パキスタン、国連でキラーロボットの開発に強く反対:国際人道法による適切な規制を要求
パキスタンの国連大使のHusham Ahmed氏は2019年10月、軍縮や安全保障問題などが議論される国連総会第1委員会において、自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)の開発に対する懸念と反対を訴えた。LAWSはキラーロボットとも称されており、AI(人工知能)の発展によって、兵器やロボットが人間の判断を介さないで、ロボット自身が判断して標的や人間を攻撃してくる兵器で、現在では実戦での活用までは至ってないものの、軍事分野でのAI活用は進んできており、人間が生死をロボットが判断することになりかねないことから、国際社会でも懸念も高まっている。
同氏は「あらゆる兵器の使用と攻撃は、人間の判断が入ってから行われるべきだ。ロボット自身が判断して、人間の判断を介さない兵器は非倫理的であり、国際人道法にも則っていない」と主張。「LAWSの導入は武力紛争の発生と衝突の脅威を減らすことになるかもしれないし、軍縮に繋がるかもしれない」とコメント。「LAWSの課題は法的な問題、倫理的な問題、技術的な側面だけでなく、地域や国際的な安全保障上の重要かつ危機的な問題になりかねない。パキスタンはそのため、LAWSの開発には強く反対し、国際人道法による適切な規制を要求する」と主張。
現在、人間の軍人が行っている3D業務(Dirty:汚い、Dull:退屈な、Dangerous:危険)はロボットの方が適切であり、実際に既に監視業務などはロボットによる代替が進んでいる。AIの発展と軍事分野での応用は進んでおり、LAWSやキラーロボットの出現は現実的になってきている。今回も国連においてパキスタンは地域の安全保障を懸念していたが、特にパキスタンは隣国インドと歴史的にも常に緊張関係にある。インドはAI技術だけでなく情報通信技術においても、パキスタンよりも圧倒的に秀でている。インドでLAWSやキラーロボットが開発され、ロボットが自身の判断で国境を越えてパキスタンに侵入し、実戦で使用されることを懸念。そのためパキスタンは以前からLAWSの開発には強く反対していた。
また両国ともに核保有国であり、人間の判断を介さないで、ロボット自身が判断する際に、核施設なのか軍事施設なのかの区別ができないで、核施設を攻撃してしまうことによって予期せぬ大惨事につながることも懸念されている。