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ドウェイン・ジョンソンとメーガン・マークル、アメリカ大統領を狙う?

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
次の野心の対象はアメリカ大統領?(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ザ・ロック様が大統領選に出馬?以前から囁かれてきたそんな噂が、さらに現実味を増してきた。

 ドウェイン・ジョンソンは、アメリカ時間9日、「46%のアメリカ人は、ザ・ロックことジョンソンが大統領になるのを支持する」という「Newsweek」の記事をツイッターに投稿。それに対して、「身長195cm、ハゲていて、タトゥーを入れていて、半分黒人、半分サモア系、テキーラを飲むのが好きで、ピックアップトラックを運転していて、ベルトバッグを愛用する男が仲間入りするなど、建国の父たちは想像していなかったでしょう。でも、もしそんなことが起これば、僕は喜んで国民のために奉仕させていただきたいと思います」とコメントを寄せた。

 ジョンソンは、2024年か2028年に出馬するかもしれないという可能性を、数年前から匂わせてきている。2016年には「GQ」に対し、「大統領になるというアイデアは魅力的。出馬する可能性はある」と語っているし、翌2017年にもテレビ番組に出演した際に「考えている」と述べていた。今年2月に出た「USA Today」の記事でも、「出馬するかしないかを決めるのは人々」と語っていたところだ。そんなところへ、これだけ多くの人々がそれを望んでいるとわかり、今、ますますその気になっているのではないかと思われる。

「Newsweek」によると、この調査は4月2日から4日にかけてオンラインで行われ、約3万人から回答を得たものということだ。最近は、マシュー・マコノヒーもテキサス州知事選に出馬する可能性をちらつかせているが、この調査では、ジョンソンが大統領になることとマコノヒーがテキサス州知事になること、両方を支持すると答えた人が29%いた。ほかのセレブリティが大統領になることについては、30%がアンジェリーナ・ジョリー、27%がオプラ・ウィンフリー、22%がトム・ハンクスを支持すると答えている。

メーガン・マークルも「ホワイトハウス入りに向けて準備中」

 この調査には名前が出なかったものの、実はもうひとりホワイトハウス入りを狙っている有名人がいる。ハリウッド女優転じてサセックス公爵夫人となり、その後、夫ハリー王子と制作会社を設立してNetflixやSpotifyと大規模な契約を結んでみせたメーガン・マークルだ。

 発売になったばかりの「Us Weekly」最新号によると、マークルは、「人々の手助けをするためには政治が一番の近道」と考え、早くもカマラ・ハリス副大統領のスタッフに連絡を取り、自分にやらせてもらえることはないかと問い合わせているとのこと。内部の事情を知る人物は、「メーガンは将来、大統領選に出ることを真剣に考えている」と語っているし、やはり事情に詳しいという別の人物も「メーガンは政治でキャリアを積んでいくと強く決めている。自信にあふれていて、今、すべてがうまい方向に行っているとも感じている」と述べている。

 それらの人々によると、実際に出馬をするのはおそらくまだ先だが、そのための心構えは十分で、特訓モードに入っているということだ。ハリー王子は、妻が夢を追いかけるならどんなことであっても支えるという態度だということである。黒人の血が入った女性として初めて英国王室入りをし、話題を集めたマークルは、次に、黒人女性として大統領になり、新たな歴史を作ろうとしているということだ。ただし、大統領に関しては、彼女の前に、すでに副大統領であるハリスが、“初”の肩書きを取ってみせる可能性もある。

知名度のあるセレブは選挙でも有利

 政治家に転向した、あるいは転向を試みたハリウッドセレブは、過去にも多数いる。代表的な例はもちろん、ロナルド・レーガン元大統領だ。アーノルド・シュワルツェネッガーは2003年から2011年までカリフォルニア州知事を務めたし、クリント・イーストウッドは1986年から2年間、カリフォルニア州カーメルの市長を務めている。「SEX AND THE CITY」のミランダことシンシア・ニクソンは、2018年、ニューヨーク州知事選に民主党から出馬したが、アンドリュー・クオモに破れてしまった。昨年の大統領選では、トランプ支持者として知られてきたお騒がせセレブ、カニエ・ウエストがトランプのライバルとなって出馬している。そのトランプもまた、リアリティ番組で有名になったセレブである。

 かなり前にはジョージ・クルーニーの政界入りが噂された時期もあった(彼の父でテレビ司会者のニック・クルーニーは、2004年に下院議員選挙に民主党から出馬し、負けている)。アレック・ボールドウィンも政界入りを真剣に検討したことがある。しかし、演技への未練と、ニューヨーク以外の場所に住みたくないという気持ちから断念した。そんな彼は、トランプが大統領に立候補してからというもの、コメディ番組「Saturday Night Live」でトランプをコミカル演じ、強烈な批判をするという手段で、政治的メッセージを国民に伝えている。

 抜群の知名度があるセレブは、一般的に言って、選挙において有利だといえる。シュワルツェネッガーは、2019年の筆者とのインタビューで、「ターミネーターに票を入れているんだと思っている人が多少なりともいたんだから、それはプラスだよ。選挙では、一票、一票が大事。そういう考えをした人が100万人いたとしたら、勝つ上で大きい」と語っていた。

 ただし、その代償もある。スターとして愛されてきただけに、政治家としてはがっかりされることもあるのだ。シュワルツェネッガーも、「実際に州知事になり、何かの問題を解決できなかった時、『あなたはターミネーターなのに、これを解決できないんですか?』と言われた。私が、『あなたがお住まいのエリアの農場に水をやる上で、連邦裁判所が連邦の水を使ってはいけないと言ったからです』と説明しても、『ターミネーターならダムを破壊して水を撒いてくれると思ったのに』と言われたよ」と振り返っている。映画のように、すべてうまくはなかなかいかないのだ。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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