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ジョニー・デップとアンバー・ハード、判決後に送ったメッセージ全文

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 ヴァージニア州で行われていた名誉毀損裁判で、ジョニー・デップが勝訴した。判決を受けて、デップとアンバー・ハードはそれぞれにインスタグラムを通じてメッセージを送っている。その全文を紹介する。

ジョニー・デップ

「6年前、僕、僕の子供たち、僕に最も近い人たち、長年僕を支え、信じてくれてきた人たちの人生が、永遠に変わりました。

 瞬きをする間に。

 僕は、メディアにより、嘘の、とても深刻な犯罪を問われ、そこから嫌悪のコメントが延々と寄せられるようになりました。僕は何も告発をされていないというのに。それはすごいスピードで世界を2周し、僕の人生とキャリアに多大なる影響を及ぼしました。

 そして6年後、陪審員たちは僕の人生を取り戻してくれました。そのことに心から感謝をします。

 この件を追及するという決断は、熟考に熟考を重ねた上で下しています。法的なハードルがとても高いことや、自分の人生が世界にさらされるのが必至であることがわかっていたからです。

 最初から、訴訟を起こす上での僕の目的は、結果がどうなろうとも、真実を伝えるということでした。僕の子供たちのためにも、揺るがずに僕のことをずっと支え続けてくれた人たちのためにも、僕には真実を伝える必要がありました。ついにそれを達成した今、心に安らぎを覚えています。

 世界中から押し寄せてきた愛とサポート、優しさに、僕は圧倒されました。今も圧倒されています。真実を伝えようとした僕の行動が、男性であれ、女性であれ、僕と同じ状況にいる人たちや、彼らを支えている人たちを諦めさせないためのお手伝いができたことを願います。また、裁判においても、メディアにおいても、有罪になるまでは無罪という姿勢に戻ることも願っています。

 立派なお仕事をしてくださった判事、陪審員、裁判所のスタッフ、保安官の方々にお礼を言わせていただきます。ここに至るために、彼らは自分の時間を犠牲にしてくれました。そして、勤勉で揺るぎない僕の弁護士チームにも。僕が真実を分かち合えるよう、彼らはすばらしい仕事をしてくれました。

 最高のことはこれから起こります。新しいチャプターがようやく始まりました。

 Veritas numuquam perit.

 真実は決して滅びません。

 1/6/22 U.K.  ジョニー・デップ」

写真:代表撮影/ロイター/アフロ

アンバー・ハード

「今日私が感じている失望は、言葉で表せません。山のような証拠も、ずっと大きなパワー、影響力、支配力をもつ私の元夫に立ち向かうには十分でなかったことに、心が打ち砕かれています。

 この判決が女性たちにどんな意味をもたらすのかということに、私はもっとがっかりしています。これは後戻りです。声を上げる女性が公に批判され、侮辱された時代に後戻りしたのです。女性に対する暴力を真剣にとらえなくていいという時代に戻ったのです。

 ジョニーの弁護士は、言論の自由をいう大事な問題と、イギリスでの裁判を勝利に持ち込んだしっかりした証拠を、陪審員が見逃すようにすることに成功したと私は信じます。

 この裁判に負けて悲しいです。でも、アメリカ人として自分がもっていたと思っていた権利を失ったことに、もっと悲しみを覚えます。自由に、オープンに語る権利を。」

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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