Yahoo!ニュース

マイホーム購入のモチベーションが上がる。ムクのテーブル付き新築マンションが登場

櫻井幸雄住宅評論家
樹齢350年のオーク材からつくられたムクのテーブル。モデルルームで筆者撮影

 新築マンションを買えば、ダイニングにムクの1枚板テーブルが付いてくる。

 「あら、いいわねえ」の声が聞こえてきそうだ。

 が、次に出てくるのは、テーブルの分、マンションの価格が高くなっているのでは、という疑問。確かにムクのテーブルはサービスで付けられるのではない。テーブル込みでマンションの価格が設定されている。

 とはいえ、ムクのテーブルはキッチンと一体化し、住居の一部になっているため、テーブル代はマンション代金の一部として住宅ローンで返済できる。その利点は大きい。マイナス金利は解除されたが、住宅ローンの金利はまだ史上最低といわれる水準に留まっている。それなら、憧れの「ムクのテーブル」暮らしも実現しやすいからだ。

ムクのテーブルは100万円オーバーのケースも

 新居を購入したとき、ムクのテーブルを置きたいと考える人は少なくない。でもムクのテーブルは高額だ。安くても50万円以上。銘木を使用したものなら100万円を超えることが珍しくない。

 ただでさえお金がかかる新居への引越時。100万円の買い物など普通はできない。テーブル購入でローンを組むと、その支払いが住宅ローンの返済に加わり、生活が苦しくなる。だから、ムクのテーブルをあきらめる人が多くなってしまう。

 その点、「新居の代金にムクのテーブル代が含まれ、住宅ローンに組み込まれる」のは、うれしいこととなる。

 この工夫を実現させたのは、さいたま市大宮区でこれから販売が始まるマンションだ。

 樹齢350年のオーク材で厚さ5センチのテーブル板を作成。このテーブルをシステムキッチンと一体化させるプランであれば、テーブル代を含めて住宅ローンを組むことができる。

住宅ローンに組み込むことができるモノ

  じつは、住宅購入時、住戸と一緒にローンに組み込むことができる設備、備品は少なくない。省エネ性能を高めたエアコンやガス衣類乾燥機、食器洗い乾燥機、ガスで電気をつくるエネファームなどがその例となる。

 それらを住宅とは別に購入すると、マイホーム購入時の出費が増える。だから、設備代を住宅代金に入れ、まとめてローン返済できる方式はマイホーム購入者に喜ばれる。

 そのなか、ムクのテーブルは、うれしさの度合いが大きい。理由は、ムクのテーブルならば、耐用年数が格段に長いからだ。

一生どころか二代、三代使い続けることも

 設備機器の場合、35年返済のローンに組み込んでも、10年とか20年で寿命がつきる場合がある。その場合、使わなくなった機器の費用を長く払い続けなければならないことになる。

 その点、ムクのテーブルならば、長く使い続けることができる。木材の専門家に聞くと、「天然木は、生育に要した年月と同じくらいの耐用性がある」そうだ。

 今回、テーブルに用いられた天然木は樹齢350年のオーク材。そうなると、一生どころか、2代、3代……数代にわたって使い続けることができるテーブルとなる。それが、ムクのテーブルならではの魅力である。

 じつは、このムクのテーブル、ボルトを外すことで、システムキッチンから取り外すことができるようになっている。

テーブルを下から見ると、ボルトで接続していることが分かる。ボルトを外すことで、テーブルはシステムキッチンから外れる仕組みになっている。筆者撮影
テーブルを下から見ると、ボルトで接続していることが分かる。ボルトを外すことで、テーブルはシステムキッチンから外れる仕組みになっている。筆者撮影

 将来、老朽化によりシステムキッチンを入れ替えるとき、テーブルは生き残るようにしてあるわけだ。この工夫により、引っ越すときにテーブルを外して持って行くことができるし、娘の嫁入り道具に持たせることも可能となる。

 結果として、マンションとともに一家の財産となるテーブルが手に入るわけだ。

ムクのテーブルを採用したマンションは大宮駅から徒歩8分に建設され、まもなく販売開始される予定になっている。モデルルームで筆者撮影
ムクのテーブルを採用したマンションは大宮駅から徒歩8分に建設され、まもなく販売開始される予定になっている。モデルルームで筆者撮影

 魅力的なムクのテーブルを住宅内に組み込んで販売し、まとめて住宅ローンで返済する……このアイデア、わるくないと考えられるのである。

住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

資産価値はもう古い!不動産のプロが知るべき「真・物件力」

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

今、マンション・一戸建ての評価は、高く売れるか、貸せるかの“投資”目線が中心になっていますが、自ら住む目的で購入する“実需”目線での住み心地評価も大切。さらに「建築作品」としての価値も重視される時代になっていきます。「高い」「安い」「広い」「狭い」「高級」「普通」だけでは知ることができない不動産物件の真価を、現場取材と関係者への聞き取りで採掘。不動産を扱うプロのためのレビューをお届けします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

櫻井幸雄の最近の記事