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ウクライナ軍、世界中の市民からの寄付で購入した中国製の偵察ドローン83機を最前線のバフムトへ

佐藤仁学術研究員・著述家
バフムトに送られる寄付されたドローン(ミハイロ・フェドロフ副首相提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民用品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。

そして2022年12月31日に調達したドローンが1577機に到達し、既に928機が戦場に投入された。ウクライナ政府によると、ここ3か月で1400機のドローンを購入。そして2023年1月16日には83機をウクライナ東部ドネツク州バフムトに投入したと、ウクライナのメディアU24とウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ氏が自身の公式SNSで報告。世界中の支援者に寄付の御礼も伝えていた。

バフムトは大変厳しい戦闘が行われており要衝になっている重要な都市で、今回バフムトに送られたのは中国メーカーの民用品ドローンで監視・偵察を目的とした「DJI Mavic 3 Fly More Combo」、「DJI Matrice RTK 300」、「Autel EVO ІI」の3機種。

民用品ドローンは監視・偵察としての使用だけでなく小型爆弾や手りゅう弾を搭載して標的のロシア軍に投下したり、突っ込んでいき爆破したり、攻撃ドローンにもなる。民用品ドローンと攻撃ドローンの境目がなくなったことはウクライナ戦争における戦術の特徴の1つである。そして民用品ドローンだけでなく攻撃ドローンも上空でロシア軍に探知されると機能停止させられるか破壊されてしまう。そのため戦場ではドローンは何機あっても足らない。

ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もドローンを監視・偵察、攻撃で多く使用している。「上空からの目」として戦場では欠かせない兵器の1つになっている。上空から敵の様子を探り、敵を発見したら、その場所をめがけてミサイル攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したり、神風ドローンが標的に突っ込んでいき爆発したりしている。これほど多くのドローンが戦場で活用されているのは人類の戦争の歴史上でも初めてである。

▼ウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ氏が公式SNSで寄付の御礼を伝える

▼ウクライナのメディアU24で報告

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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