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セブンのスイーツはなぜおいしい?商品開発について聞いてみた

笹木理恵フードライター
「濃厚バニラカスタードのシュークリーム」(画像提供/セブン‐イレブン)

2018年に「スイーツアンバサダー」をスタートするなど、近年、スイーツのブランディング強化を図るセブン‐イレブン。全国に直営工場をもつ強みに加え、定番商品の徹底した磨き上げにより「街の洋菓子店」を目指す同社の取り組みを取材した。

誰もが知っている定番スイーツに強み。コンセプトは「街の洋菓子店」

2017年にリニューアルした「THE セブンシュー」※現在は販売終了(画像提供/セブン‐イレブン)
2017年にリニューアルした「THE セブンシュー」※現在は販売終了(画像提供/セブン‐イレブン)

「近くて便利」をコンセプトに掲げるセブン‐イレブン。オリジナルスイーツに関しては、「街の洋菓子店になる」をテーマに、「身近なコンビニで、専門店品質のスイーツが買える」ことを重視して商品開発に取り組んできた。ゆえに、シュークリームやプリンなど、王道のスイーツのおいしさは、幅広い層に支持されている。

「全国に2万店以上展開するセブン‐イレブンの主要客層は、30~50代の男女。主力商品であるおにぎりやサンドイッチなどの商品と一緒に買ってもらえるようなものを前提として、定番のスイーツを中心に強化してきました」と説明するのは、商品本部でベーカリー・スイーツを担当するチーフマーチャンダイザーの櫻井宏子さん。「以前から、スイーツのブランディングに関しては業界の中では少し弱いと感じていました。そこで、2017年4月にスイーツを大幅に刷新し、こだわりの卵「エグロワイヤル」を使った「THE セブンシュー」をはじめ、エクレアやロールケーキ、豆大福などの定番商品をリニューアル。安全・安心な商品開発を行い素材や原材料を訴求することで、専門店で購入する方が安心して買える、お子さまにも食べてもらえるスイーツづくりに努めてきた結果、だんだんとスイーツの認知度も高まり、女性のお客様が増えてきました」(櫻井さん)。

スイーツは年間120アイテムほど新商品を発売している。看板スイーツは、不動の人気を誇るシュークリーム。絶対的な人気商品ゆえ、異なるタイプのシュークリームをつねに2品販売しているほどだ(2019年9月現在は、「濃厚バニラカスタードのシュークリーム」と「カスタード&ホイップのダブルシュー」)。また、2016年から発売をスタートした新感覚のシュークリーム「もこ」シリーズも、季節ごとに限定フレーバーを販売し、20~30代の若い層を中心に人気が定着。最近では、カップスイーツの「ダブルレアチーズケーキ」が、若い女性を中心に人気を集めている。

チルド和洋菓子を作る専用工場は、全国20か所以上。テスト販売で改良も

セブン‐イレブンのスイーツは、専用工場を全国にもっているのが最大の強み。各工場や原材料メーカーと連携して商品開発を行い、フレッシュな状態で各店舗に配送することができる。スイーツの開発を担当する人間は、本部では櫻井さんを含む限られた人だけ。セブン‐イレブンは、原材料メーカーや包材メーカー、製造メーカー等とチームを組んで商品開発にあたる「チームMD(マーチャンダイジング)」を採用している。スイーツに関しても、チーム内で企画の段階からそれぞれの知見や情報を共有し、新しいスイーツを作り上げる。原材料から専用に開発する時もあれば、製造機器の開発から行うこともある。

また、肝入りの新商品の場合は、必ず事前にテスト販売をするのもこだわりだ。「全国に2万店以上あるため、テスト販売を行い、販売いただいている加盟店様やお客様の反応を確認し、生産量を調整したりしています。テスト販売を受けて商品を見直したり改良したり…というのを含めると、全国に供給できるようになるまでには1年以上かけている商品もあります」(櫻井さん)。

