Google、機械学習でメール返信候補を表示する「Smart Reply」:注力する人工知能

(写真:ロイター/アフロ)

Googleは2015年11月3日、「Inbox by Gmail」アプリに機械学習で返信メールを自動生成する機能「Smart Reply」を追加することを発表した。「Inbox」はGmailに「Google Now」機能を搭載したもので2014年10月からサービス提供されている。

これは受信したメールの内容に応じて、短文の返信候補が3つ、スマートフォンの画面の下に表示される。ユーザーはそれの中からどれか選んでクリックして回答することができる。簡単な短文しか出てこないので、込み入った内容の返信は従来のように自分で打ち込んで返信する必要がある。

「リカレントニューラルネットワーク(RNN)」を採用しており、メールへの返信候補の表示プロセスはすべて機械学習によって行われているため、人間は一切関与していないので「Googleの人間にメールを読まれることはない」ことを強調している。また機械学習はユーザーに多く利用され、情報やデータが多く蓄積されるほど精度が上がっていく。

▼パーティーの招待のメール(左)に対して「参加する」「参加できない」など3通りの返信候補が出てきくる。ユーザーはどれかを選んで回答ができる。短文に自分のメールも追加できる。

予測される3つの回答から選んで返信ができる(Google)
予測される3つの回答から選んで返信ができる(Google)

■Googleが注力する人工知能(AI)

Googleは検索、YouTube、マップなどあらゆるサービスから世界中の情報を収集・蓄積し、それらを広告配信や自社サービスの開発や改善などに活用している。ここ最近では、それら蓄積した情報やデータの解析や次のステップに向けて人工知能に注力しており、投資から開発まで積極的な動きを見せている。下記に最近のGoogleの人工知能分野での主要な取組みを簡単にまとめておく。

イギリスのAI企業「DeepMind TECHNOLOGIES」を買収(2014年1月)

Googleは2014年1月に、イギリスのAI企業「DeepMind TECHNOLOGIES」を買収した。同社の特徴は「機械学習とシステム神経科学の技術を活用した汎用学習アルゴリズムの構築」を行うことである。

人工知能「DQN」がゲームで人間に勝利(2015年2月)

Google傘下となったDeepMindは2015年2月に、AIアルゴリズム「deep Q-network(DQN)」の論文を発表。DQNはビッグデータを解析していくものではなく、ゼロから学習して進化していくのが特徴で、DQNはゲームのルールを学習し「Atari」のゲームではAIが人間にも勝利した。

画像を再構成する「人工神経回路網」(2015年6月)

Googleは2015年6月、何百枚もの写真をAIを活用することによって物の分類を可能にした「人工神経回路網(Artificial Neural Networks)」を開発したことを発表した。Googleの画像検索で利用されているAIは画像を特定するパターンを見つけるが、「人工神経回路網」では画像の中から見覚えのあるパターンを探し出して再構成して画像に出力する機能を持っている。

スパムメールのフィルタリングにAI活用(2015年7月)

2015年7月には、Gmailのスパムフィルターで人工ニュートラルネットワークを採用した。これによって、従来よりも強度なスパムメールのフィルタリングも可能となった。スパムの判断には機械学習機能を強化し、スパムメールかどうかの基準もユーザーごとにカスタマイズできる。

中国の人工知能スタートアップ企業に投資(2015年10月)

Googleは2015年10月、中国の人工知能関連スタートアップ企業のMobvoiに投資を行ったと報じられた。Mobvoiは元Google社員のLi Zhifei氏が2012年に中国で創業したスタートアップで、中国語の音声認識技術を活用した検索エンジンの開発や独自OSによるスマートウォッチ「ticear」を行っている。2015年初頭にはGoogleと「Android Wear」向けの検索や音声認識技術での提携も行った。

検索アルゴリズムにもAI活用(2015年10月)

GoogleのGreg Corrado氏は、Googleの検索アルゴリズムで「RankBrain」というAIベースのシステムを活用していることを明らかにした。Googleで検索される莫大な言葉のうち、約15%は検索エンジンにとって未知のものであり「RankBrain」は検索エンジンが未知の単語、クエリーを理解することを支援するシステムで、未知の言葉を検索エンジンが理解できる数値(ベクター)に変換し、その数値が既存のどの言葉と近い意味を持っているかを推測する。

機械学習でメール返信候補を表示する「Smart Reply」(2015年11月)

「Inbox by Gmail」アプリに機械学習で返信メールを自動生成する機能「Smart Reply」を追加した。受信したメールの内容を機械学習によって、返信候補の短文が3つ、スマートフォンの画面の下に表示される。