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元乃木坂46・松村沙友理のバラエティでのキャラと女優での挑戦「現状維持をしながら長く続けていけたら」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)2024劇場版「マーダー★ミステリー斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ

乃木坂46を2021年に卒業してから、女優、モデル、バラエティなど幅広い活躍を続けている松村沙友理。ぶりっ子キャラからエレガントな美女ぶりまで様々な顔を見せている中、全編ほぼ即興劇という『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』に出演した。流行りの体験型ゲームをベースに、キャストが自分の役の設定と行動しか知らないまま、殺人事件の真相に迫った異色の作品。舞台となる屋敷で働くメイドを演じている。多彩な活動に秘めた想いと併せて聞いた。

芸能界に向いている感覚はありませんでした

――最近ますますバラエティでよくお見掛けします。乃木坂46を卒業したときから、女優、モデルなどと併せて幅広く活動することを目指していたんですか?

松村 そうですね。卒業したての頃は演技に力を入れていて、たくさんの作品に出演させていただきました。今はどちらかというとバラエティ寄りの番組が多いかなと思いますけど、いろいろなことができて、すごく幸せです。

――卒業時点では、自分にこれだけ仕事が来るか、不安はありませんでした?

松村 すごくありました。私はそもそも、芸能の仕事に向いている感覚があまりなくて。自分の職業として正しいのかという不安は、卒業の前後が一番強かったと思います。

――昨年8月に生島企画室に入ったのは、よりバラエティに出るため?

松村 自分が芸能界にどれくらいいるかも未知数でしたけど、最近、できれば長く続けていきたい気持ちになって。そこで生島企画室とご縁があって、長くやられている方が多いので、アドバイスをいただきながら活動できたらいいなと思いました。

――芸能界で長く続けたくなったのは、やり甲斐を感じたからですか?

松村 そうだと思います。1人になってからのほうが、いろいろな感想をダイレクトにいただく機会も増えました。グループにいると、仕事ができるすごさがあまりわからなかったし、メンバーだからできる仕事が大半だった気がして。1人でいろいろやらせていただけるようになって、気持ちが変わったのかなと。

――自信も付いて?

松村 自信は今も全然ないですけど、楽しさは感じるようになってきました。

ヘア&メイク/吉田真佐美 スタイリング/櫻井かおり
ヘア&メイク/吉田真佐美 スタイリング/櫻井かおり

テレビが大好きで自分が出てるとより嬉しくて

――バラエティ、女優、モデルと自分の中での重みは変わりませんか?

松村 変わらないです。全部やっていきたい。時期によって「今はこれをメインに」というのはありますけど、人生トータルで見たら、たとえば役者一本とかは考えていません。そのときごとのタイミングで、いただけるお仕事をしていけたらと思います。

――バラエティのための勉強もしていますか?

松村 勉強の仕方はいまだにわかっていませんけど、自分が出演した番組は観ています。どういうところが使われたのか、単純に気になるのと、テレビが大好きなので。家で普通にテレビを観ているだけでも楽しくて、そこに自分が出ていると、より嬉しいです(笑)。

――出演前の準備は念入りにするんですか?

松村 呼んでいただいたら、どういう番組かチェックします。でも、本当にすごいテレビっ子なので、だいたいの番組は観ています。

――しゃべることを考えたりは?

松村 スタッフさんとの打ち合わせを大事にしています。私がしゃべりたいことより、番組を作るプロの方の意見が一番。エピソードもどれがいいか選んでいただいて、アドバイスを聞くようにしていて。

エピソードをメモすることは大事だなと

――話すネタは日ごろからメモしていたりも?

松村 いちおうしています。周りの芸人さんたちがされているので。前はそんなにエピソードトークをすることはなかったんですけど、いろいろな芸人さん、タレントさんとお会いするようになって、メモするのは大事なことなんだと思いました。

――ぶりっ子キャラも磨いていますか(笑)?

松村 磨くというか、皆さんにイジってもらって成り立つので(笑)。いろいろな方と共演して、認知していただけたら嬉しいです。

――旅番組も増えていますよね。出川哲朗さんの『充電させてもらえませんか?』だったり、香港やタイに行ったり。

松村 もともと旅行も好きなので、芸人さんとお出掛け感覚でいろいろなところに行けるのは、すごく楽しいです。出川さんとの電動バイクの旅は、バイクに乗ったのも初めてでしたけど、ああいうことをプライベートでもやりたいと思ったくらいでした。

――雨の中を走ったり、体的にはキツくなかったですか?

