不自然な綴りは、ただの間違い?何かのメッセージ?「アンナチュラル」最後の英文
最後の英文に誤った綴りが?
TBS金曜日22時のドラマ「アンナチュラル」が3月16日に最終回を迎えた。ドラマ好きの間で「逃げ恥」の脚本家・野木亜紀子が取組むサスペンスとして注目され、石原さとみ、井浦新、市川実日子、窪田正孝らキャストの好演もあり今クールではひときわ評価が高かった。最終話も難題を解決して大きく盛り上がった。
解散の危機にあった彼らのチームが元に戻ってすっきり終わった、最後の最後に出たのが上の画像の英文だった。
”Their journy will continue.”
彼らの旅は続く・・・?
ここで「おや?」と気づいた人は多いだろう。”journy”の綴りが違わないか?
そうだ、旅を意味するジャーニーは半分日本語にも溶け込みカタカナで使われることもあるが、綴りは”journey”と”e”が必要なはずだ。なんと!TBSでもこんな間違いをするのか!筆者は最初、犯してはいけないミスをしでかしたと受けとめた。
だが、よく考えるとこんなミスをするものだろうか。今どき、Wordで英文を打っただけで自動的に間違いを指摘してくる。アプリケーションによっては勝手に誤りを正してきたりする。ましてや何人ものスタッフが最終確認をするであろうテレビ局のドラマのそれもラストカットで、中学生でもわかる綴りのミスをするだろうか?
これは意図的なスペルミスでスタッフが何かメッセージを込めたのかもしれない。そう思うと面白くなってきた。
小さな不自然さから真実を発見する「アンナチュラル」
このドラマは、遺体を解剖して死因を鑑定する法医解剖医たちの物語だ。そのタイトル「アンナチュラル」には、解剖の際に小さな“不自然さ”を見逃さずに追究すると、真実が見えてくることを象徴している。
最後の英文に”e”がないことの不自然=アンナチュラルを見逃すな、というメッセージなのかもしれない。
気になってTwitterをのぞくと、最初はcontinueだから続編があるのだとみんな喜んでいたのが、徐々にアンナチュラルな綴りに気づいて意味を考えはじめていた。
いくつかここで紹介させてもらおう。
これを見ると、みなさんの想像力・洞察力に感服してしまう。これはもう、スタッフの意図的な“不自然な綴り”なのだととらえるべきだと確信した。
そして少なくとも続編があるということにちがいないとも思った。と言うか、これほどみなさんが続編に期待しているのだから、遠からず続編を実現しないと許されないだろう。
作り手と視聴者の言葉を超えたコミュニケーション
このところ、テレビ番組のTwitterの活用は当たり前になってきた。また、Twitterで異様なほど盛り上がるドラマの楽しみ方も珍しくなくなっている。筆者もこれまで何度かそういった現象を記事にしてきた。
ただこの「アンナチュラル」のケースで面白いのは、作り手と視聴者の間にコミュニケーションを感じることだ。もちろんそれは、”journy”という言葉を通して言いたいことと、それを読み解いた答をTweet上の言葉で示す、というやりとりだ。だがそれは謎の問いかけに正解で答えるかどうか、という言葉上の意味を超えているとも思った。”e”が抜けていることは"e足りない=言い足りない”かもしれないし、”endではない=続編がある“かもしれないし、どちらも間違いかもしれない。とにかくここでは正解が何かは実は問題ではなく、最後の最後に確かに作り手と視聴者が“つながっている“ことを確認できた、ということではないだろうか。
「アンナチュラル」というタイトル通りに最後に不自然なものを残し、その不自然さに気づいたことを視聴者が表明する。それによって「アンナチュラル」が、最終回を終えたあとも余韻のように共有され続ける。そのことの幸福を互いに味わえたのではないかと思う。何しろ筆者自身がその余韻を残したくてこの文章を書いているのだから。
ドラマの作り方も、見方も、いまどんどん進化している気がする。次の「アンナチュラル」では作り手も視聴者もどう進化するのか、楽しみにしたいと思う。