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ウクライナ軍、ロシア軍のボート3台に神風ドローンで突っ込み攻撃「陸上でも水上でも逃げられない」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

戦艦・ボートの破壊はまだ20台

2023年9月にウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフが自身のSNSでウクライナ軍のドローンがロシア軍のボート3台を攻撃する動画を公開していた。それぞれ違うシーンでのロシア軍のボートを破壊したものを纏めた動画である。

副首相は「どのようにしてFPVドローンがボートを攻撃しているか見たことありますか?ウクライナ製のFPVドローンが3台のボートを攻撃するシーンです。ロシア軍は陸上にいても水上にいても逃げることはできません」とコメントしていた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。小型の民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンをウクライナ軍もロシア軍も多く使用している。

標的に突っ込んでいき爆発するシーンをFPV(ファースト・パーソン・ビュー)で撮影することも多い。FPVはドローンに搭載されたカメラからの風景が操縦者に見える。

FPVで撮影された標的に突っ込んでいく攻撃シーンの動画は頻繁に公開されており、欧米やウクライナのメディアでも放送されている。だがその標的のほとんどはロシア軍の戦車や装甲戦闘車、塹壕などで水上を走っているボートを標的にして突っ込んでいく動画は珍しい。2023年8月にウクライナ軍が公式SNSで水上を航行しているロシア軍のボートにFPV神風ドローンで突っ込んでいく動画を公開していた。

ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。2023年9月20日までにウクライナ軍が破壊したロシア軍の「軍艦・ボート」は20台のみで他の軍事施設に比べるとかなり少ない。そのため、水上を航行するボートをドローンで破壊する動画もレアである。

▼水上を航行するロシア軍のボートをドローンで破壊するウクライナ軍(副首相の公式SNS)

▼水上を航行するロシア軍のボートを攻撃するウクライナ軍(2023年8月・ウクライナ軍公式SNS)

▼ウクライナ軍の公式SNSでのロシア軍の破壊状況。戦艦・ボートは20台破壊

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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