Yahoo!ニュース

ラーメン業界を存続の危機から救え!人気店のラーメンが自宅で楽しめる通販サイトが始動

笹木理恵フードライター
「ラーメン凪」のお家ラーメンセット(イメージ) ※画像提供/凪スピリッツ

新型コロナウイルスの影響で、深刻な危機にある飲食業界。テイクアウトはもちろん、ネット通販や宅配事業をはじめる店も増えているが、本来の売上げと比べると、到底及ばないという店も少なくない。

そうした中、「世界に誇る食文化である、日本全国のラーメン店を救いたい」との思いから、4月29日に立ち上げられたのが、人気店のラーメンを購入できる通販サイト「RAMEN STOCK」。人気店の職人が作った店の味そのままのラーメンを、冷凍状態で自宅に届けるというサービスだ。

人気ラーメン店から、販売価格で買い取って通販で売る

人気ラーメン店の味が、自宅で楽しめる「RAMEN STOCK」 ※画像提供/凪スピリッツ
人気ラーメン店の味が、自宅で楽しめる「RAMEN STOCK」 ※画像提供/凪スピリッツ

同事業を手掛けるのは、国内外に「ラーメン凪」を50店舗展開する(株)凪スピリッツ。

同社が、各ラーメン店から販売価格と同等価格でラーメンを買い取り、新たに立ち上げた専用サイトで販売する。ラーメンは、各店、または同社の工場で冷凍状態に加工してパッキング。自宅で温めるだけで、手軽にお店の味を楽しめるというものだ。

「ラーメン店の仲間から、どこも厳しい状況だと聞きまして。幸い、弊社では製麺工場に冷凍設備もあり、また休業している社員もいたので、設備と人材は確保できる。ラーメン店のみんなと一緒に、この難局を乗り切ろう、とこの通販事業を立ち上げました」と、同社副社長の西尾了一氏は説明する。「販売価格での買取ですから、現時点では、弊社にとっての大きな利益には直結しません。しかし、どのお店も、存続のためにいま必要なのは現金です。まずは業界内のお金の循環を生み出すことが、ラーメン文化の存続に繋がると信じています」(西尾氏)。

実際に「ラーメン凪」も、34店舗ある海外店舗は、現在すべて休業中。国内の店舗では、ビニールの仕切りを設置し、消毒を徹底するなどして感染予防に努めつつ営業してきたが、売上げは9割近く減少。営業の合間に、ウーバーイーツやテイクアウトなども行い、「やれることはやる」覚悟で取り組んできた。「RAMEN STOCK」に先駆けて、4月6日に立ち上げた自社の通販事業では、月間1万5000食を販売したという。

「RAMEN STOCK」の商品ラインナップと価格は、下記の通り。中には、本来であれば連日行列ができているような人気店も少なくない。「現在は製造が追いつかない状態のため、ラインナップを順次入れ替えて販売していますが、5月半ばには、もう少し製造体制が整うと思います」と西尾氏。新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食業界全体が崩壊の危機的状況にある今、個店だけの取り組みでは、限界もある。業界の存続を考え、みんなが協力し合い、ともに危機を乗り越えていこうという働きかけは意義あるものであり、今後、他業界でも広がりを見せるのではないだろうか。

【「RAMEN STOCK」商品ラインナップ(予定)】

■第1陣:4月29日(水・祝)~ 

ラーメン大至(東京・御茶ノ水)/ 鶏王けいすけ(東京・秋葉原)

中華そばムタヒロ(東京・国分寺) / 自家製麺ほうきぼし(東京・赤羽)/中華ソバちゃるめ(東京・糀谷)

■第2陣:5月2日(土)~

カラシビ味噌らー麺 鬼金棒(東京・神田)/ 真鯛らーめん麺魚(東京・錦糸町)

スパイス・ラー麺卍力(東京・西葛西)/ 我武者羅(東京・幡ヶ谷)/ 吉祥寺武蔵家(東京・吉祥寺)

■第3陣:5月5日(火)~

中華蕎麦丸め(東京・東久留米)/ 東京スタイルみそらーめん ど・みそ(東京・京橋)

麺の坊 砦(東京・神泉)/ 百麺(東京・世田谷)/ 麺屋六感堂(東京・池袋)

■第4陣:5月9日(土)~

味噌麺処花道(東京・野方) / ラーメン大至(東京・御茶ノ水)

中華ソバちゃるめ(東京・糀谷) / 自家製麺ほうきぼし(東京・赤羽) / 鶏王けいすけ(東京・秋葉原)

※それぞれ限定食数終了次第、販売終了予定

【価格】2食セット:3,280円/4食セット:4,980円 など

※全て税込・送料込(北海道・九州・沖縄は別途400円)

【保存方法】要冷凍

【賞味期限】冷凍保存(-15℃以下)の場合、賞味期限30日

「RAMEN STOCK」

株式会社凪スピリッツ 

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

笹木理恵の最近の記事