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インド、1か月に2億2500万人以上がYouTube視聴:100万人超のチャンネル登録が300以上

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 インドのインターネット利用者のうち80%がYouTubeにアクセスしていることをGoogleインドが明らかにした。インドでYouTubeが開始されたのが2008年、今年で10周年になる。

 インドではスマホが急速に普及している。Googleによると、スマホでYouTubeにアクセスしている人が1か月に2億2500万人いる。同社では2020年までには5億人に達すると予想している。インドの人口は13億人以上。まだスマホも持っていないし、インターネットにアクセスできない人が大量にいる。

100万人超の登録者がいるチャンネルが300以上

 そして65%以上のインド人がチャンネル登録を行っている。インドYouTubeのRobert Kyncl氏は「2014年には100万人以上の登録者がいるチャンネルは16だったが、現在では300以上ある」とコメント。働いている女性の半分は、化粧品、車、旅行、不動産を購入する際にはYouTubeにアクセスして、購入するかどうかを決定しているとの結果もある。

 Googleは、2016年にはインドで子供向け「YouTube Kids」、2017年4月には少ないデータ通信量でもYouTubeが視聴可能な「YouTube Go」をローンチ。そのため2017年に急速に利用者が伸びたが、その背景としてヒンディー語以外のインドのローカル言語に対応した動画コンテンツが急増したことがあげられる。インド人の90%がローカルの言語でYouTubeを楽しんでいる。

 特にインドでは「ボリウッド」(ハリウッドとボンベイの造語)と呼ばれるインド映画が大人気だ。テレビで放送された映画やドラマが大量にYouTubeにアップされている。それが合法かどうかは別として、実際にそのようなインド映画がYouTubeでも人気が高い。またクリケットの試合のライブや動画の人気がある。日本と同じような「ユーチューバー」もいるし、多くの企業がYouTubeで宣伝動画を作成してアップしている。さらに家族や友人同士で撮影した動画をYouTubeによくアップしている。

▼ボリウッド映画の他にもミュージックビデオもインドでは大人気(Sonymusic India)

インド全国の駅で無料Wi-Fiも提供

 またスマホが急速に普及したインドだが、多くのインド人にとっても通信費用が気になる。そこでGoogleでは誰もがインターネットを利用できる環境を目指してインド全国の鉄道駅に無料Wi-Fiの設置を進めている。通信料金を気にしないでネットにアクセスできる場所で、多くのインド人がスマホでYouTubeを見ている。インドでは低価格のスマホが多く、動画視聴は電池の消費も激しい。そのため、多くの人がスマホを充電しながら動画を視聴している。

 インドでのYouTubeのビジネスモデルは広告収入だ。多くのインド人にYouTubeにアクセスしてもらうことによって広告収入増を目指したいGoogleとしては無料Wi-Fiのようなインフラの提供も重要な投資の1つだ。

▼Googleはインド全国に無料Wi-Fiも敷設している。その様子を伝えている動画。(Google)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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