ホロコーストで3万人以上が銃殺されたウクライナのバービ・ヤールの悲劇から80年:英国BBCが動画製作
1941年9月の悲劇「ユダヤ人受難の地」
ナチスドイツが600万人以上のユダヤ人やロマらを殺害した、いわゆるホロコースト。ナチスドイツが侵攻したウクライナではユダヤ人狩りは組織的に行われ、強制収容所に送られ、多くのユダヤ人が殺された。ナチスはウクライナで85万~90万人のユダヤ人を殺したと推定されている。
80年前の1941年9月28日に、キエフのユダヤ人全員が翌朝8時に出頭するように命じられた。そして1941年9月29日に大量虐殺が行われた。約34,000人のユダヤ人がキエフ郊外の谷間バービ・ヤールに集められ、射殺され、穴に埋められた。その後ユダヤ人がアウシュビッツなどの絶滅収容所に移送された後もロマ、ウクライナ人のレジスタンスらがバービ・ヤールで銃殺された。バービ・ヤールは現在でもユダヤ人受難の地として知られている。
そして、英国メディアのBBCがバービ・ヤールの悲劇から80年を記念して、当時のことを伝える動画「Remembering Ukraine's forgotten 'Holocaust by Bullets'」を製作した。YouTubeでも公開している。当時、幼少だった現在の高齢の生存者らが生々しい様子を語ったり、現在のバービ・ヤールの跡地の状況、最新のテクノロジーを活用した発掘や調査などについて伝えている。
戦後75年が経ち、ホロコースト生存者らの高齢化が進み、記憶も体力も衰退しており、当時の様子や真実を伝えられる人は近い将来にゼロになる。当時の記憶や経験を後世に伝えようとしてホロコースト生存者らの証言を動画や3Dなどで記録して保存している、いわゆる記憶のデジタル化は積極的に進められている。今回の動画や生存者の証言も貴重なデジタル史料である。デジタル化された証言や動画は欧米やイスラエルではホロコースト教育の教材としても活用されている。