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マライア・キャリー、映画の撮影現場でわがまま行動。出演シーンはカットされる

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
キャリーはウィル・フェレルのコメディ映画にカメオ出演するはずだった(写真:Splash/アフロ)

大晦日ライブの失態から半年。マライア・キャリー(47)が、イメージダウンから抜け出すどころか、さらに深いところへ落ちてしまった。彼女がカメオ出演するはずだった新作映画の共演者が、撮影時のエピソードを赤裸々に告白したのだ。

その映画は、 ウィル・フェレルとエイミー・ポーラーが主演する30日北米公開予定の「The House」。娘の大学費用を使い込んでしまった夫婦(フェレルとポーラー)が、自宅の地下室で違法カジノを経営して金稼ぎをしようとするコメディで、キャリーはひとつのシーンに本人役で出るはずだった。

しかし、西海岸時間水曜日、深夜トーク番組「Late Night with Seth Meyers」に出演したフェレルは、彼女のシーンがカットされたと告白。マイヤーズに「でも、彼女は現場には来たのですね?」と聞かれると、「最終的にはね」と答え、「深夜零時、僕が自分のトレーラーで(自分の出番を)待っていたら、ドアがノックされ、今晩はあなたの番まで行き着きませんから帰っていいですと言われた」と、キャリーが激しく遅刻してきたことを示唆した。それを聞いて爆笑したマイヤーズも、過去に、キャリーにひどい目に遭わされたことを匂わせている。

プロデューサーも兼任するフェレルがこのようにちらりと語ったのを受けて、共演のセドリック・ヤーブローは、フェイスブックで彼女に対する怒りを爆発させた。「ウィルがあのことについて話したから、僕も話そう」という文で始まる長い投稿で、ヤーブローは、キャリーが3、4時間ほど遅れてきたと明かしている。彼女があまりにも来ないので、時間を無駄にしないよう 、現場のスタッフは代理の女性を使って撮影を進めて、キャリーが来たら、同じことをやってもらい、映像を組み合わせようと考えた。しかし、ようやく現れた彼女は、「ダーリン、私はそういうのをやらないの」と拒否したのだという。ヤーブローは、「それが、彼女が言ったとおりの言葉。僕が自分で聞いた」と書いている。

ヤーブローによると、さらにキャリーは、髪をなびかせるため、高いところから大型の扇風機を回すように指示したそうだ。それは、クレーンを必要とする大がかりな作業。「彼女の態度はプロ意識に欠如し、監督に対する虐待と言ってもいい」と責めるヤーブローは、「通常、俳優のコミュニティでは、同僚の行動について公言することはしないものだ。その日、何か辛いことがあったのかもしれないし、私生活で何かを乗り越えているのかもしれないからね。マライアも、そうだったのかもしれない。それでも、監督やクルーをあんな目に遭わせるのは、ひどいよ」と続けた。(ヤーブローは、その後、自分のフェイスブックページから、この投稿を削除している)。

トレーラーをバラで埋め尽くせとも要求

先月には、別の共演者ロブ・ヒューベルも、ラジオ番組でキャリーの行動について語っている。彼によると、キャリーはそのシーンで撃たれて死ぬという設定で、納得して出演を受けたにも関わらず、文句を言ってきたそうである。さらに、彼女の撮影はたった1日であるのに、自分のトレーラーを白いバラと羊のぬいぐるみで埋め尽くすようにと指示したらしい(キャリーのファンは、自分たちのことをlambs、つまり子羊たちと呼ぶ)。この1日の撮影で彼女は相当なギャラを手にしたとも、ヒューベルは語っている。

昨年、オーストラリアの大富豪ジェームズ・パッカーに一方的に婚約を破棄されて以来、キャリーはネガティブな話題でメディアをにぎわせ続けてきた。パッカーに対して損害賠償を要求するも、結婚していなかったのだからとはねつけられ、彼女の生活についてのリアリティ番組の製作者は、急遽、パッカーのシーンをすべて削除するよう言い渡される。代わりに、番組では、婚約破棄の直後からつきあい始めた14歳年下の新恋人ブライアン・タナカを出してきて、幸せ感を打ち出すも、大晦日のタイムズスクエアのライブで口パクがバレるという大失態を犯してしまった(マライア・キャリーがNY大晦日ライブで大失態。2016年の終わりにふさわしい?)。「視聴率アップのためにわざとやったのだ」と彼女がプロダクション会社を非難したのも、一部からさらなる批判を呼んでいる。

だが、2月にはジミー・キンメルの深夜トーク番組で新曲を歌い、とりあえずの挽回を果たした。来月から始まるライオネル・リッチーとの「All the Hits」ツアーで、再び実力を証明し、本格的に浮上するかと期待されていたら、またこんな形で悪い話が表に出てしまったわけだ。今回は、さすがに彼女も、「興行成績アップを狙ってわざとこの話題を出した」とは言えないだろう。

それにしても、ウィル・フェレルのコメディで、キャリーが風に髪をなびかせつつ何をやろうとしたのか、ちょっと気にならなくもない。カットされたということはファニーではなかったのだろうが、別の意味でおもしろかったのではないか。しかし、番組の中で、フェレルが「まだDVDというものがあるなら、特典映像に入ったかもね」と言ったとおり、ストリーミングが主流となってしまった今では、ごく一部の関係者のみが知る、幻の映像として残るのかもしれない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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