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ジョニデのファンが結束。ディオール商品は売り切れ、ハード追放の署名運動は盛り上がる

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

 ジョニー・デップのファンが、結束を強めている。イギリスのタブロイド紙に対する名誉毀損裁判に負け、DV男の認定を受けても、まだデップを香水「ソヴァージュ」の宣伝に使い続けているディオールを支持し、ファンが積極的に商品を買っているようなのだ。イギリスのビューティ商品サイトcosmetify.comによると、デップが敗訴してから、ソヴァージュの検索数は23%もアップしたとのこと。別のサイトIBBBでもこの秋冬の男性用コロンのベストセラーの1位に君臨しているし、一部では売り切れているとの情報もある。ツイッターにも、「ソヴァージュが売り切れになる手伝いをしてくれた人たち、ありがとう」とのファンの投稿が見られた。

 実際、ツイッターには、デップのファンがソヴァージュを購入した証拠写真が多数投稿されている。ある投稿には、写真と一緒に、「今夜、メイシーズ(デパート)でこれを見て、私も支持しなきゃと思い、父のためにコロンを買いました。ディオールに、私たちがジョニー・デップを支持していることを見せなければなりません」と書かれていた。別の投稿には、「彼を愛し、サポートをしてくれて、ありがとうございます。ファンとして、私は、あなたたちにこんな形でお礼を言いたいと思います。私が今日、これらの商品を買ったのは、ジョニー・デップが理由です」とある。「あのすばらしい香水の宣伝にジョニー・デップを使い続けてくれるディオールは、さすがです。あの香水はもともと好きなので、夫のために買います。このまま売り上げが伸びますように!」というのもあった。イギリスでは、デップのCMがまだ流れていることを不快に感じた視聴者から苦情も寄せられたようだが、ホリデー商戦の中、これらの商品の売り上げはますます伸びが期待できそうである。

 一方で、「アクアマン2」からアンバー・ハードを降板させろという署名運動も盛り上がっている。Change.orgでこの運動を立ち上げたのは、ロサンゼルスに住むジーン・ラーソンという女性。「ジョニー・デップは、アンバー・ハードがDV加害者であることを明かしました。彼が起こした5,000万ドルを求める裁判で、彼は、当時の妻であるアンバー・ハードから苦しめられた事例を多数挙げています。彼女に顔を殴られたことも2度ありますし、ウォッカのボトルで指をケガさせられ、手術を受けたこともあります。その傷痕は一生残ります」「ハードがジョニー・デップに顔を殴られたという話は嘘で、本当は彼女が彼を殴ったのです。彼女がジョニー・デップに殴られたとされる日、彼女が住むビルのスタッフや近所の人は直後に彼女を見ましたが、彼女の顔には何も異常がなかったと言っています」「女性同様、男性もDVの被害を受けます。それを認識し、そのための行動を取らなければなりません。加害者だとわかっている人が、エンタメ業界で祝福されるようなことがあってはなりません。正しいことをしてください。アンバー・ハードを『アクアマン2』から降板させてください」と、彼女は呼びかける。目標とする署名は300万で、現在までにその半数を超える160万が集まっている。

「アクアマン2」を製作、配給するのは、「ファンタスティック・ビースト」シリーズと同じワーナー・ブラザース。「アクアマン2」の北米公開予定日は2022年12月16日とまだ先で、脚本もまだ完成していない状態とあり、考える時間はある。デップが敗訴した直後に、すでに撮影が始まっていた「ファンタスティック・ビースト3」から彼を降板させ、代わりにマッツ・ミケルセンを雇ったワーナーは、デップファンの声を聞いてハードにも同じ対応をするだろうか。彼らの決断が注目される。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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