Yahoo!ニュース

スーパーボウル傑作CM:マシュー・マコノヒー、ティモシー・シャラメなど今年もスターが続々出演

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
ドリトス3DのCMのマシュー・マコノヒー(YouTube)

 コロナ禍にあっても、今年もまたスーパーボウルが盛り上がった。フットボールに興味がない人にとっての見どころは、いつものことながら、ハーフタイムショーと、コマーシャル。感染者数が減少傾向にあるとはいえ、今もまだ毎日人の命が失われている中、不適切なことをやらないよう、今年、広告主は相当に神経を使ったようだ。コカコーラのように、今年は最初からスポットを自粛することにした企業もある。出すと決めた会社も、通常のように笑いを取ることを狙ったコマーシャルは避けるのではないかとの予想も出たが、実際には笑えるものもたくさんあり、ハリウッドの大物スターも、例年のようにたくさん出演していた。

 中でも面白かったのは、マシュー・マコノヒーが出演する、スナック菓子ドリトス3Dのコマーシャル。紙のようにぺたんこになったマコノヒーが、「最近、自分らしく感じられないんだ。人生はかつてもっと豊かだったのに。前のように戻れる方法があるはず」とつぶやき、最後に自動販売機でドリトス3Dを買って食べると立体的になる、というもの。途中、人気トークショー司会者のジミー・キンメルも出演する。監督したのが、「ラ・ラ・ランド」で史上最年少にてオスカー監督賞を受賞したデイミアン・チャゼルというのも特筆すべきだ。

 ジェネラル・モータースのEV(電気自動車)のコマーシャルには、コメディアンのウィル・フェレルが出演。人口ひとりあたりのEV普及率でノルウェーがアメリカのずっと先を行っていることを悔しがったフェレルが、オークワフィナとキーナン・トンプソンを引き連れてノルウェーまで殴り込みに行くという設定だ。

 アシュトン・カッチャーとミラ・クニスは、夫婦でスナック菓子チートスのコマーシャルに出演した。カッチャーから「また僕のチートスを盗んだ?」と問い詰められたクニスは、「私じゃないわ」と否定し続けるのだが、指先にチートスのせいで色がついていてバレる、という筋書きだ。ほかに、グウェン・ステファニとブレイク・シェルトンも、T-Mobileのコマーシャルにカップルで出演。ジョン・トラボルタは、スコッツ&ミラクル・グローのコマーシャルで、娘エラと、微笑ましく「グリース」のダンスを踊っている。

 ティモシー・シャラメは、「シザーハンズ」をパロディにしたキャデラックのコマーシャルで、ウィノナ・ライダーと共演した。手がハサミになっていていろいろ不自由がある息子(シャラメ)に、ライダー演じる母親が、ハンズフリー機能のあるキャデラックを買ってあげるというストーリーである。

 ほかには、ダヴィード・ディグスが、フードデリバリー会社ドア・ダッシュのコマーシャルで「セサミ・ストリート」のキャラクターたちと共演している。マイケル・B・ジョーダン、ジェイソン・アレキサンダー、ドン・チードル、「シッツ・クリーク」のダニエル・レヴィなども、それぞれ別のコマーシャルに出演した。

 通常、スーパーボウルでは、夏のハリウッド大作映画の予告編も多数流れるのだが、コロナで映画館の経営再開の見込みが立たないとあり、今年は、来月5日、劇場公開と同時にDisney+で配信もする「ラーヤと龍の王国」や、M・ナイト・シャマランの「Old」(7月23日北米公開予定)、公開が去年から1年延期した「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」(5月28日北米公開予定)くらいにとどまっている。配信作品では、昨年、パラマウントがAmazonプライム・ビデオに権利を売った「Coming 2 America」(3月5日配信予定)、来月19日にDisney+で配信が始まるマーベルの「The Falcon and the Winter Soldier」の予告編が流れた。

 映画の新しい予告編を見られるのも、スーパーボウルの楽しいところ。来年までにはアメリカの映画館状況も落ち着いて、またこれらの予告編が戻ってくるだろうか。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

猿渡由紀の最近の記事