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英国海軍 AIで敵のミサイルを察知して超高速で撃破する試験を初めて海上で実施

佐藤仁学術研究員・著述家
(英国海軍提供)

英国海軍はAI(人工知能)技術を活用して、実際のミサイルからの防衛の試験を、スコットランドとノルウェー沖の海上で実施した。英国海軍ではAI技術を軍事の攻防に活用しているが、実際のミサイルでの防衛の試験に使ったのは初めて。AIで船上のミサイルを察知して、トラッキングを行い、防衛のためにミサイルを超高速で攻撃して船上のミサイルが攻撃をしてくる前に爆破させる。経験豊富な人間のオペレーターよりも早く察知して最適な攻撃のミサイルを選ぶことができる。人間の軍人がオペレーションルームで監視しているので、AIだけで攻撃などの判断はしない。

海軍少佐のアダム・レベリッジ氏は「将来の戦場では、人間の軍人よりも、もっと高度で精確な自律した対応ができるようになるだろう」と語っていた。プログラムマネージャーのアラスダー・ギルヒリスト氏は「海軍の船にAI技術を搭載することがきるようになって、実際に試験をしてみて、その実用性を確信しました。NATO軍にとっても有効で重要な戦力になります」とコメントしていた。

イギリスだけでなくアメリカ、ロシア、イスラエル、中国などでもAI技術が軍事で活用されてきている。AIを搭載し、人間の判断を介さないで標的を攻撃する自律型殺傷兵器が開発されようとしている。国連の安全保障理事会の専門家パネルでは、自律型兵器によってリビアで人間が殺害された可能性があると報告していた。人間の判断を介さないで標的の人間を攻撃して殺傷することが非倫理的、非道徳的であることから国際NGOらが自律型殺傷兵器の開発や使用には反対している。

攻撃する兵器もAIを搭載して、AIが判断して攻撃をしかけてきて、防衛側もAIで察知して、攻撃をされる前に敵軍の兵器を破壊しようとしている。将来の戦場の在り方、戦争での戦い方や軍人の役割が大きく変わろうとしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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