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新生”デザートモンスター”の逆襲!2020年はファミマのスイーツが攻める

笹木理恵フードライター
2月4日に発売される「デザートモンスター」(画像提供/ファミリーマート)

2019年は、“ふわとろ”と”サクサク”がヒット

“ふわとろ”食感が新しい「スフレ・プリン」(画像提供/ファミリーマート)
“ふわとろ”食感が新しい「スフレ・プリン」(画像提供/ファミリーマート)

ファミリーマートのオリジナルスイーツブランド「Famima Sweets(ファミマスイーツ)」。

2019年度のヒット商品は、プリンやシュークリーム、クレープなどの王道スイーツをおさえて人気第1位に輝く「スフレ・プリン」だ。2018年11月に発売された「スフレ・プリン」は、ふわふわ食感のスフレと、とろける食感のプリンが同時に楽しめるハイブリッドなスイーツとしてブレイク。バリエーションとして、「スフレ・プリン ストロベリー(※)」、「まっ白ミルクのスフレ・プリン(※)」、「スフレ・プリン ティラミスカフェ(※)」、「たべる牧場スフレプリン」の4品も順次発売し、シリーズ累計販売個数は1,800万個を突破している。

「コンビニスイーツに求められるものを追求すると、やはり気軽に食べられるハンドタイプのニーズが高い。なかでも、食感に特徴のある商品が好調です」と語るのは、スイーツ開発担当の佐藤光さん。実際に2019年に売れた商品を尋ねてみると、2019年1月に発売された「香ばしいクッキーのクリームサンド(レーズン)(※)」(税込135円)、同年3月発売の「アールグレイ香る紅茶のシフォンサンド(※)」(税込238円)、同年4月発売の「香ばし生地のクッキーシュー(※)」(税込150円)などの名前が挙げられた。

サクサクとした生地が特徴の「香ばしいクッキーのクリームサンド(キャラメル&バニラ)」(画像提供/ファミリーマート)
サクサクとした生地が特徴の「香ばしいクッキーのクリームサンド(キャラメル&バニラ)」(画像提供/ファミリーマート)

「スフレ・プリンやシフォンサンドは“ふわとろ”食感。対して、クッキーサンドやクッキーシューは“サクサク”食感。対照的な食感をキーワードにした商品が売れたのが印象的でした」と佐藤さん。とりわけクッキーサンドは、7月に発売したキャラメル味も好評で、現在は、「香ばしいクッキーのクリームサンド(キャラメル&バニラ)」(税込138円)が発売中。今後も、準定番化を検討しているという。

さらに、クッキーサンドとクッキーシューは100円台、シフォンサンドは200円台という部分にも着目したい。「200円台後半のスフレ・プリンが定番化したことも影響してか、これまで100円台が中心だったワンハンドのスイーツであっても、価格に見合う価値やボリュームをきちんと打ち出せば受け入れられるという手ごたえを感じています」(佐藤さん)。

「冷やして食べる」シリーズ&季節商品も好調

ドーナツやパイコロネなど、パンをデザートに仕立てた“冷やして食べる”シリーズ (筆者撮影)※発売終了)
ドーナツやパイコロネなど、パンをデザートに仕立てた“冷やして食べる”シリーズ (筆者撮影)※発売終了)

また最近、ファミリーマートでよく見かけるのが「冷やして食べる~」とネーミングされたスイーツだ。2019年1月に発売された「冷やして食べるパイコロネ(チョコ)(※)」(税込140円)を筆頭に、「冷やして食べるフレンチクルーラー(※)」(税込151円)、「冷やして食べるしっとり食感のバウム(※)」(税込158円)、などを発売。これらは、「パンのような食べごたえのあるデザートを開発したい」という発想から開発がスタート。一般的なパン生地は冷やすとパサついて美味しくなくなってしまうが、生地の配合や製法を工夫し、冷蔵下でもしっとりとして美味しく食べられる生地を開発したという。

