GW明けから接種が本格化!新型コロナワクチンを正しく知ろう

イラストデザイン:江村康子

 私は長野県の新型コロナワクチン接種アドバイザーチームの一員として、県民向けの接種啓発の仕事をしています。

 長野県でもGW明けから接種が本格化しますが、まだ新しいワクチンでもあり、どんなワクチンかよく分からず不安な方もいらっしゃるかと思います。基礎疾患をお持ちだったり、妊婦さんなど、接種していいのか迷う方もいらっしゃるかも知れません。

 そこで、県アドバイザーチームで協力し、県民向けにフライヤーを作りました。

制作監修:長野県新型コロナウイルスワクチン接種アドバイザーチーム イラストデザイン:江村康子
制作監修:長野県新型コロナウイルスワクチン接種アドバイザーチーム イラストデザイン:江村康子

制作監修:長野県新型コロナウイルスワクチン接種アドバイザーチーム イラストデザイン:江村康子
制作監修:長野県新型コロナウイルスワクチン接種アドバイザーチーム イラストデザイン:江村康子

 フライヤーにはワクチンの効果・副反応・留意事項が両面1枚で分かるようにしています。PDFは県のHPからDLできます。県内だけでなく県外の方も、ぜひご参考にしていただければと思います。

 今回はアドバイザーチームの了解を得た上で、このフライヤー内容を元に、いま一度新型コロナウイルスワクチンについて説明をするとともに、よく聞かれる内容について改めて解説を加えたいと思います。

ワクチンの発症予防効果は95%と非常に高い

 まず、このワクチンですが、発症予防効果が95%と非常に高いワクチンです(1)。

インフルエンザワクチンが約50%であることを考えると、かなり高いことが分かります。

 これは接種しなければ100人が発症する場合に、接種することでそれを5人に減らせる、つまり発症リスクを1/20にできる、ということです。

重症化予防効果や高齢者への有効性も高い一方で、最近の研究では、人にうつす可能性を減らす効果もあるだろうということが分かってきました(2)。とても期待できるワクチンであることが分かります。

図1 ワクチンの効果について  イラストデザイン:江村康子 
図1 ワクチンの効果について  イラストデザイン:江村康子 

ワクチン接種当日と翌日は副反応に備えて予定を空けておく

 接種は3週間空けて2回です。現時点では2回接種を前提としているワクチンですので、2回目もしっかり接種しましょう。2回目を接種する前に、あらかじめ知り、準備していただきたい点があります。

 それは2回目の接種後の副反応が少し強く、接種翌日を中心に発熱や倦怠感が強い傾向があることです(3)。そのため、接種日と翌日は、可能なら予定を空けておくことをお勧めします。例えば会社であれば、同じ部署の方が一斉に同じ日に接種すると、みんなが同時に体調を崩して業務に支障が出る可能性もあるため、接種のタイミングを少しづつずらすこともご検討いただけるとよいでしょう。

図2 ワクチン接種の流れ イラストデザイン:江村康子
図2 ワクチン接種の流れ イラストデザイン:江村康子

 接種後は15分以上接種会場で経過観察が必要

 接種した後は、15分以上(アナフィラキシーなど重いアレルギー症状を起こしたり採血などで気分がわるくなったことがある方などは30分)経過観察をします。

 海外でこのワクチンでアナフィラキシーを起こした方の多くが、以前重いアレルギーのある方だったこと、またアナフィラキシーは75%が15分以内に、90%が30分以内に起きているとされていることがその理由です(4)。

 基本的には接種後短時間で起きることがほとんどですが、接種場所を離れてからアレルギー反応の症状が現れた場合にはすぐに医療機関にご相談ください。

 なお、帰宅後は入浴は可能ですが、アルコール摂取や激しい運動は控えましょう。接種後の副反応(腫れやだるさなど)が強く出る可能性があるためです。

図3 接種後の留意事項について  イラストデザイン:江村康子
図3 接種後の留意事項について  イラストデザイン:江村康子

 ワクチン接種後も感染対策は必要

 さて、晴れて接種完了したとします。ではウイルスから守ってくれる免疫はすぐにつくのでしょうか。

 実はこのワクチンは接種後免疫が立ち上がりはじめるまで12-14日ほどかかります(5)。つまり2週間はワクチンを接種していない人と同じ状態と言えます。十分な効果が得られるのは2回目の接種後7日以上経過してからとされています(6)。では、2回接種後7日以上経過したら、もうこれまで行っていた感染対策はしなくてもよいのでしょうか。

 実は感染対策は引き続き必要なのです。その理由を2つお話ししたいと思います。

 ひとつはこのワクチンの効果の持続期間がまだ分かっていないためです。ファイザー社は2回目の接種後6か月は90%以上の高い効果があることを確認できたと報告していますが、1年、2年と免疫が続くのかは分かっていません。実際同社は、3回目のワクチン接種が必要ではないか、ともコメントしています。

 もっともこれは、これまでの他のワクチンでもよくある話です。たとえばA型肝炎やB型肝炎のワクチンは最初に1か月空けて2回接種しますが、3回目の接種を6~12か月後に追加します。新型コロナウイルスのワクチンがどのタイミングで追加接種が必要なのかは今後の報告を待つ必要があります。

 ふたつめは、ワクチンを接種しても100%の効果ではないため、感染が蔓延している状況では、感染、発症するリスクがまだあるためです。多くの方がワクチン接種を完了して免疫を得て、感染が落ち着くまではまだ時間がかかりそうです。

