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大谷翔平ほどではないが…交際、結婚をうまく隠した大物ハリウッドセレブたち

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
ジョニー・デップとアンバー・ハードは最初の頃お家デートで交際を隠していた(写真:ロイター/アフロ)

 大谷翔平選手が結婚していたという突然のニュースが、日米で大きな話題になっている。これだけの有名人が、恋人がいたことすらうまく隠し続けたとは、セレブが多く住むロサンゼルスの人々にとっても驚きだ。

 それができたのも、大谷選手本人はもちろんのこと、奥様も、世間に知られないように徹底してきたことが大きいだろう。恋のはじめは誰だってものすごく幸せで、その喜びを表明したくなるというもの。秘密にするべきとわかっていても、つい匂わせるようなことをやってしまったりもするものだ。

 大谷選手ほどではないが、ハリウッドの大物にも、メディアに嗅ぎつけられるのをうまく避けた人たちはいる。たとえば、ジョニー・デップ。彼がアンバー・ハードと交際を始めたのは、共演した映画「ラム・ダイアリー」のプロモーションツアーが始まってすぐのこと。その頃、デップと長年のパートナー、ヴァネッサ・パラディの関係はすでに壊れていたのだが、世間はそのことを知らなかった。

 ハードとの関係がバレると子供たちが傷つくし、ハードが「家庭を崩壊させた悪女」にされてしまう恐れもあるため、デップは交際を秘密にしようと主張。コンサートで手を握り合っているところが目撃され、交際が公になったのは、デップとパラディが破局を発表した8ヶ月後。それまではひたすらどちらかの家でのデートで、交際の事実を知っていたのは、デップのボディガードなどごく身近なスタッフと、ハードの親友らのみだった。

 それでも、ハードがデップの愛用するTシャツを着ていたことがあったり、ふたりが密かにお揃いのブレスレットをつけていたりなど、後になって振り返ると、彼らはあちこちにヒントを出していたことがわかる。デップとハードの結婚は1年3ヶ月で破綻。2022年春にはお互いを名誉毀損で訴える裁判がヴァージニア州で行われ、デップが勝訴した。

スカーレット・ヨハンソンとライアン・レイノルズは極秘結婚を実現

 スカーレット・ヨハンソンと最初の夫ライアン・レイノルズは、2008年、見事にマスコミを出し抜いて極秘結婚式を挙げた。彼らが交際しているのも、婚約したことも世間の知るところながら、結婚式がいつ、どこで計画されているのかについての情報は出ないまま。だが、婚約から4ヶ月後、実はもうレイノルズの故郷であるバンクーバーで結婚式を挙げていたと報道されたのだ。当時、ヨハンソンは、「プライバシーを守ることが私のミッションだった。自分自身のために、それを達成したかった」と語っている。ふたりは2年後に破局。ヨハンソンは現在3番目の夫コリン・ジョストと、レイノルズは2番目の妻ブレイク・ライヴリーと幸せな家庭を作っている。

 ウディ・アレンと妻スンニ・プレヴィンの結婚式も、秘密裏で行われた。プレヴィンは、アレンの長年のパートナー、ミア・ファローが、2番目の夫アンドレ・プレヴィンと結婚していた時に韓国から引き取った養女。自分の知らないところで恋人と娘(それも当時プレヴィンは高校生)が関係を持っていたと知ったファローは、当然のことながら激怒。その後、ファローは、当時7歳の養女ディラン・ファローにアレンが性的暴行を加えた疑いがあると告発。警察も動き出し、訴訟沙汰になって、大スキャンダルとなった。

 そのごたごたの間、裁判に不利にならないよう、一緒に住むことを控えていたアレンとプレヴィンは、すべてが落ち着いた1997年、ふたりが愛するヴェネツィアで結婚。ヴェネツィア市長の取り計らいで使わせてもらえることになった市の所有する建物に、ふたりは別々に到着。式の後も時間をずらせて退出し、ホテルで落ち合ったが、まもなく噂を聞きつけた「ニューヨーク・ポスト」の記者から電話がかかってきた。アレンとプレヴィンは現在も夫婦として仲良く暮らしている。

何年も後に回顧録でわかったトップスター同士の恋

 世界のトップスターであるジュリア・ロバーツと、アメリカで圧倒的な支持を得た「フレンズ」の俳優マシュー・ペリーも、人気の絶頂期に秘密のロマンスを堪能している。彼ら自身も実際に会わない中で愛が育まれていったことが、世間に知られずに済んだ大きな理由だ。

 きっかけは、「フレンズ」のクリエイターが、ロバーツにゲスト出演を依頼したこと。ロバーツが「マシュー・ペリーのストーリーにかかわる形でなら出演する」と答えたことから、クリエイターはペリーに「あなたからジュリア・ロバーツに花束を贈ってあげてほしい」と言ってきた。自分が名指しされたことに感激したペリーは、素敵なメッセージを添えて36本の赤い薔薇を贈る。そのお返しとして、ロバーツはなぜか大量のベーグルを送ってきて、ファックスでのやりとりがスタート。やがてロバーツが自分の電話番号と「電話して」というメッセージをファックスしてきて電話での会話となり、次にはロバーツがペリーの家にやってきた。

 だが、そのロマンスは、わずか3ヶ月で終わる。アルコール依存症だったペリーが、いつか自分は振られるのだから、その前に自分から振ろうと決めたからだ。2022年秋に出版された回顧録に、ペリーは、破局を告げられた時の、「わけがわからない」というようなロバーツの表情を忘れられないと書いている。ペリーは一度も結婚することなく、昨年秋、54歳の若さで亡くなった。ロバーツはカメラマンの夫ダニー・モダーと3人の子供を育てている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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