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20個の受精卵は全部男の子。悲願の女児を誕生させたパリス・ヒルトンに祝福と皮肉の声

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
第2子の誕生を発表したパリス・ヒルトン(写真:REX/アフロ)

 パリス・ヒルトンに第2子が誕生した。

 アメリカが感謝祭の祝日である現地時間23日(木)、ヒルトンは、ソーシャルメディアに「私の女の子の赤ちゃんに感謝する」というメッセージとともに、ピンクのベビー服にぬいぐるみとハート型のサングラスが添えられた写真を投稿。ベビー服には「ロンドン」と名前が描かれている。

 このネーミングに、人々はすぐ反応をした。由来がロンドン・ティプトンであることは明らかだからだ。

 ロンドン・ティプトンは、ディズニー・チャンネルで2005年から放映された「スイート・ライフ」に登場したキャラクター。ティプトン・ホテルのオーナーの娘で、ティーンエイジャーの彼女は、ファッションが大好きでブランド物しか身につけない。まさにヒルトンのパロディのキャラクターだが、その名前をわが子につけるとは、なかなかユーモアのセンスがある。

 ただし、ヒルトンは過去に、「ロンドンは大好きな街だから」娘をそう名付けたいと語っていたので、本当の理由はもっと単純なのかもしれない。それでも、ロンドン・ティプトンを知らないはずはないし、この名前に決めたのは10年ほど前だったともヒルトンは語っている。「スイート・ライフ」の放映開始は18年前だから、それより前だ。余談だが、ロンドン・ティプトンを演じた女優ブレンダ・ソングは、マコーレー・カルキンのパートナー。カップルは2021年4月にひとりめ、昨年12月にふたりめの子供を授かっている。

「赤ちゃんを買うために大金をはたいた」との批判も

 ロンドンちゃんの父親は、ヒルトンと2021年に結婚した実業家カーター・リーム。夫妻は今年1月、代理母を介して第1子を授かった。男の子で、名前はフェニックス君。

 代理母を雇うという選択をしたのには、友人キム・カーダシアンの影響もあったようである。カニエ・ウエストとの間に4人の子供を授かったカーダシアンは、第3子と第4子を作るにあたり、代理母を雇った。その前の出産でリスクが高かったからということだが、ヒルトンにどのような理由があったのかはわからない。

 フェニックス君が夫妻の元にやってきてまもない今年2月、ヒルトンは、イギリス版「Glamour」に対し、パンデミックのロックダウンの間にリームと受精卵を20個作って凍結したが、全部男の子だったと語っている。女の子が欲しいので、つい1ヶ月前にまた試みたとも述べており、それがロンドンちゃんだったのだろう。今回もまた代理母を使ったのかどうかについては語っていないものの、ソーシャルメディアのやりとりを見れば、妹ニッキー・ヒルトンですらもうすぐ姪が生まれてくることを知らなかったようだし(知らないふりをしていただけなのかもしれないが)、お腹が大きい姿も目撃されていないので、そうだと思われる。

 ヒルトンに念願の娘が誕生したのを受けて、ソーシャルメディアには、「おめでとう」、「最もおしゃれなベイビーになるでしょうね」、「すばらしい名前」などたくさんの祝福のコメントが寄せられた。だが、一方では、「好きな性別が出てくるまで何度もやって、代理母を雇う。まるでAmazonで買い物するみたいだ」、「赤ちゃんを買うために大金をはたいた。かつて犬にそうしたように」、「育てるのはナニーでしょ。彼女にとってはアクセサリーなんだよ」など皮肉なコメントも少なくない。

ヒルトンの半生をA24とファニング姉妹がテレビ化

 ティーンの頃からソーシャライトとしてパパラッチに追いかけられ、メディアを賑わせたヒルトンは、ニコール・リッチーと出演した2003年のリアリティ番組「シンプル・ライフ」でハリウッドでのブレイクを果たした。その後、「蝋人形の館」(2005)や「REPO!レポ」(2008)など映画にもいくつか出演し、アルバムもリリースするも、女優、シンガーとしてのキャリアはぱっとしないまま。しかし、香水、サングラス、ホテルなど数々の分野に進出し、ビジネスウーマンとして大成功を果たした。投資家、DJとしても活躍しつつ、2020年にはドキュメンタリー映画「This Is Paris」をリリース。その中で、寄宿制高校で虐待を受けた辛い過去について告白し、同じような状況にある若者を守るための抗議運動を始めた。

「パリスとお料理」の1場面(Kit Karzan/Netflix)
「パリスとお料理」の1場面(Kit Karzan/Netflix)

 最近は、Netflixで料理番組「パリスとお料理」、Peacockでリアリティ番組「Paris in Love」を配信。また、今年3月には「Paris: The Memoir」を出版した。この回顧録の映像化権は、センスの良い作品選びで知られるA24が早々と獲得している。ダコタ&エル・ファニング姉妹のプロダクション会社も製作にたずさわり、映画ではなくテレビシリーズにする予定で進められているらしい。

 ハリウッドでは最近まで俳優組合、脚本家組合のストライキがあったため、出演者も脚本家も決まっていないが。ファニング姉妹のどちらかがヒルトンを演じることになるのかは、非常に気になるところである。42歳になっても、まだまだ彼女は世間を騒がせ続けそうだ。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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