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メーガン妃が料理とおもてなしのシリーズを製作。世間の反応は冷ややか

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

 王室批判ネタを売りにしたドキュメンタリーシリーズ「ハリー&メーガン」以来ヒットに恵まれないメーガン妃とハリー王子が、ようやく次の企画を発表した。

 2020年にNetflixと結んだ複数製作契約の一環で、プロジェクトはふたつ。どちらもノンフィクションシリーズで、ひとつは、メーガン妃による料理、ガーデニング、おもてなし、友情をテーマにしたもの。もうひとつは、ハリー王子が愛するスポーツ、ポロについてのものだという。

 タイトルは明かされていないが、いずれもスタッフはなかなかしっかりしている。メーガン妃のシリーズのショーランナーを務めるリア・ハリトンは、セレーナ・ゴメスが出演する料理についてのリアリティ番組「Selena + Chef」のエグゼクティブ・プロデューサーを務めた人。監督のマイケル・スティードはアンソニー・ボーデインが出演する食についての旅番組「Anthony Bourdain: Parts Unknown」を何話か監督した人で、どちらも食べ物の撮り方は知っていそうだ。一方、ハリー王子のシリーズでは、ライアン・レイノルズがプロデュースするイギリスのサッカーチームについての人気ドキュメンタリーシリーズ「ようこそレクサムへ」のプロデューサーのひとりであるミロス・バラクがショーランナーを務めるという。

 メーガン妃と、夫妻のプロダクション会社アーチウェルがハリウッドの超大手タレントエージェンシー、ウィリアム・モリス・エンデヴァーと契約を結んで、ほぼ1年。また、Netflixとの大型契約も、来年末で期限を迎えようとしている。その間に発表された唯一のプロジェクトであるハリー王子のドキュメンタリーシリーズ「ハート・オブ・インビクタスー負傷兵士と不屈の魂―」は、Netflixのアクセスランキングトップ10に一度も入らず、アワードにも引っかからなかった。昨年はまた、メーガン妃が、Spotifyからポッドキャスト制作の契約を切られるという屈辱も受けている。この時には、「Netflixも同じ決断をするのではないか」と憶測されたのだが、Netflixは夫妻とのパートナーシップを大切にしていると主張。複数のプロジェクトのアイデアがあるとも語ってきた。

料理やおもてなしのエキスパートとして視聴者を説得できるのか

 とは言っても、アイデアも才能もやる気もないとのイメージが定着してしまった夫妻にとって、次は正念場だ。その評判を覆す、世間を興奮させるような企画を、時間をかけて考えていたのかと思いきや、出てきたこれらの企画は薄っぺらいとしか言いようがない。

 メーガン妃は今年2月、キッチンアイテムやジャム、料理本などを扱うアメリカン・リヴィエラ・オーチャードというブランドを立ち上げたところ(まだ実際には何も販売していない)。シリーズを通じてブランドを宣伝し、グウィネス・パルトロウやマーサ・スチュワートのような立ち位置のタレントになろうとしているのはわかる。しかし、パルトロウのGoopは長いこと彼女が自分で書く無料のニュースレターで、ビジネスとなったのは何年も経ってからだった。そこまでに彼女のセンスの良さは証明されており、だからこそGoopがウェブサイトを通じて彼女が認証する物を販売するようになった時、女性たちは飛びついたのだ。

 だが、そういう実績がないメーガン妃が突然お皿やテーブルクロスを発売しても、消費者を説得できるのだろうか。また、料理番組が多数ある中で、料理の経験がどれだけあるのかもわからない彼女のアドバイスを聞きたいと思う人は、どれだけいるのか。それに、彼女はいつからおもてなしのエキスパートになったのだろう?ポロのシリーズにしても同様。ハリー王子の名前がなかったとしてもNetflixがこの企画にゴーサインを出したに違いないというような面白いものでなければ、ヒットするとは考えづらい。

「彼女が友情について語るの?」と笑う声も

 それは世間のたいていの人が思うところのようで、コメント欄を見るかぎり、これらの企画への反応は非常に冷たい。その中には、「Netflixが思いついた最高のアイデアがこれ?」「Netflixは空気が読めないんだね。誰もあのふたりを見たくないんだよ。これらもまた失敗する。損失が出るから会費をまた上げる。Netflixをキャンセルすると決めた」というNetflixに対する批判も多数。

 メーガン妃については、ハリー王子と結婚するにあたって父を含む身近な人々を疎遠にしたことから「彼女が友情について語るわけ?」と笑う声もある。料理、ガーデニングに関しても「実際にやるのは誰だろうね?メーガンはそれを自分がやったことにするんだね」、「そこまでプロに作らせておいて、鍋をかき混ぜるところで彼女が登場するんでしょ」、「料理だって?彼らはとにかくなんでもやってみてどれかが当たることを願っているのかな」などといった書き込みが見られる。ポロのシリーズについても、「誰も興味のない金持ちのスポーツ」、「あれは残酷なスポーツだ」など、反応はネガティブだ。

 いずれのシリーズもまだ「製作の初期段階」とのことで、配信開始がいつになるのかはまるで見えない。下がり続ける一方のこの夫妻の人気が、その頃までにどうなっているのかも、これらのシリーズが成功するのかどうかにかかわってくるだろう。ここまで誰にも楽しみにされていない企画をすばらしいものにしてみせたら、それこそ大逆転だ。果たしてこのふたりはそれをやってみせられるだろうか。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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