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ロシア、2丁拳銃を扱うロボット「ターミネーターでなくAIの開発」副首相が言及

佐藤仁学術研究員・著述家

ロシアが開発しているヒューマノイドロボットの動画が公開された。このロボットはFEDOR (Final Experimental Demonstration Object Research)と呼ばれ、両腕に持った拳銃は的を的確に射抜いている。10kgの荷物を持つこともでき、歩行訓練も行っており、自動車の操縦もできるようになるようで、宇宙での利用を目的として2021年の実用化を目指しているようだ。

以下がその動画だ。

まるで映画「ターミネーター」のようだ。ロシアのドミトリー・ロゴージン副首相が自身のTwitterでこのロボットについて「射撃訓練はロボットに優先順位を教えているもので、ロボットが即時に判断ができるようになる。そしてロシアはターミネーターを作っているのではなく、AI(人工知能)の開発のために行っているのだ」と言及している。

ロボットが人を殺しに来る時代に

ロシアの副首相は、ロボットの射撃訓練はAI開発のためと述べている。たしかに怪しい物体や人を見たら瞬時に判断して射殺できるうようになるのだろう。このロボットは宇宙での主に基地建設の支援を目的として開発されているようだが、地上の戦場などでも活用されるのだろうか。人間の兵士が銃殺を行う場合、撃つ側の精神的な負担も大きい。かつてナチスドイツがユダヤ人大量殺戮のためにガス室を考案した理由の1つに殺す側、すなわち銃の引き金を引く兵士の精神的な負担軽減もあったそうだ。ロボットであれば精神的な負担もなく人を殺すようになり、味方の兵士を失うことなく敵を殲滅することが可能だ。

このようなAIを搭載したロボットの場合、いざという時には人間が停止させる「キルスイッチ」がついているだろう。だが、このロボットの頭脳が書き換えられてしまい、無辜の市民が突然殺害されたりするのだろうか。もしかしたらロボット同士で殺し合いが行われるかもしれない。現在、国際社会では人を殺すキラーロボットへの対応について国連などでも議論になっている。キラーロボットの時代が現実にやってくるかもしれない。

以下の動画ではFEDORが自動車の運転や歩行訓練を行っているシーンを紹介。

ロシアのドミトリー・ロゴージン副首相が自身のTwitterでFEDORについて言及。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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