では少しモタれる素振りを見せたのも気になるが、「毎日のビーチ調教でリラックスして状態面はすごく良いよ」と同厩務員。ちなみに今回のタイトル画像はビーチ調教をするナイツウォッチだ。

 もう1頭、地元中の地元、今回唯一コーフィールドC競馬場に構える厩舎からの出走になるのがマイティーボス(牡4歳、M・プライス厩舎)。先述のエースハイを併せ馬で煽ったのがこの馬。見た目の美しさならナンバー1だが、近走は不振にあえいでいる点であまり強調は出来ないか……。

美しい馬体が目をひくマイティーボスだが、最近の成績からは強調し辛い
美しい馬体が目をひくマイティーボスだが、最近の成績からは強調し辛い

 

 チェスナットコート(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)とソールインパクト(牡6歳、美浦・戸田博文厩舎)には日本馬のレベルの高さを見せていただきたい。健闘を祈ろう。

(写真提供=平松さとし)

ライター、フォトグラファー、リポーター、解説者

競馬専門紙を経て現在はフリー。国内の競馬場やトレセンは勿論、海外の取材も精力的に行ない、98年に日本馬として初めて海外GⅠを制したシーキングザパールを始め、ほとんどの日本馬の海外GⅠ勝利に立ち会う。 武豊、C・ルメール、藤沢和雄ら多くの関係者とも懇意にしており、テレビでのリポートや解説の他、雑誌や新聞はNumber、共同通信、日本経済新聞、月刊優駿、スポーツニッポン、東京スポーツ、週刊競馬ブック等多くに寄稿。 テレビは「平松さとしの海外挑戦こぼれ話」他、著書も「栄光のジョッキー列伝」「凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち」「世界を制した日本の名馬たち」他多数。

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