フランスのパリで2021年7月17日に新型コロナウィルスのワクチン接種に反対するデモが行われていた。欧米ではワクチン接種を強制されることに反対してのデモは頻繁に行われている。

そのデモで、ワクチン接種に反対する人が、ナチスドイツが支配していたホロコースト時代にユダヤ人が強制的に着用させられた黄色い星に「NON VACCINE」(ワクチン未接種)と表示されたバッジを背中に大きくつけていた。この黄色い星の着用に対して「現在のロックダウンの状況をホロコーストに例えるのはおかしい」「迫害されていたユダヤ人とは状況が違う」といった声が多く上がり、ネットが炎上していた。

ホロコーストによく例えられる新型コロナウィルス政策、その度に炎上

新型コロナウィルス感染拡大防止のために欧米ではロックダウンが行われたり、自由な外出ができずに不自由な暮らしを強いられていた人が多かった。また誰もがワクチン接種を希望していないで、政府からワクチン接種を強制されることに反対している人も多い。

そのようなロックダウンによる外出の禁止や制限で自由を奪われている状況、政府からの強制を第二次大戦時のナチスドイツに迫害、差別されていたユダヤ人の状況、いわゆるホロコーストに例えられることが多い。

そして欧米では新型コロナウィルスでのパンデミックでの不自由な状況をホロコーストに例えると、当時のユダヤ人の悲惨な境遇や生活とは異なると、いつもネットが炎上している。高齢のホロコースト生存者らも当時のユダヤ人の状況と現在の新型コロナウィルスのロックダウンの状況は異なると訴えている。だが、それでも欧米では「ロックダウンで外出が制限され、不自由な生活=ホロコースト時代のユダヤ人がゲットーに閉じ込められて迫害された不自由な生活」「政府からの強制=ナチスドイツの政策」というイメージを持つ人が多い。

ホロコースト時代に差別標的のために黄色い星を着用させられたユダヤ人

第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。黄色のダビデの星はナチスが政権を握った国や地域では、ユダヤ人を差別迫害し隔離するために、ユダヤ人には目に見えるように衣服に黄色い星を縫い付けさせた。黄色は欧州では呪われた色だった。

特に西欧諸国では外見からはユダヤ人を見分けるのは困難だったため、黄色い星が縫い付けられた服を着用しているのがユダヤ人の証で、黄色い星をつけたユダヤ人は公共の場所や映画館、公園、店舗などに入ることも禁じられた。そして黄色い星は「この人はユダヤ人なので殴ったり、嫌がらせをしたりしても構わない」とわかりやすくするためのものだった。またアウシュビッツなどの収容所に貨車で移送されたユダヤ人の荷物の選別をしていた囚人は、ユダヤ人が持ってきたトランクから衣類を取り出して、それらに縫い付けられている黄色い星を剥ぎ取る仕事をしていた。黄色い星を剥ぎ取られた衣服はユダヤ人を移送してきた貨車に載せられて、戦中で物不足のドイツに送られ一般市民の古着として活用された。

つまり、「ワクチンを接種していない人」であることを外見からもわかるように「黄色い星をつけさせられている」ということを表明して、「自分達は政府から差別されている」ということをアピールしてデモを行っている。このユダヤの黄色い星に例えられたのも、今回が初めてではなく、もう欧米では何回もあり、その都度ネットでは「ワクチン未接種の人をホロコースト時代のユダヤ人に例えるのはおかしい」「迫害されていたユダヤ人とワクチンを接種していない人とでは置かれている状況が違う」といった声が多く上がり、ネットで大炎上している。

そして今回のパリでのデモでもフランスのユダヤ団体や高齢のホロコースト生存者らが「当時のユダヤ人の状況と現在のワクチン未接種は異なります。比較することはできません」と批判している。

(マイケル・ユーラー提供)
(マイケル・ユーラー提供)

▼ホロコースト時代に黄色い星を着用させられていたユダヤ人

(ヤドバシェム提供)
(ヤドバシェム提供)