松村 全然キツくなかったです。出川さんとスタッフさんがたくさん気をつかってくださって。むしろわがままを言わせていただいて、私はずっと楽しかったです。

ニュースも観ていろいろなことを知りたくて

――一方で、昨年末には『報道の日2023』にコメンテーターとして出演されて、的確なコメントが話題を呼びました。

松村 大事な番組に呼んでいただけて、打ち合わせを重ねました。ひとつひとつのVTRについて、このニュースを扱う理由もたくさん聞かせていただいて。自分の意見をメインにしながら、スタッフさんの想いも言葉に乗せられたらという気持ちはありました。

――当然ながら、バラエティとはスイッチを変えるわけですよね。

松村 そうですね。日ごろのニュースもそうですけど、楽しく笑うだけでなく、人生を良くしていくための番組だと思うので。注意喚起もありますし、自分の発言についていろいろ考えながら、しゃべっていました。

――報道寄りの仕事も増やしていくんですか?

松村 私自身、ニュース番組は絶対観ますし、時事的なことを知って知識を入れるのは好きなので。専門家みたいなことは言えませんけど、世の中の方たちが何をどう思っているのか、触れる機会があるのはありがたいです。

――松村さんは地頭の良さでも知られています。

松村 単純に好奇心は旺盛なのかなと思います。いろいろなことを知りたいし、いろいろなところに行きたい。そういう意味では、いろいろなお仕事をさせていただいている今は、幸せな人生を送れているなと思います。

2次元の世界を役に取り入れてます

――ドラマでは『体感予報』に『極限夫婦』と主婦役もありました。未婚の松村さんが演じるに当たり、リサーチしたこともありました?

松村 周りに結婚している友人も多くて、話は日ごろから聞いています。でも、私はマンガが大好きなので。日常より、2次元の世界から取り入れています。

――『極限夫婦』はモラハラ夫に復讐していく役で、ブチ切れたような表情も見せていました。そういうところも新境地でした?

松村 挑戦的な役だったと思います。あの作品もスタッフの皆さんの力が入って、たくさんの人に観てもらいたい気持ちが素敵でした。私もその想いを存分に発揮できるように頑張りました。

――試行錯誤もあったんですか?

松村 旦那さん役の竹財(輝之助)さんが役者としての経験値がとてもある方なので、引っ張っていただいた感覚があります。ずっと現場にいてくださって、私もあまり役作りに悩むことなく、スッと作品に入れた感じがします。

――怒り爆発も自然に?

松村 はい、楽しんでやりました(笑)。普段はあまり怒ることがないので。

――演技の面白みも、より感じるようになっていたり?

松村 自分が演じることもですけど、すごい役者さんの演技を間近で見て、浴びられることが面白いなと感じています。

メイドだけど上の人にものを言ってしまって

――『劇場版マーダー★ミステリー』は即興劇ということで、いつもの作品とは違う感覚でした?

松村 そうですね。台本も台詞もまったくなかったので。

――高橋克典さんはオファーが来て、最初は断ったとコメントされています。松村さんはこの作品の話を聞いて、どう思いました?

松村 すごく面白そうだし、豪華な皆さんの中に呼んでいただけたことが光栄だと思いました。マーダーミステリーのゲームは知らなくて、撮影前に一度スタッフさんたちとやらせていただいたら楽しくて。人気になる理由がわかる気がしました。だから、やってみたい気持ちはいっぱいありましたけど、撮影日が近づくにつれて、どんどん不安になっていきました(笑)。

――どれだけアドリブ芝居ができるかで、役作りをするようなものでもなくて?

松村 今回は展開がまったくわからなくて、あまり役作りはしませんでした。ただ自分の立ち位置として、メイド役なので前に出すぎないことは、撮影中にずっと意識していました。

――他のキャラクターたちがテーブルを囲んで話しているとき、両手をエプロンの上に重ねて立っていたり。

松村 メイドは仕える立場なので、あまり感情を出したらいけないかなと。でも、設定として「幼さが残る」ということだったので。屋敷で上の立場の人たちにも、ものを言うときは思わず言ってしまうのも、ポイントかなと思っていました。

――松村さんが演じたメイドの三宅麗は、料理人の二宮純平(木村了)を好きな感じがしました。そこは設定ですか?

松村 はい。場面が変わるときの休憩時間に渡された指示には、「二宮が好き」しか書かれていませんでした。

『劇場版マーダー★ミステリー』より
『劇場版マーダー★ミステリー』より

キャスト全員とスタッフさんまで怪しく思えて

――この映画では一度カメラが回ったら、場面が終わるまで止めないわけですよね?

松村 もうずーっと止めないんです。

――アドリブは他の作品でも入れていました?

松村 私はまったくないです。脚本家さんがいらっしゃるので、しゃべり方や語尾も変えないで、台本通りにやりたい派です。

――ほぼアドリブの今回は、役者として面白さは感じましたか?

松村 楽しかったです。皆さんのエネルギーがすごかったので。八嶋(智人)さんとか、いきなりボンとエネルギーを出されて、役者さんの迫力を感じました。あと、自分の中でゲームをしている感覚と作品を作っている感覚がどちらもあって、それも面白いなと思いました。

――屋敷の当主を殺した犯人の目星は付けられました?

