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ホロコースト生存者らの体験を描いたスピルバーグ映画「The Last Days」Netflixで配信

佐藤仁学術研究員・著述家
ダライラマを案内するホロコースト生存者のトム・ラントス元下院議員(2005年)(写真:ロイター/アフロ)

映画監督のスティーヴン・スピルバーグ氏が1998年に製作した映画「The Last Days」が5月19日からNetflixで配信される予定(日本で配信されるかは不明)。ユダヤ系アメリカ人でもあるスピルバーグ氏は1993年に「シンドラーのリスト」というホロコースト時代にユダヤ人を救ったドイツ人の物語を映画化。

「The Last Days」はハンガリーのユダヤ人のホロコースト生存者らの物語を映画化して1998年に公開された。映画では1981年から2008年までカリフォルニア州選出の下院議員を務めたハンガリー出身のホロコースト生存者のトム・ラントス氏らも登場している。

スピルバーグ氏はユダヤ人だが、アメリカに生まれたため、彼自身はホロコーストを経験していない。そして1994年に設立された南カリフォルニア大学ショア財団研究所(USC Shoah Foundation)はスピルバーグ氏の多額の寄付によって設立された。ショア財団では、20年以上にわたって、ホロコーストに関するあらゆるデータや生存者の証言を集めてデジタル化して保存したり、録画した証言をYouTubeで全世界に配信したりしている。ショア財団には世界中のホロコースト生存者らの証言集があり、その証言者のほとんどが他界している。

ホロコースト経験者のうちの生存者もかなりの高齢化が進み、記憶が曖昧になってきている。当時の記憶が残っている世代はもはや80代後半だ。それでも、ショア財団では現在でも残っている生存者らに、当時の経験を語ってもらい、彼らの記憶をデジタル化し後世に残していこうとしている。映画「The Last Days」に登場しているホロコースト生存者のトム・ラントス元下院議員も2008年に他界している。映画「The Last Days」もショア財団が製作に協力しており、記憶のデジタル化に貢献している貴重な作品の1つ。

▼「The Last Days」オフィシャルトレイ―ラー

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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