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山本舞香がクールな裏で向き合っていること。『闇バイト家族』で「1人だけ笑いの要素がない」ヒロインに

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)「闇バイト家族」製作委員会

人生ドン底の老若男女5人が家族を装いながら闇バイトを繰り返し、再起を図るドラマ『闇バイト家族』が本日スタートする。ヒロインのワケあり長女を演じるのは山本舞香。独自のクールな佇まいで数々の作品でインパクトを残してきたが、その裏で取り組んできたことや、新年第1弾の作品に期するものを聞いた。

いろいろな感情になった1年でした

――昨年もご活躍でしたが、舞香さんの中で特に大きかったトピックというと?

山本 スタイルブックを出せたのは大きな出来事だったかなと思います。韓国で写真を撮り終えてから発売までが結構早くて、ドラマもギュッと撮影したので、あっという間に1年が終わった感じがします。『今日からヒットマン』がアップした2日後に『闇バイト家族』にインして、なかなか心が付いていけませんでした(笑)。

――演じた役柄も幅広かったですね。

山本 『忍者に結婚は難しい』も『(帰ってきたぞよ!)コタローは1人暮らし』も『ヒットマン』も楽しかったし、日韓合作の『SEE HEAR LOVE』は勉強になりました。忙しくて考える暇もないくらいで、悩んで辛い想いをしながらも、現場に行くと楽しくて。本当にいろいろな感情になった1年でした。

――1月クールの『忍者に結婚は難しい』の月乃雀は「役作りをしなかった」とのことでした。

山本 してないです。『ヒットマン』のちなつも、今回の『闇バイト家族』の美咲もそんなに作っていません。やる気がないわけではないですよ(笑)。頑張ってテンションをガッと上げなくても、そのままでいい。作り込まないといけない役を去年はやっていません。『Sister』みたいに翻弄されて豹変することもなくて。そういう意味では、しんどさはなかったです。

不安な時期と調子が良い時期と波があって

――芸歴も12年で、10月で26歳になられました。昔は大人への反発もあったそうですが(笑)、自分が大人になってくるとわかる部分もありますか?

山本 「ここってこうじゃないの? こうしたほうが効率良くない?」みたいなことは言ってますけど、反発心はなくなりました。そこまで感情が行かない。「もういいや」という。

――出演作はコンスタントに続いてますが、自分の中では停滞感を覚えたような時期もありました?

山本 定期的にあります。台詞が入りにくくなったり、「私、芝居できているのかな?」と不安になる時期があって、「この仕事に向いてないかな」とネガティブになってしまう。そういう時期と調子が良い時期と、波がありますね。何かきっかけがあるわけでなく、自分の精神状態が変わるんです。

現場の空気感が合致していることが大事だなと

――キャリアの中で、難しいとか悩んだ役もありましたか?

山本 『死にたい夜にかぎって』は自分と向き合う時間が多かったです。(心が壊れた役に)憑依しすぎた部分もありましたけど、すごく良い経験になりました。自分自身と演じる役をコントロールしなければいけないと、考えさせられた作品です。でも、どんな役を演じるに当たっても、スタッフさんやキャスト同士の空気感がうまく合致していることが大事だなと思います。

――演技以前の問題として?

山本 はい。淡々と進めていく感じがすると「大丈夫かな?」と思ってしまって。『闇バイト家族』では光石(研)さんがたくさんお話ししてくださって、主演の鈴鹿(央士)くんはもの静かな方。私はというと、最初『ヒットマン』のちなつから今回の美咲に完全にシフトチェンジできませんでした。そこが不器用なところで、探り探りやっている感じです。初めはストーリー的にも、ニセ家族の心が離れていていいんですけど、だんだん関係性が変わってくるので。それまでに皆さんと仲良くなれたらいいなと思っています。

――舞香さん自身、現場の空気を良くするために何かしていたりも?

山本 いえ、何もしていません(笑)。現場で口数は少ないです。美咲は普段のテンションでいける分、たぶん機嫌が悪いと思われています(笑)。

――黙っていると、そう見られがちかも?

山本 機嫌が悪くはないんです、と書いておいてください(笑)。自分で言うのも違うし、初めてのスタッフさんも多いので。

寡黙な役の台詞をどんなテンションで言うか

――長年いろいろな作品で声が掛かるのは、自分では何が強みになっていると思いますか?

山本 何だろう? アクションで吹き替えを使いたくないとは思っています。

――もともと空手をやっていて、今も体を鍛えているんですか?

山本 普段は何もしていないんですよ。お風呂上がりにストレッチをやるくらいです。

――舞香さんはクールなイメージがありますが、陰でめちゃくちゃ努力もしていませんか?

山本 してます。台詞覚えが悪いので必死です(笑)。台詞が入っているのは当たり前でなくて、すごく大変。もちろん仕事なので、現場では当たり前になりますけど、私はいろいろ考えてやっていて。長いシーンだと友だちに手伝ってもらって読み合わせをしたり、録音したものを聴いて覚えたり。あと、役と向き合う努力もしています。

――美咲役に関しても、『今日からヒットマン』が終わってすぐの中で、役作りをしたり?

