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【独自調査】首都圏マンション高騰の中、実際の人気物件はそんなに高額ではなかった

櫻井幸雄住宅評論家
今、多くの人が注目しているマンションを全国で調べてみた。筆者撮影

 「マンション人気指数」は、2011年7月から調査を開始し、年に3〜4回公表し続けている、私の独自データだ。

 全国の販売中マンションと販売直前のマンションを対象に、資料請求数と販売センターへの来場者数を調べて、販売される総戸数から「人気指数」を算出。指数が一定水準になったマンションを「人気マンション」として認定している。

 マンション人気指数は、これまで経済誌や経済系サイトで発表してきた。調査開始から10年が経過した今年、そのリストを定期的に私のオフィシャルサイトで発表することとし、最新版リストの公開を12月1日から開始した。

 最新人気指数から興味深いことが分かったので、人気指数が極めて高い超人気マンションのリスト(一部抜粋版)とともに解説したい。

 なお、人気指数の計算方法はオフィシャルサイトの記事中(下のほう)で説明させていただいたので、参照いただきたい。

人気物件の多くは、そんなに高額ではなかった

 人気マンション・ランキングで分かったことの1つに「人気が高い新築分譲マンションは、そんなに高額ではない」ということがある。

 新築分譲マンションの価格上昇で、首都圏のマンション平均価格は6000万円を大きく超えたという発表が相次いでいる。

 最新の調査では、首都圏の新築マンション平均価格が7000万円近くまで上がっているとも……しかし、注目度が高いマンションを調べると、23区内でも2LDK・3LDKが4000万円台から5000万円台という物件が目立っている。

 神奈川・埼玉・千葉の各県では、3000万円台の2LDK・3LDKもある。

 一方で、都心部では全戸2億円以上というような超高額マンションがある。新築分譲マンション戸数が激減している現在、都心部で超高額マンションが出ると、全体の平均値を引き上げてしまう側面もあるのだろう。

 首都圏の平均値が7000万円近くなったとされても、実際に人気になっているのは4000万円台、5000万円台の2LDK、3LDKなのである。

超人気マンションの目安・指数「3」以上を公開

 私が算出する人気指数では、指数「1」以上が人気マンションとなる。その数字が大きくなれば、短期間に完売する可能性が高い超人気マンションだ。

 以下、人気マンションのなかでも特に人気が高いと認定できる、指数「3」以上となった全国のマンション42をエリアごとにまとめた。

 なお、ここで発表するデータは、物件名と人気指数、間取り、価格、売り主のみを抽出した抜粋版であることをお断りしておく。

●東京山手線内側の超人気マンション

●東京23区内山手線外側の超人気マンション

●首都圏郊外部の超人気マンション

●首都圏以外、全国の超人気マンション

 いずれも、調査期間は今年7月1日から10月10日まで。お盆休みを勘案して、実質3ヶ月のデータとなっている。

 表の価格欄をみると、4000万円台、5000万円台の価格表記が多いことがおわかりいただけるだろう。もちろん、「山手線内側」のエリアでは億単位の金額が多くなっているが、23区内でも4000万円台、5000万円台を見つけることができる。その他のエリアでは3000万円台の価格表記も見受けられるのである。

都心、駅近の物件は、やはり注目度が高い

 ちなみに、この調査では「事前人気指数」が高いマンションも同時に公表している。

 事前人気指数とは、販売センターが開く前の段階で資料請求数から算出する数値。事前人気指数は「2」以上が高人気物件の目安だ(計算方法は、オフィシャルサイトの記事を参照)。この指数が「10」以上になると、販売が始まると同時に売り切れてしまう可能性が高まる。

 そんな事前人気指数「10」以上のマンションを集めたのが、下のリストだ。こちらも、物件名と人気指数、間取り、価格、売り主のみを抽出した抜粋版である。

 事前人気指数は、販売センターを開ける前のマンションで、10月10日までの資料請求数から算出。算出開始時期は、それぞれのマンションで資料請求受付を開始した時点から、となる。
 事前人気指数は、販売センターを開ける前のマンションで、10月10日までの資料請求数から算出。算出開始時期は、それぞれのマンションで資料請求受付を開始した時点から、となる。

 今回調査で、事前人気指数の全国1位になったのは、イニシアテラス目黒学芸大学。東京都目黒区で、東急東横線学芸大学駅から徒歩4分のマンションとなり、総戸数は15戸。総戸数が少ないマンションほど、人気指数、事前人気指数は大きくなりやすいのだが、それにしても事前人気指数66.1は驚異的な数字だ。

 23区内で駅に近いマンションは注目する人が多いことを物語っている。

注目したいのは、大規模で高指数の物件

 人気指数は、資料請求数と販売センター来場者数を販売総戸数で割って算出される。そのため、総戸数が多い物件の指数は上がりにくい傾向が出る。

 そのなか、総戸数200戸以上の大規模なのに人気指数3以上となったのが、募集対象住戸305戸で人気指数5.7のBrillia Tower 浜離宮と、全471戸で人気指数3.2となったパークコート神宮北参道 ザ タワー。2物件は、高額なのに売れている点も含めて、文句なしの人気マンションといえる。

 また、販売前マンションの事前人気指数では全119戸で事前人気指数22.4のシティテラス中野や、全118戸で事前人気指数20のレ・ジェイド北海道ボールパークが注目度抜群だ。

 レ・ジェイド北海道ボールパークは、2023年3月に開業が予定される日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」とともに開発される球場近接のマンション。100平米以上の大型住戸を数多く設定するなど、全国的にみても珍しく、意欲的なマンションになる計画だ。テレビやサイトのニュースで取り上げられることも多く、関心が高まっているのは当然といえる。

住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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