Yahoo!ニュース

レナ・ダナムが明かす苦しいコロナ体験。回復後も続く地獄

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

 手足の感覚の麻痺。発疹。音への異常な反応。回復してからも、ひどい頭痛と関節炎に悩まされる。

 アメリカで新型コロナの感染者が増え続けているにもかかわらず、まだ事態を深刻に受け止めない人がいる現状を見て、女優レナ・ダナム(34)が自分の体験を明かした。彼女がインスタグラムに投稿したその告白文によると、感染したのは3月なかば。今まで黙っていたのは、「すでに多くのことが言われていて、実際にたくさんの命が失われているところに、不必要な声を足すことはしたくなかったから」だ。書いては削除し、削除してはまた書くということを繰り返した彼女は、しかし、コロナにかかるということがどんなに苦しいのかを人々に知ってもらおうと決めたという。

「コロナウィルスは、人を殺します。それはみんな知っています。でも、それだけでなく、このウィルスは体を変え、感染した人に予測できなかった体験を与えるのです」というダナムに、最初に出た症状は、関節の痛み。さほど気にしないでいたら、すぐに極度の疲労感と発熱が加わった。

「足の神経が焼けたような感じになり、筋肉が思うように動かなくなりました。手の感覚も無くなりました。大きな音に耐えられなくなりました。眠れなくなり、起きられなくなりました。味覚と嗅覚が失われました。咳が、まるでメトロノームが音を刻むような感じで出続けました。コップの水を飲む程度の簡単なことをしても、息ができなくなるのです。あちこちに発疹も出ました。目と目の間にひどい頭痛を覚えました。自分があたかもコンセントを抜かれた後に間違った配線をされた機械であるかのように感じました」。

 そんな状態が21日も続いたが、入院はせず、医師の助言を受けながら、自分で隔離生活を続けた。1ヶ月後に受けた検査で、結果は陰性。それでも楽になったわけではない。手や足がむくみ、頭痛と疲労感のせいで、体が思うように動かないのだ。「普段から慢性的に体調が悪い」と自認する彼女でも、「あれほど苦しかったことはありません」。関節炎がひどく悪化したため、副作用のある薬を飲まねばならず、ほかにも「ここでは言いたくない、変な症状がいくつかあった」という。

「はっきりさせておきたいのですが、新型コロナにかかる前、こういう症状はありませんでした。どうして私の体がこんなふうに反応したのか、また私がどのように回復していくのか、お医者さんたちはまだわかっていません」「COVID-19がもたらす長期に及ぶ後遺症は、今、まだ研究がなされているところです」と語る彼女は、「だから、いいですか、聞いてください。これは同僚に風邪をうつすのとは違うのです。『悪かったね。次、ランチおごるから』では済まないのですよ」と、人々に訴えかけた。「自分と他人を守るための行動を取り続けて。そうすることで、こんな苦しみを体験しなくて済むのです」と呼びかける彼女の投稿には、西海岸時間1日正午時点で、9万以上の「いいね」が付いている。

メル・ギブソン、ブライアン・クランストンも感染

 ダナムの告白の少し前には、メル・ギブソン(64)とブライアン・クランストン(64)も、コロナに感染していた事実を明かしている。ギブソンは4月に感染し、L.A.の病院に1週間入院、レムデシビルを使った治療を受けたとのことだ。ギブソン本人の言葉はなく、彼のパブリシストによる報告。

 一方、クランストンは比較的軽症だったとのことである。インスタグラムに投稿したビデオで、彼は、「コロナ対策のルールをきちんと守っているつもりだったのに感染してしまった」と告白。コロナ疲れしているであろう世間の人々に、「わかるよ。でも、もうちょっとがまんしよう」と、マスク着用、ソーシャルディスタンスの徹底を呼びかけた。

 アメリカではこれまでに460万人が感染し、15万人が死亡している。感染した有名人に、トム・ハンクス、リタ・ウィルソン、イドリス・エルバ、オルガ・キュリレンコ、ダニエル・ディ・キム、クリストファー・クロス、トニー・シャルーブ、ハーベイ・ワインスタイン、クリス・クオモなどがいる。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

猿渡由紀の最近の記事