大型ドローン「バイラクタルTB2」の翼の下に搭載して、上空から標的に突っ込んでいき爆発

ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻。ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃していた。現在ではウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」をほとんど使用していない。

ロシア軍侵攻直後には、トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献していた。ロシア軍侵攻直後は、ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞していた。このようにウクライナ軍はトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」を活用してロシア軍を多く攻撃していた。そして爆破に成功するたびに上空からの動画をSNSで公開して世界中にアピールしていた。

トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいるが、バイカル社はその中でも代表的な企業である。バイカル社のCTOのバイラクタル氏はトルコのエルドアン大統領の娘と結婚しておりトルコでも有名。軍事ドローン「バイラクタルTB2」はウクライナだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国など世界28か国に輸出している。アゼルバイジャンやカタールにも提供している。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。

そのバイカル社が「KEMANKEŞ」というAI搭載の小型神風ドローンを開発して披露された。「KEMANKEŞ」はバイカル社が製造している大型ドローン「Akinci UCAV」、「バイラクタルTB2」、「バイラクタルTB3」の翼の下に搭載することができて、上空で大型ドローンから離れて、標的に向かって突っ込んでいき爆発する。いわゆる「神風ドローン」と呼ばれるタイプである。同社では「ミニ・インテリジェンス・クルーズ・ミサイル（Mini Intelligent Cruise Missile）」と表現している。

この「AI搭載の小型神風ドローン」の具体的な商用開始時期は明らかにされていない。ロシア軍がウクライナに侵攻した直後は「バイラクタルTB2」が多く使用されていたが、現在ではウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」をほとんど使用していない。この「AI搭載の小型神風ドローン」がウクライナ紛争に投入されるかどうかも明らかにされていない。

「バイラクタルTB2」はウクライナ軍の攻撃に大きく寄与していた。だが大型ドローンであるため上空でも目立つので地対空ミサイルなどで迎撃されて破壊されやすい。現在、ウクライナで使用されている「神風ドローン」は人間が遠隔地で操作をしており、ドローンに搭載されているカメラで敵軍を検知してから突っ込んでいき爆発している。ドローンでの攻撃に人間の判断が介在している。だがAIが搭載されていたら、AIが標的を認識して人間の判断を介さずに敵軍への攻撃を行うことも可能になりうる。

▼バイカル社が開発した「AI搭載の小型神風ドローンKEMANKEŞ」