「ファインディング・ドリー」が、ものすごい勢いで泳ぎ続けている。

先週金曜日に北米公開され、アニメ映画で史上最高のオープニング記録を打ち立てた「ドリー」は(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160620-00059022/)、学校がすでに休みに入っていることもあって、週明けも着実に数字を伸ばし、米時間21日(火)までに1億7,700万ドルを売り上げた。2、3日以内に2億ドルの壁を突破するのは確実で、公開2週目となるこの週末には7,000万ドル強の売り上げが予測されている。この数字は、「トイ・ストーリー3」が、2週目の週末に46.7%ダウンしたことも参考材料にして推定されたものだ。

現在、アニメ映画で公開2週目の週末北米興行成績記録をもつのは「シュレック2」(2004)で、7,200万ドル。現在の予想をやや上回る数字を出せば、「ドリー」はまたもや新しい記録を作ることになる。公開初週末に、予測されていた1億2,000万ドルを上回る数字を上げたことを考えれば、可能性は十分。観客の感想を調査するシネマスコア社の調べでもAを獲得しており、口コミの影響も期待できる。最大のライバルは、今週末公開される超大作「インデペンデンス・ディ:リサージェンス」。だが、こちらは5,000万ドルが予測されており、「ドリー」の2週連続1位獲得は、ほぼ間違いないと見られる。

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現在、北米の映画館でかかっているファミリー向け映画は、公開3週目の「ミュータント・タートルズ:影<シャドウズ>」(現在7位)と、公開5週目の「アングリー・バード」(現在10位)くらいで、競争もほとんどない。来月8日にアニメ映画「ペット」が公開されるまでは、ファミリー層のひとりじめ状態が続きそうだ。とは言え、大人の観客を惹きつけていることも、「ドリー」の成功の理由のひとつ。公開初日の金曜日には、5,500万ドルと、アニメ映画の1日の売り上げとしては最高記録となる数字を出したが、それには、子供連れではない大人の観客の貢献も大きく、午後7時以降に400万ドルを売り上げている。これは、批評家をはじめ大人に評判の高かった昨年の「インサイド・ヘッド」の倍に当たる。

2003年の「ファインディング・ニモ」の世界興収は8億6,800万ドルだった(2012年の3D版公開の数字は含まない)。「ドリー」はおそらく「ニモ」を抜くことになるだろうが、「ニモ」の頃には、中国の存在がほとんどなかったことを考慮すべきである。「ドリー」は中国でも大ヒットで、初週末にピクサー映画最高記録の1,770万ドルを売り上げた。「ニモ」は、アメリカの次に日本が稼いでおり、来月の日本公開でどれだけ数字を上げるかが注目される。

「ドリー」の快挙は、ハリウッドの業界全体が喜んでいる。最近公開された映画の多くがふるわず、北米興行成績が現段階で昨年を22%下回っているせいだ。とりわけ続編ものの不振が目立ったことが懸念されたが、「ドリー」の結果を見る限り、人は続編というものすべてに飽きているわけではないということだろう。ひとつ前の映画「アーロと少年」で創業以来初の赤字を出したピクサーも、名誉挽回ができて、ほっとしているはずだ。しかし、17本公開していて、赤字が1本だけというのは、普通なら考えられない見事な実績である。

4月から“夏”と考えられるハリウッドでは、シーズンもほぼ中盤戦に差しかかった。この後控える期待作には、「ターザン:REBORN」、スピルバーグの「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」、女性キャストでリブートする「ゴーストバスターズ」、日本では当たっていないがほかの国では大人気の「アイス・エイジ」シリーズ新作、「スター・トレック BEYOND」、マット・デイモンが主演に復帰する「ジェイソン・ボーン」、DCコミックにもとづく「スーサイド・スクワッド」、「ベン・ハー」のリメイクなどがある。9月のカレンダーをめくるまでに、失われた22%を取り戻すことができるだろうか。