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イスラエル、新型コロナ対策で病院で働くロボット開発 病院スタッフの業務軽減目指して

佐藤仁学術研究員・著述家
(テクニオン広報室)

 イスラエルのイスラエル工科大学(テクニオン)とヘブライ・レアリ・スクールのロボットクラブは新型コロナウィルス感染拡大で病院での医者や看護師、病院スタッフの業務を削減しようと、病院で働くロボットを開発した。ロボットクラブの学生や卒業生、新型コロナウィルスのせいで失業してしまったエンジニアなども開発に参加。

 「CoRobot」と呼ばれるロボットはカメラが搭載されており、リモートでジョイスティックとスマホアプリでコントロールが可能で、患者のベッドまで薬や食事などを運ぶことができる。無人なので病院スタッフの感染防止にも役立つ。ロボットはイスラエルのラムバン病院で試作機が導入されて試験運用されていく。

 以下にテクニオンが公開した「CoRobot」の紹介動画が掲載されている。ヘブライ語だが動画で「CoRobot」が病院で働く様子はつかめる。

「将来はロボットがコミュニケーション、患者のチェックも」

 イスラエルでの最初の新型コロナウィルス感染での死亡者は88歳のホロコースト生存者だった。3月にはネタニヤフ首相の側近が新型コロナウィルスに感染していたことから首相も検査を受けたが陰性だった。イスラエルでも他の国と同様に一気に新型コロナウィルス感染が拡大し、外出自粛が出されており、病床が不足し、医師やスタッフの激務が問題になっており、医療崩壊が危惧されている。

 イスラエルの学術ロボットプログラム代表のアーロン・ウルフ氏は「この試作機の運用がうまくいくならば、他の病院にも展開していきたい」と語っていた。テクニオンのユリディヴィッチ教授は「ロボットの役割は、まずは遠隔地から患者に必要なものを届けることだが、次のステップとしては、カメラやマイクを通じて、リアルタイムに患者とスタッフがコミュニケーションできるようにしていく。さらに将来は、センサーなどで患者の脈や血液のチェックもできるようにしていきたい」と語っていた。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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