Yahoo!ニュース

ロシア、神風ドローン「KUB-BLA」披露:キラーロボットへの懸念も

佐藤仁学術研究員・著述家
KUB-BLA【提供】

 ロシアのZALA Aeroグループが開発した「神風ドローン」の『KUB-BLA』が、アブダビで開催されている国際軍事防衛展(International Defense Exhibition and Conference :IDEX)で披露された。

「非常に精確で、静かで効率的なドローン兵器」

 「神風ドローン」は、英語でも「kamikaze drone(神風ドローン)」と呼ばれている。他にも「kamikaze strike(神風ストライク)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」とも呼ばれている。「神風特攻隊」にその名前が由来しているように、標的にドローンが突っ込んでいき標的を爆破して破壊する。ドローンなので無人機で遠隔からの操作によって標的に激突し、標的物を破壊する。

 ロシアの国営の防衛企業のRostecのCEOのSergei Chemezov氏は「KUB-BLAは非常に精確に標的を攻撃をすることが出来て、とても効率的な兵器だ。従来の空中戦の在り方を変えるものになる。標的がどこに潜んでいてもセンサーで認識して激突していくことができる。」と称賛。ZALA Aeroのスポークスマンも「KUB-BLAは非常に精確に標的を定めて、静かに敵に近づいていくことができ、利用するのも簡単な兵器だ」とコメント。

キラーロボットへの懸念も

 現在の「神風ドローン」は人間が遠隔地で判断して標的を攻撃をしているが、「神風ドローン」の登場に一部の国ではAI(人工知能)の発展による自律型殺傷兵器(LAWS)やキラーロボットへの発展の危険性を懸念している声もある。

 従来のように遠隔地から人間がドローンを操作して、攻撃をするのではなく、自律したドローンが、人間の判断を介さないで、ドローン自身の判断で標的に激突していくことが、新たな戦争の倫理面や国際人道法の観点から危惧されている。

▼ロシアが開発した神風ドローン「KUB-BLA」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事