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ハリー王子、本の宣伝で今週末テレビに出演。予告映像に早くも多くの批判

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 予想されていたことが、やはり起こった。今月10日に回顧録「Spare」が発売になるのに合わせ、ハリー(ヘンリー)王子の独占インタビューが、現地時間8日(日)、アメリカとイギリスで放映されることがわかったのである。

 アメリカでインタビューを放映するのは、CBSの報道番組「60 Minutes」。インタビュアーはアンダーソン・クーパーだ。1分弱の予告映像の中で、ハリー王子は、「(王室内での)プライベートな会話だと思って話したことは毎回リークされ、僕と妻を批判する記事に使われた。『(メディアに対して)決して不満を言わない、決して説明しない』が家族のモットーだが、それは単なるモットーにすぎない。(王室は)記者に話をして、記者はもらった情報で記事を書く。記事の最後はいつも『我々はバッキンガム宮殿にコメントを求めている』で締め括られるけれども、(実際には)その記事全部がバッキンガム宮殿のコメントなんだよ」と、自分たちについて悪いことが書かれるのは王室のせいだと示唆。さらに、この6年間、王室が自分たち夫妻を守るための発言をしてくれなかったことについて、「家族のほかのメンバーのためにはやるじゃないか。ある時点で(彼らの)沈黙は裏切りになったんだ」と責めている。

 イギリスでインタビュアーを務めるのは、ハリー王子を20年以上知るトム・ブラッドビー。インタビューはITVが放映する。インスタグラムに投稿されたこちらの予告映像は、質問部分がカットされ、ハリー王子の言葉を寄せ集める形で編集されている。その中でも、ハリー王子は「こんな展開になる必要はなかったのに」「リークされて、仕掛けられて」「僕らを悪者にしておくほうが良いと彼らは感じているようだ」と、同じ不満をぶちまける。その一方で「僕が望むのはインスティチューション(王室という世界名物)ではなく家族なんだ」「僕は父を取り戻したい。兄を取り戻したい」と、家族への未練を滲ませてもいる。

(itvnewsroyalsのインスタグラムより)
(itvnewsroyalsのインスタグラムより)

 だが、そんな彼に同情する人は少ない。ソーシャルメディアに飛び交うコメントは、「本当に家族と仲直りをしたいなら、金儲けのために家族の話をするのをやめるべき」「仲直りしたい人が、世界中が見るテレビに出るわけか。なるほど」「ハリー、あなたは悪者だよ。あなたとメーガンは、自分たちがいかに酷い人なのかを見せ続けている」など、批判的なものがほとんどだ。

「いつになったら彼らは本気でプライバシーを得ようとするんだろうか。彼らは私たちよりもプライバシーを求めていないように見える」「また別のドキュメンタリーを作るために家族に関するネタが必要なんでしょ。だから父親から被害を受けたふりをして、Netflixに『新たな素材がありますよ』と言うのよ」などという皮肉なものも見られる。「彼に放映時間をあげるのはもうやめて」「メディアはどうしてハリーとメーガンの嘘を毎日のように報道し続けるのか」などというテレビ局への批判もいくつか見受けられた。このインタビューを「絶対に見ない」というボイコット宣言もある。

インタビュー放映後はきっとまたメディアが大騒ぎ

 それでも、日曜日が来たら、アメリカとイギリスでは多くの人がこのインタビューにチャンネルを合わせるのだろう。そして、これまたいつものように、翌日にはインタビューでのハリー王子の発言がメディアを賑わせるはずだ。アメリカとイギリスで別のインタビューを行い、同じ日に放映することにしたおかげで、今回は普通の倍のネタがある。誰が考えたのかはわからないが、なかなか賢い。

 Netflixで先月配信開始されたドキュメンタリーシリーズ「ハリー&メーガン」は、「新しい情報が何もない」「退屈だ」「酷い内容」と言われながら、それが逆にどれほど酷いのかと好奇心を掻き立て、結果的にヒットとなった。その勢いはまだあるのに、ハリー王子とメーガン妃は、このダブルインタビューで、そこへさらなる油を注ごうとしている。この炎はどこまで燃え上がるのか。2023年が始まっても、世界はあいかわらずこのふたりに踊らされている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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