中国 犬型ロボット開発「帝国のマーチ」に合わせて一糸乱れぬ動きや戦いを披露 戦場や収容所でも犬は恐怖
中国のロボットメーカーのUnitree Roboticsが2021年3月に4つ足の犬型ロボットが大量に同時に動いている動画をツイッターで公開していた。BGMには映画「スターウォーズのダースベーダー」のテ―マ曲(帝国のマーチ)を流しており、一糸乱れぬ動きは、まさしく「犬型ロボット帝国」という感じの動画だ。また同社では犬型ロボットがレスリングのように戦っている動画を公開していた。形状は犬型ロボットだが、見た目は牛のようだ。
ロシアのメディアRTは「robot dog army(犬型ロボット軍)」というタイトルで紹介していた。このような4つ足の犬型ロボットはボストンダイナミクスなども製造しており、民間や警察などの公共分野だけでなく軍事分野でも輸送や偵察などで活用されている。
Unitree Roboticsではダースベーダーの「帝国のマーチ」でロボットを紹介し、ロシアのメディアRTも「犬型ロボット軍」と紹介していたが、同社では軍事用に特化したロボットとは明言していない。
戦場でも脅威の犬型ロボットによる追跡と襲撃
ネットフリックス(Netflix)で「ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ」というアニメ番組が配信されているが、2021年12月にYouTubeで「Killer Robot Chase in the Arctic Biome Jurassic World Camp Cretaceous」という動画が公開された。キラーロボットに森で終われるという10分程度のアニメ動画である。アニメの中では主人公らが犬型キラーロボットに追われて森の中を逃げ回るというフィクションアニメである。このような犬型ロボットが大量に追いかけてきたらかなりの脅威だろう。
AI(人工知能)技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。AI技術の軍事への活用は積極的に行われており、アメリカ、中国、ロシア、イスラエル、トルコなどでは自律型兵器の開発が進められており、現実的な兵器となってきている。
そして戦場や警察、収容所などでは監視するための訓練された犬はかなり恐ろしいらしい。ナチスドイツがユダヤ人殺害を目的に設置しいたアウシュビッツ絶滅収容所ではナチスが訓練したシェパードがユダヤ人を嚙み殺していた。人間によって訓練された犬は、ご主人様の指示通りに敵を嚙み殺す。AIが搭載された犬型ロボットであれば、標的を検知して認識したら襲いかかっていくのだろう。
レナ・コルンレイフ・ゲリッセン氏というアウシュビッツ絶滅収容所から生還してきた人が著書の中で以下のようにアウシュビッツ絶滅収容所の犬の恐怖を語っている。
犬が唸りながら私たちのそばを駆け抜けていく。娘は両手で顔を覆う。犬は胸に飛び掛かり、地面に押し倒す。娘の悲鳴が空を引き裂き、私たちの口から声にならない声を引き出し、心が粉々になる。耳をふさぐことができない。息もできない。これほど恐ろしい声はこの世にはない。娘の血まみれの腕が空を切る。犬がその喉元に食らいつく。亡くなった娘は、足で踏みつぶされた小さな蜘蛛のような格好をしている。親衛隊は犬の頭を軽く叩いている。「いい子だ」という声。犬は前足をなめている。(PP158-160)
私が心配しているのは、血の臭いのせいで犬に襲われないか、ということ。収容所の恐怖の中で犬が一番怖い。もしも犬に襲われて死ぬことになったら、叫び声を上げずに死ねますようにと祈る。(PP178-179)
レナ・コルンレイフ・ゲリッセン・ヘザー・D・マカダム著、古屋美登里訳『レナの約束』(中公文庫、2011年)
▼Unitreeが紹介している犬型ロボット
▼ロシアのメディアRTでの報道
▼ネットフリックスのアニメ「Killer Robot Chase in the Arctic Biome Jurassic World Camp Cretaceous」