山本 美咲は寡黙で、何を考えているかわからなくて。理由があって早くお金が欲しくて、家族を演じているから、どういうテンションで台詞を言うか考えたりはします。コメディなのに、美咲だけは面白い要素がまだ1ミリもなくて(笑)。そこのバランスも意識しないといけないですね。

自分で何とかしようと思いながら助けられてます

――番組ホームページでは、美咲は「口が悪くてドS」とありますが、台本を読ませていただくとクールという印象でした。

山本 ドSなわけでなくて、無口という感じなのかな。ガッとものをストレートに言う子ではあるんですけど。

――強めな役は得意ですよね?

山本 得意だからこそ、どれくらいのあんばいでやったらいいのか。回を重ねていく中で、家族に対して徐々に心を開いて、心境の変化があるので、ちょっとずつお芝居を変えていこうかと思っています。

――美咲の心情がわかる部分もありますか?

山本 大切な家族を守るために、困っていたら助けたい気持ちは私もありますね。弟から相談の連絡が来たりもするので。

――一方で、美咲自身は「助けなんかいらない」とも言っていて。

山本 私も自分で何とかしなきゃいけない気持ちはあります。でも、結局は周りに助けてもらっている自覚もあります。

――2話では餃子屋で働いて、王将でのバイト仕込みの中国語で注文を伝えるシーンもあるようで。

山本 中国語で餃子2皿とか、「生ビールスー(4つ)」とか。覚えようとしてずっと言っていたんですけど、すぐ忘れてしまいました(笑)。

何のために生きるかわからなくなることも

――闇バイトという言葉は見聞きはしてました?

山本 ニュースで見たりはしましたね。現実に事件があって、そんな時期にドラマにするとは、テレ東さんは強気ですよね(笑)。でも、コメディにしているのがいいなと思います。アカの他人の5人が家族ごっこをしていて、1人1人の闇が明かされて、最後はどうなるのか私たちもまだわかりませんけど、現場で作っていく作業は楽しいです。

――5人は人生ドン底から再起を図っていますが、舞香さんも苦境から頑張って這い上がったような経験はありますか?

山本 何のために生きていくかわからなくなったとき、頑張ったというより、さっき話したように周りに助けられました。考え出すと精神的に落ちていきがちなんです。そういうとき、親友や家族、マネージャーさんに助けてもらって今があるので、感謝しています。

――ちょっとヘコんだくらいのときは、何かしますか?

山本 ちょっとくらいのことだと、1時間で忘れます(笑)。お風呂に浸かったり、サウナに行ったりすれば、「もういいや」ってなりますね。

――闇バイトはしないにせよ、「もっとお金があれば」と考えることはありませんか?

山本 最近は物欲がなくて。以前は買い物だけして袋から出さないような時期もありましたけど、今はお金を使うより、車で山梨まで行ってサウナに入ってくるとか、短い休みの中でどれくらい自分の心を癒やせるかを考えたりします。将来のためにお金は必要ですけど、とりあえず今は欲しいものはありません。最近着ているのはスウェットだから、服も別に要らないし(笑)。

役と生きていく努力を毎日していきます

――ドラマ24が放送される金曜24時12分ごろは、何をしていることが多いですか?

山本 お風呂に入ってますかね。それで1時ごろには寝るようにしています。ドラマがやっていたら、何かしながら観ることもあります。

――普段からドラマや映画は観てますか?

山本 アクション映画をよく観ますね。この前はマーベルのアントマンの映画を3本観ました。コメディですごく面白くて、次も気になって。過去に観た映画も繰り返し観ますし、ディズニーチャンネルをつけっぱなしで流したりもします。『レミーのおいしいレストラン』を「こんな話だったっけ?」と思って、ちゃんと観たら面白かったです。

――女優として勉強も兼ねて観る感じではないんですね。

山本 そういう目では観ないですね。

――さらに売れたいとか、野心的なものはありますか?

山本 どうなりたいというより、もっともっと頑張らなければと思います。役と生きていく努力を毎日していきたいです。海外でも仕事をしたいですけど、まだ先の話かなと。

――ハリウッドデビューを目指すんですか?

山本 いやいや、英語をしゃべれないから、モデル系で行けたらいいかなというくらいです。

――仕事以外で来年やりたいことはないですか?

山本 やっぱり海外旅行をしたいですね。シンガポールかドバイかバリか、仕事の合間に行って、ビーチで寝そべったりしたいです(笑)。

Profile

山本舞香(やまもと・まいか)

1997年10月13日生まれ、鳥取県出身。2011年にドラマ『それでも、生きてゆく』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『死にたい夜にかぎって』、『コタローは1人暮らし』、『Sister』、『今日からヒットマン』、映画『暗殺教室』、『東京喰種 トーキョーグール【S】』、『とんかつDJアゲ太郎』、『カラダ探し』など。1月5日スタートのドラマ『闇バイト家族』(テレ東系)に出演。

ドラマ24『闇バイト家族』

1月5日スタート テレ東系/金曜24:12~

公式HP

(C)「闇バイト家族」製作委員会
(C)「闇バイト家族」製作委員会

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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