コンゴ民主共和国、エボラ感染者の3分の1以上が子ども:ユニセフが報告
症例の10件に1件は5歳未満児
コンゴ民主共和国東部のエボラ出血熱の集団感染の影響を受ける地域において、症例の3分の1以上が子どもであると、ユニセフ(国連児童基金)は2018年12月に発表した。エボラ出血熱の症例の10件に1件は5歳未満児であること、またエボラに感染した子どもは大人よりも死に至る危険性が高いことも併せて報告。予防対策に関する認識向上と、生存率を劇的に高められる早期治療の促進には、さらなる努力が必要と報告している。
親や保護者を失った子ども400人
エボラ出血熱の集団感染の子どもへの影響は、子ども自身が感染した場合だけではない。親あるいは保護者がエボラ治療センターに隔離されたり、感染によって亡くなることで、子どもがひとり取り残されるといった影響もある。
ユニセフはパートナー団体と協力して、集団感染の影響で、孤児となったあるいは保護者がいない子どもを、これまでに400人確認。親や保護者と離ればなれになった子どもの数の増加は、現在のエボラ出血熱感染の中心地であるベニとブテンボにあるエボラ治療センターで治療を受ける患者数の多さとも関連している。
ユニセフはエボラ出血熱に感染した子ども、孤児となったあるいは保護者がいなくなった子どもに対して、栄養ケアや心理社会的ケア、教育支援を含む、子どもたちのニーズに適した支援を提供。ベニのエボラ治療センターの隣に幼稚園を開設し、親が治療センターに隔離された幼い子どもたちを受け入れている。
ユニセフはエボラ出血熱の集団感染の影響を受けるベニ、ブテンボ、マンジナ、マケケで専門家50人以上とともに活動。ユニセフとパートナー団体はエボラ出血熱の集団感染が確認されてから、以下の活動を行っている。
・エボラ出血熱の集団感染の影響を受ける子どもがいる家庭520世帯に対して、心理社会的ケアならびに支援物資を提供
・エボラ出血熱に感染している、あるいは感染が疑われる子ども421人に、心理社会的ケアを提供
・学校で91000人の子どもを対象に、エボラ出血熱の予防に関する情報を提供
・学校の教員4310人に対して、エボラ出血熱に関する情報を提供
・エボラ出血熱への感染リスクが高い地域の学校444校に、手洗い施設を設置
・エボラ出血熱の集団感染の影響を受ける地域の住民675万3000人以上に対して、エボラ対策に関する情報を提供
・エボラ出血熱の集団感染の影響を受ける地域の住民88万9440人に対して、水へのアクセスを提供
「エボラ対策の中心に子どもを据えることが必要」
ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエ氏は「エボラ出血熱に感染した子どもの数が増加していることに、深く憂慮しています。エボラ出血熱に感染した子どもは、専門的な保健施設で治療を受けるのが早ければ早いほど、生存の可能性は高くなります。エボラ感染の早期発見とエボラ治療センターへの迅速な搬送を確実なものとするために、コミュニティの動員と啓蒙活動が必要不可欠です。子どもたちはエボラ出血熱の集団感染のために大変苦しんでいます。エボラで親や保護者を失った子ども、そしてエボラに感染した子どもの両方です。そのために、エボラ対策の中心に子どもを据えることが必要なのです」とコメントしている。