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ウクライナ軍、手作り"DIY"ドローン迎撃銃を製作「毎日トラックで移動して、80%の確率で撃墜」

佐藤仁学術研究員・著述家
ウクライナ軍が破壊したイラン製軍事ドローンの破片(写真:ロイター/アフロ)

「ウクライナ国民、市民、技術者の想像とアイディアの結集です」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

特に2022年10月にはロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んで行き爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に撃墜して攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ていた。キーウ以外の他の都市でもイラン製の軍事ドローンやロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。

そのようなロシア軍のドローン攻撃に対抗して、ウクライナ軍では手作りのドローン迎撃銃を作って、ロシア軍の攻撃ドローンを迎撃して破壊している。いわゆる「DIY(Do It Yourself)」だ。既存の銃を用いてドローンを迎撃しやすいように設計している。さらにトラックやバンなどの後方部に搭載することが可能で、簡単に移動しながらロシア軍のドローンを迎撃できる。イギリスのメディア「ザ・サン」が報じていた。

報道の中でウクライナ兵は「これはナノテクノロジーではありません。ウクライナ国民、市民、技術者の想像とアイディアの結集です。ウクライナ国家全体がまとまると、このようなアイディアやプロジェクトは生まれます」と語っていた。

別のウクライナ兵は「毎日様々な指令を受けて、あちこちに移動しています。敵の攻撃ドローンのルートに合わせてトラックで移動して上空のドローンを迎撃して撃墜させています」と語っていた。

さらに別の兵士は「我々は80%の確率で敵のドローンを迎撃して破壊することができます。これは非常に高い確率です。100%の迎撃率は難しいですから」とコメントしていた。

▼ウクライナ軍が自ら作ったドローン迎撃銃(英国メディア「ザ・サン」)

空飛ぶ物は上空で徹底的に破壊

上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。爆弾などを搭載していない小型の監視・偵察ドローンならばジャミングで機能停止させる"ソフトキル"で迎撃できるが、中型から大型の攻撃ドローンの場合は対空機関砲や重機関銃のような"ハードキル"で上空で爆破するのが効果的である。

ウクライナ軍が手作りで作成したドローン迎撃銃も明らかにハードキルのタイプである。DIYのドローン迎撃銃は銃なので、地対空ミサイルのように破壊力は強くはないので命中しても原形を止めないような木っ端微塵(こっぱみじん)にすることは難しい。だがそれでも上空で攻撃ドローンを破壊して、標的であるウクライナ軍や市民、建物に突っ込んでいくことは回避できる。監視ドローンであればDIYのドローン迎撃銃での迎撃で十分である。攻撃ドローンだけでなく監視ドローンの迎撃と破壊にも効果的である。

地対空ミサイルシステムや防空ミサイルのような大型システムで監視ドローンを攻撃して爆破させるのはコストもかかるし、大げさかと思うかもしれない。しかし監視ドローンこそ検知したらすぐに破壊しておく必要がある。監視ドローンは小型でも大型でも「上空の目」として戦場では敵の動向をさぐるのに最適である。監視ドローンで敵を検知したらすぐに敵陣をめがけてミサイルを大量に撃ち込んでくる。監視ドローンとミサイルはセットで、上空の監視ドローンは敵からの襲撃の兆候である。また部品を回収されて再利用されないためにも徹底的に破壊することができる"ハードキル"の方が効果がある。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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