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「美女と野獣」ライブコンサート、豪華キャストに加えアラン・メンケンも出演

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
「美女と野獣」ライブコンサートはL.A.の名所ハリウッドボウルで上演(筆者撮影)

 素敵な魔法が、再び。アニメ、ブロードウェイミュージカルを経て、昨年、エマ・ワトソン主演でライブアクション映画化された「美女と野獣」が、今度は屋外コンサートに生まれ変わった。

 会場は、L.A.の名所ハリウッドボウル。25日と26日の2公演で、舞台のスクリーンでアニメ版が上映される中、オーケストラが生演奏をし、キャストが歌って踊る、いわゆるシネマコンサートだ。

 しかし、今回ならではの試みやサプライズもあった。たとえば、二幕目の最初にはチェロとバイオリンによる見事な演奏が。後半では、昨年のライブアクション映画のために新たに作曲された「ひそかな夢」を、野獣役のアンソニー・エヴァンスが熱唱している。さらに、最後にはなんと作曲家アラン・メンケンが弾き語りをしてくれたのだ。メンケンはこのコンサートのエグゼクティブ・プロデューサーを務めているので、最後に舞台に上がったこと自体は驚きではなかったが、演奏をしてくれたのは、観客にとって思わぬプレゼントだった。

最後には、作曲家アラン・メンケンがサプライズ出演。名曲をメドレーで演奏してくれた(筆者撮影)
最後には、作曲家アラン・メンケンがサプライズ出演。名曲をメドレーで演奏してくれた(筆者撮影)

 キャストは豪華で実力派揃い。主人公ベルをゾーイ・デシャネル、ポット夫人をトニー賞女優ジェーン・クラコウスキーが熱演。「ひとりぼっちの晩餐会」を歌うルミエールには、ケルシー・グラマー。コメディ番組「Cheers」「Frasier」でアメリカの人気者となったグラマーだが、名門ジュリアード出身の彼はブロードウェイやウエストエンドなど舞台経験も豊富で、トニー賞にノミネートされたこともある。

 もっともおもしろいのは、ル・フウをオーストラリア人女優レベル・ウィルソンが演じたことだろう。悪者ガストンの手下で、映画に笑いを提供してくれるル・フウは、昨年のライブアクション映画でジョシュ・ギャッドが名演している。ウィルソンによる「強いぞ、ガストン」も、負けず劣らず楽しく、エネルギーに満ちあふれていて、会場を大きく湧かせた。ウィルソンは2016年の「リトル・マーメイド」コンサートにも出演しており、次はどんな役でハリウッドボウルに戻ってきてくれるのか、今から期待がふくらんでしまう。野獣を演じるエヴァンスとガストン役のテイ・ディグスが黒人というのもオープンな発想で、新鮮だ。

ル・フウを女優レベル・ウィルソン、ガストンを黒人俳優のテイ・ディグスが演じた(筆者撮影)
ル・フウを女優レベル・ウィルソン、ガストンを黒人俳優のテイ・ディグスが演じた(筆者撮影)

 衣装コンテストがあると告知されていたこともあって、会場には、イエローやブルーのドレスを着た小さな女の子や、野獣のマスクをかぶったパパの姿が多数見受けられた。手の込んだポット夫人の衣装を手作りして着てきた人もいる。そこまではしなくても、ティアラをつけるなど、ちょっとしたことでプリンセス気分を表現している人も多く、「美女と野獣」への根強い愛をあらためて感じた夜だった。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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