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モナコのグレース・ケリーの孫娘、金正恩にかみつく

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家
左からカミーユさん、伯父のアルベール2世、伯母のカロリーヌ王女。昨年カジノにて。(写真:REX/アフロ)

モナコ公国の、今は亡きグレース・ケリーとレーニエ大公の孫娘に、カミーユ・ゴットリブというお嬢さんがいる。

次女ステファニー王女の第3子である。22歳と若い。

彼女がインスタグラムで8月18日、北朝鮮の金正恩委員長を公に攻撃した。

一体、私たちはどういう世界に住んでいるというの?

どうすれば、政治家がこのようなことを請け合って、しかも自国民に「命令」することができるっていうの?

怒りの対象は、もちろん7月に金委員長が出したという「ペット禁止令」である。

洪水やコロナで、大経済危機にある北朝鮮が、ついにペットすら食用に送り込んだか・・・とまことしやかに噂されている。

参考記事(夕刊フジ):なんと韓国が報道! 正恩氏「ペット禁止令」で犬肉鍋店送り 経済悪化、コロナ、洪水原因か

モナコといえば、モンテカルロのカジノが有名だ。金委員長は「ペットを飼うとはブルジョワだ!」と攻撃しているというが、まさに絵に描いたようなブルジョワである。

もっとも、「ブルジョワ」って元々は平民階級のお金持ちのことだから、モナコの貴族(公族)はブルジョワじゃない。つまり「特権階級から特権階級への批判」が正解だろう。

彼女は続ける。

私たちは進化して、こんなに悪くなっている私たちの世界を、何とかしようと頑張るしかない。

自分の国の住人に、ペットを食べさせようとする暇があったら、人種差別、環境、貧困、自然災害、飢饉、人口過多、男女格差、病気、私たちが経験しているパンデミックに対処してくださいな。

カミーユさんのインスタグラム。
カミーユさんのインスタグラム。

あの金委員長にくってかかったのが、風光明媚な地中海にある小国モナコのお嬢さんで、しかも言っていることは100%正しいというのが面白い。

奔放な王女に大胆な娘

それにしても、大胆だ。

欧州の王室メンバーは、SNSに自分のアカウントをもっていて、情報発信している人は結構いる(日本とえらい違いである)。

それでも、こんなことを書いて発信するのは、聞いたことがない。

やっぱり、育った家庭の雰囲気が奔放だからなのだろうか。

グレース・ケリーは、息子一人(現大公アルベール2世)と娘を二人産んだが、どちらの王女もかなり奔放だ。

それでも、長女のカロリーヌ王女(カミーユさんの伯母)のほうは、結婚しているだけマシ(?)なのだ。離婚→再婚で死別→再々婚である。

次女のステファニー王女(カミーユさんの母)は、さらに奔放だ。

最初に、ボディガードとの間に、未婚で子供二人を出産。後に結婚はしたものの、すぐ離婚。

次は、別の元ボディガードと未婚のまま子供を産んで、結婚もしなかった。この子が、今回の主人公、カミーユ・ゴットリブさんである。

またまた次にこの王女は、ポルトガル人のサーカス団員と再婚したが、すぐに離婚した。

モナコは女性にも公位継承権があるが、カミーユさんは両親が結婚していないので、カトリックが国教のモナコでは継承権がない。

それにしても、「ぶっとんだ」お嬢さんである・・・たぶん、彼女でなければ、他のどの国の政治家も王族貴族も、こんなことは言えないだろう。

金正恩氏に、彼女のメッセージは届いているのか、気になるところである。

「CNEWS」によると、今のところ、北朝鮮とモナコの間に、外交問題は生じていないという。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。日本EU学会、日仏政治学会会員。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。前大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省関連で働く。出版社の編集者出身。 早大卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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