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アメリカ陸軍 初の自律型走行ロボットの走行試験を実施

佐藤仁学術研究員・著述家
初の自律型走行ロボットの走行試験を実施(アメリカ陸軍提供)

 アメリカ陸軍は2021年2月に初めて自律型走行ロボットの走行試験をメリーランド州の陸軍研究所で実施した。木などの障害物を避けて走行している様子を映した動画も公開している。アメリカ陸軍研究所のプログラムマネージャーのジェフリー・ウェストリッチ氏によると自律型走行ロボットが実際に走行する際と同じ環境に近い環境で試験を実施。

 AI(人工知能)技術とロボット技術の発展によって自律化が進んできており、軍事分野でも自律化が主流になろうとしている。特にロボットは3D業務(Dirty:汚い、Dangerous:危険な、Dull:退屈な)に最適であり、人間の軍人よりも適しており、このような自律型走行ロボットは物資の配達などロジスティックスにも欠かせない。

 この自律型走行ロボットには武器を搭載していないので、攻撃訓練などは実施していない。AI技術の発展によって人間の判断を介さずに標的を攻撃して敵を殺傷する自律型殺傷兵器の開発も行われている。人間の判断を介さない標的を殺傷することが非倫理的であるという理由から国際NGOや世界30か国の政府、AI技術者らが自律型殺傷兵器の開発と使用には反対を訴えている。

 アメリカ政府は自律型殺傷兵器の開発には反対していない。むしろアメリカ安全保障会議のAIに関する委員会では、中国のAI技術の軍事分野での活用を懸念して、アメリカ軍も積極的にAI技術を軍事に活用すべきと提案している。委員会では750ページ以上の報告書を作成して「自律型殺傷兵器の開発を禁止することには反対すべきだ」とバイデン大統領に提言している。

▼アメリカ陸軍が公開した初の自律型走行ロボットの走行試験

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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