コロナ禍で活況のおせち市場。“身近で便利”なコンビニおせちの実力は?
巣ごもり正月で、おせちのニーズが拡大!?
今年の年末年始は、コロナ禍で帰省や旅行を控える人が増える中、おせちの販売動向にも変化が生じている。百貨店では軒並みおせちの予約が好評で、とくに個食タイプのおせちや高額おせちの人気が高く、例年よりも早々に売り切れる商品が続出している。
そもそも現代は、おせちは“つくるより購入派”や、“食べない”という人が増えている。カジナビが今年10月に行なった「おせち料理」に関するアンケート調査では、「おせちを用意する」と回答した人が全体の75%を占める一方で、「用意しない」と回答した人も25%にのぼっている。また、「おせちを用意する」人の内訳は、「セットを購入する」と答えた人が25%で最も多く、ついで「ほぼ購入」と「手づくり・購入半々」が各19%、「ほぼ手づくり」10%、「すべて手づくり」3%となっており、おせちは作るよりも購入する人が多くなっているのは明白だ。
ちなみに、おせちの購入先で最も多いのは、「スーパー」(58%)で約6割を占め、次いで、「デパート・百貨店」(12%)と「ネット通販」(9%)がそれぞれ10%前後、以下、食材宅配サービス(4%)、飲食店(3%)、コンビニ(2%)、ホテル・旅館(1%)という結果に。おせちにかける予算相場は、5,000〜10,000円が最も多く、「おせちは高いから買わない」という意見も見られた。
withコロナのお正月にもマッチ!ローソンストア100の「100円おせち」
アンケートでのおせちの購入先としては2%とごく少数派だったコンビニだが、近年売上げを伸ばしている商品がある。「ローソンストア100」の「100円おせち」だ。使い切りサイズで好きなものだけを選べる点が個食時代のニーズにマッチし、2016年度以降、右肩上がりで販売数が伸長。2019年度は過去最高の約137万個を販売し、2012年度からの累計では約683万個を突破している。
今年の年末年始は、自宅で過ごす「巣ごもりのお正月」になり、また家庭でも、大きな重箱ではなく「一人用の盛り付け・小分け」が増えると考えられる。そこで「ローソンストア100」では、新商品6品を加えた史上最多となる38種類を発売するほか、「おうち時間」を楽しんでもらうため、おせちの盛り付け方を提案。昨年の約1.5倍となる約200万個の販売を見込んでいる。
ローソンのおせちは5種類。関東では、店頭販売の「おひとりさま用おせち」も
一方、ローソンでは、少人数で年末年始を過ごす人向けに、「一段重おせち」(2品)や、「割烹料亭 千賀」監修の「割烹料亭 千賀監修 和風三段重」、厳選した国産食材を使用した「プレミアム和風三段重」など計5品のおせちを販売。店頭受取分は12月25日(金)18時まで予約を受付中だ(※宅配は12月10日にて受付終了)。
同社の顧客データによると、一段重のおせちは30代~40代の男性・女性、プレミアムおせちは50代以上の男性・女性に好評で、おせちの予約数は前年比約130%と好調に推移しているという。
さらに今年は、新型コロナの影響で年末年始を一人で過ごす人も多いと予測されることから、ニーズに応えるためメーカーのNB商品ではあるが、小容量タイプの「京都野村おひとりさま用おせち」(1980円)を、30日よりローソンの店頭(甲信越エリアをのぞく関東限定)で販売する。
意外と買わないコンビニおせち、その実力は?
意外と買う機会の少ないコンビニおせち、どんな内容なのだろうか。今回は、予約販売の「和風一段重」(9800円)、「割烹料亭 千賀監修 和風三段重」(17800円)と、店頭で購入できる「京都野村おひとりさま用おせち」(1980円)の3種類を試食してみた。
配送おせちは、箱を空けた瞬間、ほとんど写真と変わらない見た目に驚く。具がずれることなく、ぎっしりと詰まっていて、とにかくきれいである。日本の食品メーカーや配送システムの企業努力はすごいなあと改めて感心する。
さすがに三段重は華やかで、どれから食べようかなという楽しみも生まれる。鮑の旨煮や海老の艶煮、いくら醤油漬けなどごちそう感のある食材も入っているし、「柚子鶏つくね」や「鶏の三色巻」など肉も数品入っているので、満足感がある。「ごまさつま」や「紅芋きんとん」など、箸休めの甘味はちょっと気の利いた内容で嬉しい。
「和風一段重」は、三段重をコンパクトにした内容で、2人でちょうどよいかなという内容。最近は、ローストビーフやビーフシチュー、エビチリや焼豚など洋食や中華の要素を盛り込んだおせちも増えているが、この2品は王道の和のおせち。「伝統のおせちを楽しみたい」という人に向けた内容になっている。
一方、「京都野村おひとりさま用おせち」(1980円)は、京都・錦市場で誕生した創業80余年の「野村佃煮」が監修。京料理の特徴である「出汁を活かし、素材の色目や風味をそのままに」を踏襲した内容で、昆布巻き、伊達巻、黒豆、数の子、ごまめなど、定番の具材はほぼカバーした14品が入っている。とくに黒豆は粒が大きくしっかりとした食感で、煮物の味も濃すぎず、かまぼこの歯ごたえも悪くない。自分で盛り付ける手間がないのもありがたく、「せっかくのお正月は、伝統的な食事を」というニーズに応えた商品となっている。
今年はコロナで帰省ができず、配送おせちのニーズが高まるだけでなく、会えない家族に送る需要も増えているという。昔は各家庭で女性たちがつくっていたであろうおせちだが、コロナをきっかけに、その文化もさらに大きく変わりつつあるようだ。