松村 まったく(笑)。他の皆さんのことは何もわからない状況で、全員が怪しく見えていました。何なら役者さんだけでなく、スタッフさんも怪しく思えて(笑)。本当に何も決まってなかったので、途中でカメラマンさんが「実は犯人です」と言い出したりもするんじゃないかと、ちょっと思っていました。

――松村さんは推理力はあるほうですか?

松村 いえ、まったくありません(笑)。(名探偵)コナンくんの映画を観ても、犯人は全然わからないので。

役者さんが0から100に行くパワーはすごいです

――劇中で三宅麗は他のキャラクターと言い合いになって、押されそうになりながら引かないところもありました。

松村 劇団ひとりさんと対峙するシーンがあったんですけど、やっぱりアドリブが上手いし、何を拾うか着眼点もすごい方なので。引っ張られないように頑張りました。

――完成した映画を観ると、どんなことを感じました?

松村 撮影していた身としては、長尺でアドリブをやっていたので、あっという間に終わった感じがしました。

――皆さんが多少言葉を言い淀んだようなところも、そのまま使われていました。

松村 ずっと回しっぱなしなので。どこの台詞が使われたのかも、まったくわからないままで、そのリアルさも素敵だなと思います。

――演技の実力を問われる面もあったかと思いますが。

松村 今回やってみて思ったのは、役者さんって0から100に持っていく力がすごいなと。皆さんがいきなりグワッとパワーを出されるシーンが、とても印象的でした。そういう皆さんとご一緒して、間近で演技を見られたのは素敵な経験でした。

――松村さんもパワーを出せましたか?

松村 はい、そう思います。

話題のアニメにはだいたいハマっています

――演技についても、日ごろから勉強していることはあるんですか?

松村 私はずーっと2次元の作品ばかり観ていたので、グループを卒業して演技に力を入れたいと思っていたとき、やっと3次元の作品を観るようになりました。

――『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の取材では、『ビーチボーイズ』とか『ロングバケーション』とか昔のドラマを観ているとのことでした。最近はどんな作品を観ていますか?

松村 最近はまた、自分の中で2次元ブームが来ちゃっているかもしれません(笑)。話題のアニメはだいたいハマっています。『葬送のフリーレン』、『薬屋のひとりごと』、『呪術廻戦』……。めっちゃ面白かったのは『僕のヒーローアカデミア』です。

――面白いですけど、だいぶ前から大人気でした。

松村 ずーっと気になっていて、最近やっと観始めて、すごくハマっているところです。

――推しキャラは誰ですか?

松村 麗日(お茶子)さんがかわいい。男性キャラではまだ推しを見つけられていません。

運転免許を取って生活が変わりました

――仕事が好調な中で、プライベートでも良いことはありました?

松村 やっと運転免許を取得して、ちょこちょこ車でお出掛けするようになりました。ドライブまではいきませんけど、今まで電車で行っていたところにも車で行けて、生活がちょっとだけ変わった感じがします。

――教習所にはスケジュールの合間を縫って通っていたんですか?

松村 そうです。期限ギリギリで1年くらい掛けて取りました。

――教習自体はスムーズに進んだんですか?

松村 意外と何とかいけました。全然関係ないかもしれませんけど、グランツーリスモとかレーシングゲームもずっと好きだったので(笑)。

プライベートで興味あることはそんなにないです

――仕事以外でも幅広く取り組んでいくんですか?

松村 そうでもないかもしれません(笑)。お仕事は何でも幅広くやりたいですけど、プライベートでは興味あることがそんなになくて。お仕事も今やらせていただいていることがどれも楽しいので、さらに広げるより、とりあえず現状維持ができたらいいなという気持ちです。

――レベルアップは図りつつ?

松村 学ぶことは何でも好きなので。生島企画室では生島ヒロシさんを始め、資格を持たれている方が多くて。私も皆さんにならって資格を取得したり、新しいことを知る機会はもっとあるといいですね。

――興味ある資格はあるんですか?

松村 まだないです。武藤十夢ちゃんが生島さんの持っている資格を順番に取っていると聞いて、そういう取り方も面白いなと。私も誰か憧れの人を見つけて、その人の道にならうのもいいなと思っています。

Profile

松村沙友理(まつむら・さゆり)

1992年8月27日生まれ、大阪府出身。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格。2021年に卒業。主な出演作はドラマ『シンデレラ・コンプレックス』、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』、『ショジョ恋。』、『極限夫婦』、映画『東京ワイン会ピープル』、『ずっと独身でいるつもり?』など。『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』が公開中。『BAILA』レギュラーモデル。

『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』

新宿バルト9ほか全国ロードショー

公式HP

(C)2024劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ
(C)2024劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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