 そのような理由から、マスクや3密を避けるといった感染対策を続ける必要があるというわけなのですね。

図4 接種後の感染対策が大事な理由  イラストデザイン:江村康子
図4 接種後の感染対策が大事な理由  イラストデザイン:江村康子

副反応は年齢が若い方、2回目の接種ほど高い傾向

 次に副反応について説明します。副反応とは、ワクチン接種が原因で起こる症状のこと。副反応があるのはイヤだな、と不安な方もいらっしゃるかも知れません。ただ、副反応は免疫がしっかり付いている証でもあります。副反応は起きるものと考えるのがよいでしょう。

 副反応は図5に示すような反応があります。頻度は、日本でのデータ(3)では接種部位の痛みやだるさが50%以上発熱や頭痛が20%以上とされており、1回目より2回目、また年齢が若いほど起きやすい傾向があります。ただ、多くが3日以内に回復しますのでご安心ください。なお、熱が出た場合には解熱剤を使っても構いません。使ったからといって、特に予防接種の効果が悪くなることはありませんのでご安心ください。

図5  副反応について  イラストデザイン:江村康子
図5  副反応について  イラストデザイン:江村康子

アナフィラキシーとは「強いアレルギー反応」のこと

 副反応の中でも特に注意が必要なのはアナフィラキシーです。頻度は非常にまれで、ファイザー社のワクチンでは約20万回に1回しか起きませんが(7)、起こると重い症状を起こすこともあるため関心も高く、メディアなどでもよく報道されています。

アナフィラキシーとは簡単にいうと「強いアレルギー反応」のことです。図6の4種類の症状(じんましんなどの皮膚/粘膜症状、血圧低下などの循環器症状、嘔吐や腹痛などの消化器症状、咳や呼吸苦などの呼吸器症状)のうち2種類以上の症状が急速に出現した場合を指します。

 特に血圧低下や意識の低下がある場合に、アナフィラキシーショックといいます。逆に言えば、血圧や意識が保たれていればショックではないので、アナフィラキシーが全てショックだというわけではないというわけです。

図6 アナフィラキシーについて  イラストデザイン:江村康子
図6 アナフィラキシーについて  イラストデザイン:江村康子

アナフィラキシーは治療すれば速やかに改善

アナフィラキシーの治療は確立されており、接種会場では万が一の際にも対応できる準備が整っています。一番大切な治療はアドレナリンの筋肉注射で、必要に応じて酸素を使ったり点滴することもあります。治療により速やかに回復し、後遺症が残ることはありません

 副反応が起きたあと、症状が重い場合、また数日様子をみても熱が下がらない場合等は医療機関にご相談ください。副反応は数日で収まりますので、よくある症状であれば慌てず家でしっかりと休んでいただければと思います。

図7 アナフィラキシーの治療と接種後の受診の目安  イラストデザイン:江村康子
図7 アナフィラキシーの治療と接種後の受診の目安  イラストデザイン:江村康子

基礎疾患のある方や妊婦も接種可能

 では、最後にどんな方が接種できるのか、お話ししたいと思います。簡単な一覧を下の図8に示します。 

図8 こんな場合は接種できますか?  イラストデザイン:江村康子  
図8 こんな場合は接種できますか?  イラストデザイン:江村康子  

このワクチンは基本的に接種できない特定の病気はありません。例えばアレルギーに関しては、卵などの食物、ペット、ハウスダストのアレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、飲み薬のアレルギーがあっても接種できます(8)。

また心臓や腎臓、肝臓、血液の病気などの基礎疾患があると、新型コロナに感染するとむしろ重症化しやすく、接種をお勧めします。

妊娠中の方は、妊娠12週以降であれば接種できます。このワクチンの性質から、お腹の中の赤ちゃんに悪い影響が出たり将来妊娠しにくくなるとは考えにくく、海外からもワクチン接種後に流産や早産が増えたとの報告はありません(9)。

 何となく不安だから打たないという考え方もありますが、妊婦さんは新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいことも考慮すると、接種しないリスク(かかると重症化するリスク)もしっかりと考えておく必要があります。4月末の時点で、米国では既に10万人以上の妊婦さんが新型コロナワクチンを接種しています(10)。

 同様に授乳中の方でも接種できます(11)。接種後に授乳を止めなければいけない理由も特にありません。

 なお、最近増えている変異ウイルスに対して、ワクチンがどれくらい有効なのかについてはまだはっきりとしたことは分かっていません。当初発表された発症予防効果(95%)と比べると落ちる可能性も指摘されていますが、効果が全くないという話では決してありませんので、ワクチン接種は進める必要があります。

 今回は長野県ワクチン接種アドバイザーチームが制作した啓発資料をもとに、新型コロナウイルスワクチンについて説明しました。

 少しでも皆さんが気になる不安を解消し、安心して接種をご検討いただければと願っています。

<参考文献>

(1) 厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A(ワクチンの効果).

(2) Dagan N, et al. NEJM. 2021 Apr 15;384(15):1412-1423. PMID: 33626250

(3) 厚生労働省:新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査

(4) 厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A(「海外では、アレルギーのある人は接種を受けていますか。アレルギーのある人は副反応が起きやすいのですか。」).

(5) Mark Connors, et al. Ann Intern Med. 2021 Jan 19. Online ahead of print. (PMID: 33460347)

(6)厚生労働省:ファイザー社の新型コロナワクチンについて.

(7) Shimabukuro TT, et al.JAMA.2021 Mar 16;325(11):1101-1102.(PMID: 33576785)

(8) 厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A(「過去にアレルギー反応やアナフィラキシーを起こしたことがあり、今回も起こすのではないかと心配なのですが、接種を受けても大丈夫でしょうか。」)

(9) CDC: Information about COVID-19 Vaccines for People who Are Pregnant or Breastfeeding

(10) CDC: V-safe COVID-19 Vaccine Pregnancy Registry.

(11) 厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A(「私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか。」)