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サムスン、「iPhone X」に対抗した「Galaxy Note」広告:10年間の機能比較で抗戦

佐藤仁学術研究員・著述家
(サムスンの動画より)

 世界のハイエンドのスマホでの2強といえば、AppleのiPhoneとサムスンのGalaxyシリーズだ。日本ではサムスンのスマホはほとんど売れないので、圧倒的にiPhoneが優位だ。

iPhoneの10年間に徹底抗戦

 そのサムスンがAppleのiPhone Xに対抗してきたGalaxyの新広告を打ち出してきた。以下がその動画だ。

 60秒の動画で、iPhoneが販売開始された2007年から2017年までの10年間をGalaxyのサービスと比較している。

(1)2007年:iPhoneが販売開始された時に、並んでiPhoneを購入。

(2)2010年:カメラを撮影していたら「ストレージがいっぱい」という表示。(GalaxyならSDカードがついている)

(3)2013年:iPhoneではフリック入力でテキストを打ち込んでいる。(Galaxyはスタイラスペンで簡単入力できる)

(4)2016年:水没してiPhoneは使えなくなってしまう。(Galaxyなら防水機能があるので、水没しても大丈夫)

(5)2017年:iPhoneにはイヤホンジャックがないので充電して音楽が聞けない。

 最後には、もうiPhoneを見捨てて、Galaxyを購入。そしてGalaxyのスタイラスペンで「GUESS WHAT I JUST GOT!」(何を手に入れたと思う?)とiPhone Xを購入するために並んでいる人にメッセージを送っている。「Upgrade to Galaxy」(Galaxyに替えよう)で広告は終わる。iPhoneに慣れ親しんでいる日本人には共感できるシーンも多いかもしれない。

まだ勢いのあるサムスン

 「Galaxy Note7」で爆発問題がありながらも、世界規模で見るとサムスンのハイエンドのスマホの勢いはまだ衰えていない。日本や米国ではiPhoneの人気が高い。中国ではサムスンは売れなくなったが、欧州やアジア諸国ではiPhoneと拮抗しているかサムスンの方が優位な国もある。

 サムスンは低価格のスマホからハイエンドのスマホまで多くの端末を供給している。若い頃に低価格のスマホを利用していたユーザが、大人になってからハイエンドなスマホに移行することもよく見られる。

 2017年10月31日に発表した2017年Q3業績発表では、最終利益で11兆400億ウォン(約1兆1140億円)と過去最高を更新し、爆発問題で生産中止になった「Galaxy Note7」の影響も克服。ハイエンドスマホ市場でもiPhoneへのライバル意識むき出しのCMで再び戦いを挑もうとしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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