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M1は若者だけでなく関西のおっちゃんおばはんもよく見てる!

境治コピーライター/メディアコンサルタント
M1グランプリWEBサイトより

M1の視聴率は関西の方がひと回り高い

「M1グランプリ2023」はトップバッターだった「令和ロマン」が決勝に進みそのまま優勝する快挙を成し遂げた。筆者もちょっと覗くつもりが最後までずっと惹き込まれ、決勝の審査員投票はドキドキしながら見た。レベルが一層上がり、決勝に残った3組は誰が優勝してもおかしくないほど面白かった。

TVALnowで番組終了後に視聴率の推移を調べると、審査が発表された22:06が最も高く、関東では17.7%にまで上がった。なかなかここまで視聴率が上がることも珍しく、多くの人がテレビの前で大笑いしていたのだろう。

TVALnowの画面より
TVALnowの画面より

漫才というと関西が本場だ。となると視聴率も違うのでは?そこでTVALnowで関西の方を見てみると、ずいぶん水準が違った。同じ22:06に29.2%を示していた。10%以上も高いとは。関西の人がお笑いがいかに好きか、よくわかるデータだ。

TVALnowの画面より
TVALnowの画面より

(なお、これはあくまでTVAL上での世帯視聴率で、ビデオリサーチの視聴率とは調査母体が違い、同じ数字にはならないことに注意してもらいたい)

関東ではF3+・M3+が低いが関西では高齢層も高い

視聴率全体は高いが、果たしてその中身はどうだろう。高視聴率番組はフタを開けると、高齢層ばかり見ていて若い層は見てないことが多い。「M1グランプリ」も似たようなことになっているのではないか。「M1」放送日の他の番組と比べて性年齢別の視聴率がどうなのかもTVALで調べてみた。すると意外なことがわかった。

表:TVALデータより筆者作成
表:TVALデータより筆者作成

まず関東の結果を見てもらうと、この日の番組の中でF1(女性20-34歳)、F2(女性35-49歳)、F3-(女性50-64歳)でいずれもダントツで1位となっていた。同じくM1(男性20-34歳)、M2(男性35-49歳)、M3(男性50-64歳)でも1位で、男女共に若者から中高年まで視聴されていたことがわかる。特に若者層でこれほど高い数値が出る番組は、人気ドラマなどでも珍しい。

ただ、男女とも65歳以上のF3+、M3+では順位が低かった。F3+は8位、M3+は7位で数値もいきなり10%を切っている。ちなみに上位を占めたのは「ニュース7」「バンキシャ」「笑点」「ニュース645」「劇場版ダーウィンが来た」「NHKスペシャル」で、F3+にはこれに「全日本フィギュアスケート選手権2023」が加わる。シニア層には「M1」より「笑点」が馴染んでいる分見られているのだ。

とにかく、高視聴率はF3が中心であることが多い中、「M1グランプリ」は若者から中高年をがっちり掴んでいる特異な番組だとわかった。

では関西ではどうだろう。これがまた面白い結果となった。

表:TVALデータより筆者作成
表:TVALデータより筆者作成

関西でも関東同様、各層で1位を獲得しているが、関東と数字の水準が違い、7〜8%ほど高い数値となった。そして驚いたのが、関西ではF3+、M3+の65歳以上でも1位となったことだ。関東ではおじさんおばさんは「M1グランプリ」がさほどお好みではなかったようたが、関西ではおっちゃんもおばはんもを熱心に見ていたことがわかった。

さすが漫才の本場、関西だ。きっと今日あたりはあちこちの井戸端や居酒屋で「さや香の最後のネタどないやねん」とか「ヤーレンズもおもろかったけどなあ」などと感想を言い合っているのだろう。

「M1グランプリ」は若者のテレビ離れも吹き飛ばすような力のあるコンテンツに育ったと思う。終了後に配信をうまく使うなど、若い層とのエンゲージメント作りも上手だにやってきている。今や他のお笑いコンテストとは一線を画す存在。今年は本当に楽しませてもらったし、来年以降にも期待したい。

コピーライター/メディアコンサルタント

1962年福岡市生まれ。東京大学卒業後、広告会社I&Sに入社しコピーライターになり、93年からフリーランスとして活動。その後、映像制作会社ロボット、ビデオプロモーションに勤務したのち、2013年から再びフリーランスとなり、メディアコンサルタントとして活動中。有料マガジン「テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder」発行。著書「拡張するテレビ-広告と動画とコンテンツビジネスの未来」宣伝会議社刊 「爆発的ヒットは”想い”から生まれる」大和書房刊 新著「嫌われモノの広告は再生するか」イーストプレス刊 TVメタデータを作成する株式会社エム・データ顧問研究員

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