本格的な味わいが評判の「ザッハトルテ」(税込298円)(画像提供/ファミリーマート)※発売終了
本格的な味わいが評判の「ザッハトルテ」(税込298円)(画像提供/ファミリーマート)※発売終了

また2019年は「季節のスイーツも好調でした」と佐藤さん。主だったものを挙げると、春の抹茶スイーツ、秋の芋・栗スイーツ、冬のチョコレートスイーツなどだ。抹茶スイーツでは、京都の老舗・上林春松本店が監修。秋は、「安納芋のクレープ(※)」や「イタリア栗のモンブラン」、冬は、フランス産チョコレートを使った「ザッハトルテ(※)」など、いずれも素材にこだわった商品を展開。200円台後半のスイーツもよく売れていたという。

ちなみに、ファミリーマートのスイーツの購買層は、約6割が女性客。「弊社では、長年スイーツの購買層も男性の割合が高く、『男性に売れないスイーツは、売れない』というジンクスのようなものがあったのですが、ここ数年は女性に売れる商品がトップ3に入るようになってきました。シフォンサンドなどはその一例で、夜の時間帯の購入が多いのも特徴です」(佐藤さん)。

社内の反対を抑えデビューする「デザートモンスター」

食感をキーワードにしたハンドタイプスイーツ「デザートモンスター」は、全5品(画像提供/ファミリーマート)
食感をキーワードにしたハンドタイプスイーツ「デザートモンスター」は、全5品(画像提供/ファミリーマート)

「『Famima Sweets(ファミマスイーツ)』は、2018年11月にリニューアルし、より“本物感”をコンセプトに、より素材や製法にこだわった商品づくりを行なってきました。しかし昨今は、良質な素材をアピールするよりも『香ばしい』、『サクサク』といったおいしさをイメージさせるネーミングが響くなど、よりわかりやすい表現が求められていると感じています」と佐藤さん。加えて、若い世代は、スイーツを日常的に“撮って”楽しむ時代。ただ味わうだけでなく、体験としての“楽しさ”が購買意欲をかき立てる。そこで、パッケージからも“楽しさ”を訴求した新商品として満を持して発売するのが、「デザートモンスター」シリーズだ。

「デザートモンスター」シリーズは、「試したくなる、この食感!」がコンセプト。食感に特徴のあるワンハンドタイプのスイーツを、個性あるモンスターのパッケージで展開する。

商品は、「サクッと食感のチョコスティックドーナツ」(税込149円、2月4日発売)、「チョコバナナのもちもちクレープ」(税込178円、2月4日発売)、「生チョコのもちもちクレープ」(税込170円、2月11日発売)、「焼きチーズタルト」(税込168円、2月11日発売)、「ブリュレシュー」(税込213円、2月11日発売)の全5品。2月4日より2週に分けて発売される。

それぞれのスイーツをモンスターに見立てたカラフルなパッケージは、日常的にスイーツを撮影してSNSにアップする若い世代も意識して開発したもので、本物感を訴求する従来のパッケージとは一線を画すデザイン。当然、社内の反対も少なからずあったという。「コンビニスイーツは、短時間で選んでもらうために、いかに中身をわかりやすく伝えるかが重要なので、本来は『中身を隠さないパッケージ』が大前提。また、食感を前面に打ち出すにあたって、本当にその食感を維持できるのか、といった味づくりの指摘もありました」(佐藤さん)。

たとえば「サクッと食感のチョコスティックドーナツ」では、ドーナツにチョコがけをするだけではなく、ビスケットを加えることでサクサク感を演出した。また新登場となる「ブリュレシュー」では、カリカリとした食感が持続するように、使用しているクリームの配合や商品の仕立てなどを工夫したという。

「コンビニでしか食べられない新食感の味」と「SNSでの影響力」という2つの任務を背負った「デザートモンスター」。今後の戦いぶりが注目される。

※文中「※」印の商品は、現在は販売を終了しています

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

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