東京五輪選手村は20年に一度のお宝物件か

建設が進む選手村。超高層棟も2本建設される予定だ。

 東京23区内では、希にお宝物件と呼ばれるような割安マンションが出た。販売時に購入希望者が長蛇の列をつくって短期間に完売。そして、5年間とか10年間の転売禁止が付くようなマンションだ。転売禁止期間が設けられるのは、買ってすぐに売れば必ず儲かることが分かっているから。転売目的の投資筋が購入するのを防ぐ目的である。

 それくらい安く売られたマンションが、これまでに2つあった。

品川駅徒歩8分の80平米が3600万円

 たとえば、今から32年前、1986年(昭和61年)10月に販売開始された新宿区の「西戸山タワーホウムズ」は、先着順ではなく、抽選販売だったにもかかわらず、販売前から400人もの申込者が並んだ。当時の取材メモを読み返してみると、JR山手線新大久保駅から徒歩6分で、平均坪(3.3平米)単価が240万円。3LDKが5000万円前後で購入できたため、バブルが始まりかけていた当時の日本で爆発的な注目を集めた。このマンションには、10年間の転売禁止が付いた。

 21世紀に入り、08年に分譲された「シティタワー品川」はもっと安い。

 リニアの始発駅となる予定の品川駅から海側に600mほど。徒歩8分ほどに立地する超高層マンションで、約80平米の3LDKが3600万円からという設定だった。

 このマンション、定期借地権方式を採用したのだが、その借地期間は70年なので、「一生住み続けられる」と考えてよい。70年も経てば、普通の所有権マンションでも建て替えの話が出る。そう考えれば、じつにお買い得だった。

 「シティタワー品川」も5年間の転売禁止・賃貸禁止が付いていたのだが、すでに解除されている。3600万円ならば、当時のローン金利で毎月10万円程度の返済で購入できた。それが、現在の賃貸家賃相場で80平米なら月額賃料30万円以上……まさにお宝物件である。

 

安く売られた理由は、国や都の土地だったから

 

 2つのマンションが安く売られた理由は、国や都が土地所有者だったから。「西戸山タワーホウムズ」は、国家公務員宿舎跡地で当時の中曽根首相肝いりの民間活力導入プロジェクト第1号として分譲が行われた。

 「シティタワー品川」は、東京都の都営住宅建て替えで建設され、売り主は東京都だった。

 国や都が以前から所有する土地は原価が安い。だから、分譲価格を高くすれば、大きな利益が得られる。しかし、公の土地を使って、国民相手に儲けるわけにはいかないとおもんばかられたのだろう、土地の原価からして順当な価格設定にされた。結果としてお宝物件になってしまったのだ。

これから販売されるお宝物件は?

 ここまでは、過去に分譲されたお宝物件の話。「買った人はラッキーでしたね」というだけなのだが、重要なのはここからだ。

 国や都が事業主となるお宝物件は、滅多にでるものではない。これまでの例で言えば20年に1物件が出る程度。前回「シティタワー品川」が出てから今年で10年なので、次回登場はまだ当分先……かもしれないが、じつは今、その候補となりそうなマンションが建設されている。

 それは、2020年東京五輪選手村だ。

 選手村は、東京都中央区の晴海エリアで、すでに建設が始まっている。5650戸の住戸は、東京五輪後に大部分が分譲され、一部が賃貸住宅として活用される予定だ。

 大量の住宅が分譲されれば、湾岸エリアが供給過多となる。選手村は売れ行き不振となり、他の分譲マンションにも影響が出る、という意見もあるのだが、さてどうだろう。

 当たり前だが、売れるか売れないかは価格次第だと私はみている。

東京五輪選手村の売り主は東京都

 選手村は、「2020年東京五輪」の記念碑的建造物となるし、商業施設や宿泊施設との一体開発でエリアの利便性は高い。新設の学校もできる。

 これで、価格が安ければ、日本中から購入希望者が殺到する事態も考えられる。いや、私はその可能性が高いとみている。というのも、選手村の売り主は東京都。「シティタワー品川」と同じだからだ。

 今年に入り、選手村と同じ中央区内で民間不動産会社によって新規分譲された超高層マンションは、湾岸エリアで過去最高水準の価格となった。平均価格は3.3平米あたりで400万円を大きく超える設定。そのため70平米の3LDKを買おうと思えば8000万円以上。条件がまあまあの住戸ならば、1億円は覚悟しなければならない。

 これに対し、たとえば選手村が「70平米3LDKが5000万円台、6000万円台で購入できる」となると、ブレイクは必至。5年もしくは10年の転売禁止が付いたとしても、「とりあえず申し込んでおこう」という日本人、外国人は少なくないはずだ。その結果、でとんでもない倍率の抽選で瞬間蒸発する可能性がある。

 

いつから販売が始まり、いくらで売られるのか

 マンションは200戸を超えると「大規模」と呼ばれる。これに対し、選手村では5000戸に及ぶような数のマンションを売ろうとするのだから、単純に言って大規模マンションを25物件販売するようなもの。当然、販売開始から終了まで時間がかかる。少なくとも、2年から3年、もしくは4年をかけて販売が行われることになる。

 そうなると、東京五輪が始まる前から販売が始まり、東京五輪が終わった後も販売を続けることになるだろう。

 そして、大量の商品を売りさばく場合、「最初の勢い」が重要になる。勢いがなければ5000戸ものマンションを長丁場で売り切ることはできない。

 勢いを付けるため、最初は、より割安な住戸が出される。駅から遠めの棟や低層階の住戸、目の前を他の建物で塞がれるような棟……その分、「そんなに安いの」と驚くような価格設定となる住戸だ。

 いったいいくらになるのか。そして、いつから東京五輪選手村のマンションが販売されるのか。私を含め、密かに注目している人は決して少なくないはずだ。