ケーキを気軽に食べられるカップスイーツで販売し、大好評

モンブランやショートケーキなどのケーキを、カップで気軽に楽しめるのがテーマ(画像提供/セブン‐イレブン)
モンブランやショートケーキなどのケーキを、カップで気軽に楽しめるのがテーマ(画像提供/セブン‐イレブン)

最近のセブン‐イレブンのスイーツの中で目立つのが、常時2~3品を揃える「カップスイーツ」だ。ショートケーキやモンブラン、チーズケーキなど王道のケーキをカップスタイルにしたもので、税込300円という高価格帯の商品ながら、2019年2月の発売以降、好調な数字を記録。昨年の夏に比べ、カップスイーツ全体の売上も好調に伸長しているという。

ケーキタイプの商品はこれまで、クリームやスポンジにこだわって作っていたが、期間限定のみの品揃えだった。こだわりの原材料と製法で作り上げたケーキを、より多くのお客様に食べていただきたいという強い想いがあり、年間を通して売れるケーキタイプの商品開発に着手したという。「ワンハンドのスイーツに比べるとケーキ類は食べるシチュエーションが限られますし、当時は購入頻度も少なかった。また、購入いただくお客様からは、車の中で食べにくいという声があったので、もっと手軽に楽しんでいただきたいと考えた結果が、カップに入れるという方法でした」(櫻井さん)。

実は、カップに入れるという発想は、同社のサラダカテゴリーの「カップデリシリーズ」等からヒントを得ている。「カップの形状を統一することにより、売場全体にも統一感を出すことで存在感が出ました。お客様にとっても選びやすく、また従業員さんが商品を陳列しやすいというメリットがありました」と櫻井さん。全国に専用工場があるので、乳脂肪分の高いホイップクリームを使い、冷凍せずチルドの状態でお店に運ぶことができる。強みであるおいしいクリームをたっぷり使ったカップスイーツは、ケーキを1個だけ買いたいが、ケーキ屋さんまで足を運ぶのに躊躇してしまう方からは好評だという。

定番商品は、毎年リニューアル。今秋以降は、インパクトのある新商品も導入予定

女性に好評の「濃厚バニラカスタードのシュークリーム」(税込129円)(画像提供/セブン‐イレブン)
女性に好評の「濃厚バニラカスタードのシュークリーム」(税込129円)(画像提供/セブン‐イレブン)

定番スイーツを看板商品にするというのは、簡単なようでいて難しい。どこでも買える商品だから、美味しくなければセブン‐イレブンでは買ってもらえないし、定番だからこそお客様からは高い品質が期待される。そこでセブン‐イレブンでは、定番のスイーツに関しても年1~2回のタイミングでリニューアルを実施している。「シュークリームやプリンといった王道のスイーツにもトレンドの味の傾向があるので、それも意識しています。「濃厚バニラカスタードのシュークリーム」は今年4月に刷新したばかりで、従来品よりも生地の存在感を出し、中のクリームはバニラが香る本格的な仕立てにしました。女性のお客様を意識してサイズは小ぶりにしたことで、お客様には好評をいただいています」(櫻井さん)。

 

また、2018年春よりファンづくりの一環として「スイーツアンバサダー」の展開を始めて以降、SNSでの情報発信が増え、ファンや新規のお客も増えているという。「これまで定番商品を中心に品揃えを強化していましたが、新しいお客様が増え、商品の買われ方や人気商品の傾向も変わってきました。今後は更に話題性のある商品を強化していきたいと思っています。是非、楽しみにしていただけたら嬉しいです」(櫻井さん)。

定番商品をブラッシュアップしつつ、新たな客層に向けた新商品も導入していくセブン‐イレブン。リニューアルしたシュークリームは、確かに昨今の人気店の味の傾向をよくとらえた商品だった。全国2万店以上の強みを生かし、人気の専門店品質のスイーツを日本中で買えるようにするという目標に向かい、ますます商品力を高めている。

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

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