国連にオブザーバーとして参加しているローマ教皇庁(バチカン)の代表のガブリエレ・ジョルダーノ・カッチャ氏は2021年10月に国連での大量破壊兵器や核兵器などについてのセッションで自律型殺傷兵器の開発や使用の反対を訴えていた。

バチカンでは以前から人間の判断を介さないで兵器が標的を認識して自律的に攻撃を行うことが非倫理的であるという理由で自律型殺傷兵器の開発と使用には反対してきた。国連事務総長も自律型殺傷兵器の開発には反対を訴え続けている。

カッチャ氏は「原爆で被害にあった方々を忘れてはいけません。核兵器が使用されれば世界中のどこであれ地球が破壊される恐れがあります。また誤解やアクシデントによって核兵器が発射されて使用されてしまうことも回避しなければなりません。核兵器の使用は人類にとっても地球環境にとっても破壊をもたらします」と原爆の被爆者も例にあげて、大量破壊兵器廃絶を訴えていた。

さらにカッチャ氏は「過去には多くの軍縮が成功してきました。そのような軍縮の過程を、ドローン兵器や自律型殺傷兵器の開発の禁止にも活用していくべきです。国際社会は問題の解決に兵器を使った紛争を行うべきではありません。人間の命はおもちゃではありません。人間の命に尊厳を持つべきです。」と語っていた。

人工知能とロボットの発展によって、ロボットが自律して自らの判断で人間や標的物を攻撃してくる「自律型殺傷兵器システム(LAWS)」や「キラーロボット」の登場が国際社会では懸念されている。バチカンの国連代表部は2021年8月3日に、国連で開催されていた自律型殺傷兵器の専門家会議に提出した公式文書で自律型殺傷兵器の開発や使用の禁止を訴えていた。また2021年8月4日に出した公式文書の中では、倫理的な観点からも、あらゆる兵器には人間による判断が必要であると訴えている。自律型殺傷兵器のように、人間の判断を介さないで人間を攻撃してくるキラーロボットは非道徳的であることから開発に反対している。

さらに2021年8月5日に提出した公式文書の中では、バチカンは「自律型殺傷兵器は、平和と安定にとって大きな脅威であることから、自律型殺傷兵器の開発競争と軍拡は国際社会の不安定と不平等をもたらすので、すぐにやめるべきです」と主張していた。