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Twitter:伸びないアクティブユーザー、SMS利用を除くと減少

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Twitterは2016年2月10日、2015年第4四半期(2015年10~12月)の決算を発表した。売上高は前年同期比48%増の7億1,000万ドル。純損失は9,000万ドルの赤字だったが、それでも前年同期の1億2,500万ドルから赤字幅は縮小した。

収入の90%が広告収入で、そのうち86%がモバイル広告

Twitterの売上高のうち90%は、広告収入である。広告の売上は前年同期48%増の6億4,100万ドルだった。そして、モバイル広告が広告売上高全体に占める割合は86%で、2015年第3四半期と同じ割合だった。第4四半期はクリスマスシーズンということもあり、利用者数は伸び悩んでいるものの、広告売上は増加した。売上に占める米国市場が約65%という構造もいつも通りである。

▼Twitterの売上高の推移および広告収入とその他の比率

(Twitter発表資料を元に作成)
(Twitter発表資料を元に作成)

▼売上高の地域別推移と比率

(Twitter発表資料を元に作成)
(Twitter発表資料を元に作成)

伸びないアクティブユーザー、SMS利用を除くと減少

TwitterもFacebookやGoogleと同じように90%以上の収入が広告売上に依拠している構造は同じである。広告収入を増加させるためには、世界中で多くの人に利用してもらい、アクセスしてもらうことが重要である。その指標の1つがアクティブユーザー数だが、Twitterの月間アクティブユーザー(MAU)は全世界で3億2,000万人で、前年同期から9%増加したものの前期から横ばいである。またテキストのみでツイートを受け取る「SMS Fast Followers」を除くと3億500万人で減少している。

Facebookが全世界でMAUが15億人を超え、Instagramも4億人を超え、順調にユーザー数を増加させているものの、Twitterはここ1年の間3億人くらいのままで大きな伸びを見せていない。

▼アクティブユーザー数の地域別推移と比率

(Twitter発表資料を元に作成)
(Twitter発表資料を元に作成)

伸びが期待できなければ、あとはいかに繋ぎ止めておくか

Twitterではタイムラインの表示順を変更して、上の目立つところに「最近の重要なツイート」が並ぶようにしたり、いろいろと仕様を変えてユーザーに使いやすさをアピールしている。

これから利用者の大きな伸びが期待できないのであれば、既存のTwitter利用者をいかに繋ぎ止めておくかが重要になってくる。アメリカ以外では日本やインドネシアではTwitterを利用している人も多く、人気もあるが、最近では多くの新興国でも若者はInstagramやFacebookの方に「つぶやき」の軸を移している。

良かれと思って実施した仕様変更が、今までの利用者にとっては「かえって使いにくい仕様」になってしまい、利用者減に繋がる恐れもある。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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