Yahoo!ニュース

本当に住みやすい街大賞in福岡からみえてくる、今、地方で人気となる住宅地の条件

櫻井幸雄住宅評論家
なかやまきんに君、村重杏奈さんをゲストに迎えた発表会。筆者撮影

 地方都市では新築分譲マンションの売れ行きが落ちているところが目立つ。「地方都市の売れ行きは、本来、ゆっくり進むもの。ここ数年が勢いよく売れすぎただけ」との見方もあるのだが、地方でマンション販売が減速しているのは事実。そのなか、「マンションの売れ行き好調」を維持している数少ない場所のひとつが、福岡県だ。

 九州一の大都市では、中心地の億超え住戸も、郊外の5000万円台住戸もよく売れている。その結果、東京、大阪に本社を置く大手不動産会社の物件が増えるという動きも出ている。日本中の不動産会社が注目する場所になっているわけだ。

 その福岡県における人気住宅地の最新版が発表された。

 5月30日、住宅ローン専門金融機関「ARUHI(アルヒ)」が主催する「本当に住みやすい街大賞2023in福岡」のランキングである。

 「本当に住みやすい街大賞」は、全国の地域で表彰を行っており、福岡県のランキングは2019年以来、4年ぶりの発表となった。

 今回福岡県で大賞に輝いた街は「千早(駅周辺)」。以下、10位までの街は次の通りだ。

1位 千早(JR九州 鹿児島本線)

2位 博多南(JR西日本 博多南線)

3位 新飯塚(JR九州 筑豊本線)

4位 西鉄平尾(西鉄 天神大牟田線)

5位 西鉄久留米(西鉄 天神大牟田線)

6位 糸島高校前(JR九州 筑肥線)

7位 水城(JR九州 鹿児島本線)

8位 野芥(福岡市地下鉄 七隈線)

9位 須恵中央(JR九州 香椎線)

10位 茶山(福岡市地下鉄 七隈線)

 前回、2019年のランキングで本当に住みやすい街大賞に輝いたのは、福岡市早良区の「藤崎(駅周辺)」。以下、大濠公園に近い「唐人町」や天神エリアの「赤坂」など中心地に近く、住宅地としての歴史も長い場所が多くランクインした。

 それに対し、今回の2023年版では、郊外エリアが多く、近年、開発が進んだ場所が増えている。

 それは、福岡中心地の新築マンション価格が上昇した影響が大きい。

 「本当に住みやすい街大賞」は住宅ローンのフラット35利用者が多かった街から選ぶのが特徴。住宅ローンのなかでも、長期固定金利のフラット35は堅実派の利用者が多いという特性がある。

 堅実なマイホーム購入者は、値上がり期待で中心地の高額マンションを背伸びして買うことはない。結果として、4年間で郊外志向が強まったと考えられる。

 そのほかにも、今回のランキングで明らかになった「地方都市における人気住宅地」の条件といえるものが明らかになった。

 それはどんなものなのか。同賞の審査委員長を務めさせていただいている私から説明したい。

人気住宅地に共通する要素は……

この記事は有料です。
資産価値はもう古い!不動産のプロが知るべき「真・物件力」のバックナンバーをお申し込みください。

資産価値はもう古い!不動産のプロが知るべき「真・物件力」のバックナンバー 2023年6月

税込1,100(記事3本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

櫻井幸雄の最近の記事