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ウクライナ軍、地対空ミサイル「S-300」ロシアのドローン&ミサイル撃墜:めったに見られない動画公開

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ロシア軍の「秘密の監視ドローン」も徹底的に破壊

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また監視・偵察ドローンも両軍によって多く使用されている。

ウクライナ軍ではロシア軍への攻撃の様子や、破壊された両軍の兵器などを写真や動画でSNSに公開して世界にアピールしている。そして2022年6月には、非常に貴重な動画としてウクライナ軍の地対空ミサイルシステム「S-300」で、ロシア軍の『秘密の監視ドローン』のほか、Kh-59 (ミサイル)とKh-31 (ミサイル)を撃墜した動画と破壊された残骸を公開していた。

『秘密の監視ドローン』("secret" recon drone)と書かれていたが、ロシア軍はいつも「Orlan-10」という監視ドローンでウクライナ軍を偵察しているが、今回の残骸は「Orlan-10」ではなかったのだろう。

上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。地対空ミサイルシステム「S-300」は明らかにハードキルだ。

爆弾などを搭載していない小型の監視・偵察ドローンならばジャミングで機能停止させる"ソフトキル"で迎撃できるが、中型から大型の攻撃ドローンの場合は対空機関砲や重機関銃のような"ハードキル"で上空で爆破するのが効果的である。特に偵察ドローン「Orlan-10」は飛行する際に大きな音がするので察知されやすいため、攻撃もしやすい。ミサイルは地対空ミサイルシステム「S-300」のようなハードキルで撃墜するしかないし、地対空ミサイルシステムが効果的である。

今回、ウクライナ軍が地対空ミサイルシステム「S-300」でロシア軍の『秘密の監視ドローン』とミサイルの両方を撃墜したが、監視ドローンとミサイルはセットであり、監視ドローンで敵を検知したらすぐに敵陣をめがけてミサイルを大量に撃ち込んでくる。

地対空ミサイルシステム「S-300」のような大型システムで監視ドローンを攻撃するのは大げさかと思うかもしれないが、監視ドローンこそ検知したらすぐに破壊しておく必要がある。特に現在のロシア軍は破壊された監視ドローンを回収して部品の再利用をして、監視ドローンを作っているようだ。そのため、監視ドローンといえども、中途半端な機能停止や撃墜によって落下させるのではなく、他の戦車やミサイルと同じように上空で徹底的に破壊しておきたい。そうすれば部品を回収されて監視ドローン製造に再利用されない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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